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意地


蓮にとっては産みのお母さん
そして、最後までお互いが意地だけで寄り添えなかった2人。
ある意味似た者同士。
蓮にとってはお母さんとは呼び難い人で、何の愛情も受けてはこなかった。

私が蓮のお母さんを最後に見たのは中学の頃。
それから10年近く経っている。
去年より再三会うようにしていたが、コロナの関係などで延期になり、やっと会う事ができた。
以前の様な若々しさは無く、痩せ細っていた。

蓮から一行だけの手紙を最後にもらったと見せてくれた。

「産んでくれてありがとう」

その一言だけ書かれていた。


この3年間、苦しかったと。

蓮が亡くなるまでの3日間側にいた。
蓮が歩み寄ってくれる事はなく、毎日醒めた目で自分を見てくる事が辛かったと言っていた。

お母さんも自分が母親らしいことをしてこなかったので無理に歩み寄ることはしなかったと言っていた。

亡くなった後、日を追うごとに後悔、罪悪感、色々な葛藤があったようだ。

蓮から
「おばちゃんとたかくんところに帰りたい。」

涙ながらに亡くなる前日に訴えられたけれど、
その当時は自分を無視する蓮に対し悔しいという気持ちばかりだったそうだ。

蓮が夢に出てきて、「帰りたい」
そう言うので。
少しずつ気持ちの整理ができてきたので
居るべき場所へと。
小さな骨壺を抱えてやってきた。

そんなつまらない意地は張らなくていい

あの時に戻れるなら
伝えたいです。


             那津





あの子が過ごした21年間 あの子が残した手記をどういう形で残してあげれるか考え続けました。 出さない選択もありましたが、少しでも誰かの力になって欲しい そしてあの子を時々思い出して欲しいです そんな思いで出します。 集まったお金を孤児院へ寄付いたします。