低廉な保有コストが特徴の新設アクティブファンドは魅力的ですか?


rennyの備忘録のこちらの記事の続きです。

http://renny.jugem.jp/?eid=4454


こんなファンドを想像してみてください。

低廉な保有コスト(信託報酬で年0.3-0.5%程度)を特徴にした、日本(海外)株式を投資対象にした、アクティブファンド(ファンドマネジャーが自らの調査、評価、判断で運用するファンド)。

題して

「LC(ローコスト)・日本株式アクティブオープン」

これを大手金融機関系投信会社が設定し、系列の証券会社、銀行等で販売開始したとします。

目論見書に書かれた「ファンドの特色」。投資哲学、運用方針はかなり抽象的。どんな会社に投資して、投資しない会社はどんなのか、よく分からない。担当するファンドマネジャーについても情報は限定的。


このファンドに継続的に投資したいと感じる方はいらっしゃいますか。

ほとんどいらっしゃらないのではないか、と想像します。

大手金融機関系投信会社は、百歩千歩万歩譲れば、「低廉な保有コストを特徴」ということは実現できるかもしれません。しかし、独自の哲学、方針を持って投資対象を選別するという点については、どんどん弱体化、劣化しているのが実状ではないでしょうか。ここにきて、スマートベータ・ファンドが増えつつあることがそれを示している、と私は見ています。今後その傾向は強くなるでしょう。


では、低廉な保有コストのアクティブ運用のファンドが今後現れないのでしょうか。可能性はあると思います。「低廉な保有コスト」を特徴として前面に押し出すわけではなく、結果として「低廉な保有コスト」になる、ということです。提供するサービス・パフォーマンスを通じて、時間をかけて信頼を集め保有者を増した結果、預かり資産を大きくふやすことができた場合、一部のファンドで投信会社が受け取る報酬を投資家に還元するようなことが起きる、ということです。

この可能性を感じさせるファンドを設定しているのは、独立系投信会社です。独立系投信会社の設定するファンドは、設定直後は預かり資産が極端に小さいところからスタートします。したがって、初っ端から「低廉な保有コスト」を特徴にするわけにはいきません。大手金融機関系投信会社を意識してそれに比して割安の保有コストでスタートしたり、ファンドがもたらすリターンからの逆算であったり、そんなロジックで投資家から受け取る報酬を設定しています。

これらの投信会社がそのサービス、パフォーマンスへの信頼を得ることで預かり資産を積み上げることができれば、自らが受け取る報酬を逓減する可能性があるものと私は見ています。しかし、そのようなことが起こる可能性はあまり大きくないのではないか、とも感じています。

その理由は

特徴ある独自の哲学、方針、基準を持つファンドマネジャーが運用するファンドには、規模の制約があるからです。運用をコントロールできるファンドの最大規模というものがあるのです。それは投資対象や投信会社のリソース(経験を積み、哲学を体現しうるファンドマネジャーの人数)で決まってしまうものだと考えています。

特徴ある独自の哲学、方針、基準を持つファンドマネジャーが運用するファンドには「ソフトクローズ」という選択肢も十分に考えられます。「ソフトクローズ」とはファンドへの新たな資金流入を制限する、つまり、新たな投資家を受け付けなかったり、金額を限定したりするということです。このような選択肢が取られた場合、投信会社の預かり資産は増えませんから、受け取る報酬を還元するということは考えづらい、と私は考えています。

もちろん、幅広い投資対象を持っていて、哲学、方針に沿った運用をコントロールするリソースを十分に備えている投信会社は、預かり資産をじわじわと積み上げていくことができるでしょう。そうした投信会社にあっては、受け取った報酬の還元もあり得るものと想像しています。しかし、それはあくまで結果としての「低廉な保有コスト」であるはずです。

どんな哲学・方針のもとで運用をしようとしているのか、どんな行動を為してきたのか、その結果、どんな結果を投資家に届けてきたのか、それが何一つもなしに、「低廉な保有コストです」という謳い文句だけの新設ファンドに、資金が託されることは無いでしょう。

どんな哲学・方針のもとで運用をしようとしているのか、どんな行動を為してきたのか、その結果、どんな結果を投資家に届けてきたのか、それが何一つもないのに、沢山の資金が集まっているファンドをよく見かけますが、それは販売側が受け取る報酬を目当てに彼らが「集めた」のです。決して、集まったのではありません。

インデックスファンドの「低コスト」は、十分立派にマーケティング的な機能を果たしうるでしょうが、アクティブファンドにとって、そのファンドに歴史、実績が無ければなおのこと、「低コスト」だけで支持者を獲得することは不可能だろう、と私は考えます。


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「寄付」も「投資」だと考えるようになりました。サポート頂いた際は、「寄付」の後「その先」を自分なりに観て、「寄付」したいと思います。

わお!ワオ!WOW!
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renny

ステキな投資信託をそだてましょう! #sts

私の考える「ステキな投資信託」について。投資家のどんな行動が育てることに関われるのか、について。
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