ロジャー&ブライアンインタビュー(Classic Rock誌 2015年)


※Queen+Adam Lambertの3人によるインタビュー記事の後半部分和訳です

("Queen Reborn" from The Complete Story: Queen/ Originally from Classic Rock Magazine January(?) 2015)

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しかしテイラーには、マーキュリーのように強力な共同制作者に彼とメイが恵まれることは二度とないと分かっている。1997年にベーシストのジョン・ディーコンが引退してからは、誰が一緒に活動してもこの二人以外はクイーンではない。

「もちろんその通りだ」テイラーは同意する。「フレディがいた時、我々はみな同年代だった。そんな誰かが今後加入してくることはありえない。でもアダムのアイデアはとても尊重している。彼の才能は素晴らしいし、言うことには何でも真剣に耳を傾けている」

しかしマーキュリーを失っては、今後クイーンの生み出す音楽の強さが薄れるのは必然では?

「そうだな、メインの、そして最高のソングライターを欠いているんだ」とテイラーは言う。「我々は全員曲を書けたが、フレディはそのために生まれた男だった。彼には常に驚かされたよ。いまだにどこから来たのかわからない歌詞がいくつもある。ものすごくクレバーで、たまにほとんどコール・ポーターっぽくさえあり。それからあの少しトールキン風味でプログレっぽい曲の数々を書いていた時期とか。本を読んでいる姿は一度も見たことがないが、フレディはどこかに情報のすごいブラックホールを持っていたに違いない。彼が死んで以来ブライアンと俺が新しい音楽を創っていないのは、昔のようには最高のアイデアを出せないと分かっているからだ。アダムがそのギャップをいくらか埋めてくれるかはわからないが、彼とはまだ何も書いていない。そういう話すらしていないんだ」

70年代と80年代、スタジオの床に生産的な血が流れたクリエイティブな緊張感のいくらかを彼とメイは失ったとテイラーは思っている。「そこに4人がいて、それぞれ全く違う方向に引きあっていた時代と同じではない。互いを知りすぎていたぐらいだったので、少しずつ迂回しあっていた。自分たちの強みがわかっていて、暗黙の了解があったんだ」

思い切りすぎたぐらいだった音楽的手法も失われた。「フレディがよく言っていたのは『やりすぎでもまだ足りない!』だ」とテイラー。「クイーンでは、可能ならば限界を広げるのが好きだったんだ。でも今はもう限界を広げているとは思わない。今やっていることはうまくできるが。自分たちが作った牢獄に囚われているようなものなんだろう。悪い牢獄ではないよ」

「一緒のレコーディングはずいぶん長い間やっていないので、今だとどんな感じなのかわからない」とメイは言う。「クイーンはずっと闘いだった。時にはかなり破壊的なまでに。しかしそこからは素晴らしい強さが生まれた。ロジャーと僕は今でもほとんどあらゆることで意見が合わないが、多少は成長したと思う。譲歩すべき時がわかる。どちらにとっても簡単なことではないが。兄弟みたいなものなのだろう。今でもメールではかなり険悪になったりする。たいていは音楽についてで、ものすごく細かい点をめぐって議論になるのだが、それは僕らがまだ音楽を気にかけている証ではないかな」

もう終わったと思った時から数十年を経ても、さらにまた新たなスタジアムツアーに備えているメイとテイラー。二人にはクイーンの自然な終焉が見えたりするのだろうか? それとも若者時代に生み出した音楽が一生の仕事となったのか?

「そのとおり」とテイラー。「『次のことは考えるな。これが自分のやること、自分のあり方なのだから』とある時点で悟るんだ。我々はこの音楽と表裏一体だし、自分はビッグで騒々しいロックバンドで騒ぐのが大好きだ。健康な限りはやめる理由などないね」

「クイーンの活動前半ぐらいは」メイは思い起こす。「我々は『今はこうだが、先の人生は別のものになるかも』と思っていた。しかしこれが僕が人生で成してきたことだ。アーチストで、ギタリスト、ライター、プロデューサー・・・誇りに思っている」

「年に9か月はツアー、3か月はレコーディングだったロックスター時代より、今はよりバランスのとれた人間になったと思う。動物たちを守ったり、天文学、ステレオ写真などなおざりにしていたことにも取り組んできた。でもクイーンに呼ばれたら他はすべて二の次になる」

「必要に迫られているからではなく、何か素晴らしいことをしたいという強い気持ちがあるから今もうまくいっているのだと思う。その願望を失ったことはない。バッキンガム宮殿の屋上で演奏した時 [2002年、エリザベス女王の戴冠50年記念] のように。もちろんフレディがそばにいたわけではないが、あれもファビュラスなものを作り出したいという同じ願いの一環だったんだよ。そしてそういう思いにわくわくさせられなければアダムとのギグだってできない」

「ブライアンは実に多くのことに関わっているし、毛皮で覆われたあらゆる動物たちを守ってもいる。昆虫はまだのようだが」と笑うテイラー。「自分はボートが好きだし射撃も少しやるので全く違う種類の友人たちがいて、どのみちスケジュール帳はいっぱいだ。でもこれ(音楽/クイーン)は、昔ながらの安心感、それに自分は役立たずではないという気持ちに関する問題なんだ。 遊んで暮らすよりは働いていたいね。ただし、とびきりのフロントマン、それに満員のアリーナは必要だ。でなきゃ忘れろ。もし自分たちが悪戦苦闘し、聴き手が我慢していると感じたら自分はやらない。尻すぼみになるのはごめんだ。そうなったらおしまいじゃないか?」

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