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物件の問い合わせ

  巷では「ポツンと一軒家」という番組が人気らしく、ハナがUPした物件にも問い合わせが結構、来ているらしい。本当に人間って面倒くさくて不思議な生き物だわ。大沢集落のような生活をついこの間までしていたはずなのに、新しい技術や製品を手にいれた途端、過去をすっかり忘れたように生きている。人の手で田植えをしていたのもそんな昔じゃないわよね。この集落で田植えを機械でやり始めたのは、つい最近のような気がするけど。
 あらやだわ、何でこんな古い話を知ってるのかしら。どれも私が生まれる前の出来事なのに。長老たちから、たびたび昔の話を聞かされていたから、私も知っているような錯覚を持ったのかしら。自由に外を歩き、野山を駆けることが出来るようになり、昔は解らなかったことが理解できるようになったのかも知れないわね。空き家が埋まればいい理由じゃない。私が欲しいのは、ここをどんな集落にしたいのか、どんな生活をしたいのかを一緒に考えてくれる人や猫。難しい言い方をすれば「グランドデザイン」を描ける人。自分の幸せや利益しか考えない人はもちろん、お断り。自分も楽しみ、他人も楽しませてくれる人。他人の意見や自由を尊重できる人。何より、猫の人権と自由を大切にしてくれる人が一番、大切だわ。自由と我儘の分別が出来ることも大事だけど・・・あまり、条件を付けてはいけないわね、条件は2つまでと長老に言われたし。最優先は、猫の自由を認めてくれる人かな。
 旧矢口邸の住人は決まった。次の住人候補はエネルギーの自給自足が出来る人が欲しいな。今の人間たちは、電気がないと生活できないくらい、様々なエネルギーを他者依存している。その点でセイばあちゃん家は、他の家とは違っている。調理や暖房には薪ボイラーにクッキング薪ストーブ、自家用風力発電が2基、太陽温熱機、ソーラーパネル等々。なあぜ?
それは、夫の太郎さんが好奇心旺盛な発明好きな人だったから。冬場、家のことはセイばあちゃんに任せ、都会に働きに行きたくさんの知識と技術を持ち帰り、自分の家で試したの。セイばあちゃんも太郎さんに負けず劣らず、好奇心旺盛な女性だったから、夫が作るものを楽しんで使ってるの。セイばあちゃんは見かけによらず今どきの「理系女」なのよ。文明の利器だって使いこなしているわ。家には、役場が設置してくれた緊急連絡機能付きテレビ電話だってあるの。限界集落だからと言って、昔のような生活をしている訳じゃないの。見た目だけで判断して欲しくないわね。今の人は、限界集落というだけで不便で、大変な生活をしているのだろうと思ってるかもしれないけど(^^)/田舎の方が余程、豊かな生活をしているわ。なにより、ストレスフリーで健康的な生活ですから、人も猫も。
 
 

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