セイばあちゃんは、ハナとのおしゃべりがよっぽど楽しかったのか、私に話かけることなく深い眠りについたわ。私だって無性に誰かと話したくなるもの。まして、お喋り好きな乙女たちにとって久しぶりに誰かと語らうことは、時間を忘れるほど素敵な出来事だと思うわ。やっぱり早く、この限界集落に猫好きで楽しい住民に来て欲しいわね。私にもレオ君という助手兼相談相手が出来たことだし。彼の唯一の欠点はまだ、人生経験がとっても少ないということ。まあ、そこは私がフォローすればいいことだから
　さあ、レオ君との打ち合わせの時間だわ。まず、私の計画を話し、彼の役割を理解してもらわなくちゃいけないわね。私がここをどんな場所にしたいのか知りたい？そ・れ・は、次の住人が来れば解ってもらえるかも知れないわね。その前に、ハナをもう少し身ぎれいに、出会った人がハナの話を聞いてくらるような女性に仕上げていかなくては。人間は見ためじゃないよという人もいるけど、女性はやっぱり見た目が大事。美人なら大概のわがままや失敗も多めに見てもらえるわ。猫の世界だって同じ。美人猫の方がブス猫より貰い手が決まりやすいのよ。それには手先が器用なセイばあちゃんの協力も必要ね。今のセイばあちゃんからは想像できないかも知れないけど、若い頃の写真に写っているセイばあちゃんは中々の美人だったみたい。箪笥の中に若い頃の服を数着、隠しもっているのを見たことがあるの。レオと野山を駆け、畑仕事をさせたら今よりはマシになると思うわ。