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俺、競技パズルと出会う〜「アジア数独選手権2024」参加記

「数独」とは

すうどく、と読みます。「数字は独身に限る」を略したのでした。「Sudoku」の名前で、世界中で遊ばれています。上下左右をきょろきょろしながら、数字を埋めていきましょ。計算は不要、少しの注意力で解けるのです。

Nicoli「数独の遊び方、ルール、解き方

「上下左右をきょろきょろ」する、という本質情報。

数独、というパズルがある。


ナンプレ(ナンバープレース)とも呼ばれている


多くが正方形のかたちをしており、9×9のマスに分けられていて、合計で81マス。そしてそれぞれが3×3の9マスずつにも区切られている。
縦、横、3×3のブロックに1〜9までの数字を、必ず1回ずつ使って埋めていかなくてはいけない。2回以上使うのもダメ、1回も使わないのもダメ。81個の数字全てが埋まったらクリア、というシンプルなルール、これが数独である。

ペンシルパズルの中でも高い人気を誇り、専門雑誌も多く発行されているので、遊んだ人も多いかもしれない。
しかし、数独のタイムアタックの世界大会があることをご存知の方はどれくらいいるだろうか? 今回は、全くの素人であった私がひょんなことから大会に参加し(てしまっ)た様子をnoteに書いていくことにする。

数独と私

処理能力が早い子供だったらしい。
小学校3年生の頃、100マス計算で算盤をやってた子とタメ張れるくらいの成績だった。
そのころの私は0と1の掛け算をどれだけ早く書くかを研究していたが、算盤を習っていれば良かったのだろう。

数独に出会ったのは小学4年生の頃で、親戚のおばさんからパズル雑誌をもらったのがきっかけだった。
夏休みを潰す勢いでのめり込んだが、そもそも定石なんて全く知らないから中級問題でお手上げ。
そこからは1年に1回くらい「ナンプレ」と銘打たれた懸賞雑誌を購入しては、懸賞問題だけ解いて、でもハガキは出さない、みたいな時期が続いた。

数独の世界大会ィ!?

そこから20年くらい経過し、数独なんて名前も忘れかけていたある日、風の噂で「日本で数独の大会があるらしい」というのを聞いた。
聞けば、いくつかの数独の問題が出されて、制限時間内に何個正解できるかを競うらしい。アジア各国からも参加するとかなんとか…

めちゃ面白そうやん!
と最初は思ったが、流石に希望者全員が参加できるわけではなく、事前に国内予選があると。ただ、普段は上位数名しか通らないけど、今回は開催国枠として多めの人数が採用されるとかなんとか…(ここまで噂)

じゃあ、とりあえず腕試しで国内予選やってみますか! となった。これが予選3週間前、数独素人の無謀な挑戦である。

数独の喜びを知る頃

腕試しとは言うが、試す腕が無いと意味がないので、少しは勉強することにした。

数独には、数を埋めるためのテクニックが多数存在する。
・3×3のブロックの中でこの数字が入るのはこの場所しかない! と決める方法
・縦列・横列の中でこの数字が入るのはこの場所しかない! と決める方法
・1〜9の数字のうち、このマスにはこの数字しか入らない! と決める方法
・この2マス(3マス)の中にはこの2つ(3つ)の数字しか入らない、と選択肢を絞る方法
などなど、挙げればキリがないが、とにかく膨大な考え方がある。

その考え方に用語があることすら知らなかったが、「それは知ってるな」「そんな考え方ある!?」と学習を深めていった。
中にはたっぷりと時間を掛けなければ見つからないようなテクニックもあったが、タイムアタックが大前提の競技数独では(私にとっては)使いにくい。結果、覚えたテクニックは数個だったが、これがむしろプラスだったとも言える。

実は、出題されるジャンルはスタンダード(クラシック)数独ばかりではない。「バリアント」と呼ばれる数独の方が、配点は大きく作られている。
これは、スタンダードな数独にルールを追加したり変更したりして出題されるバラエティ形式の問題である。
例えば、
通常ルールに加えて対角線も1〜9を揃えないといけなかったり、
3×3のブロックではなく9マスではあるもののぐちゃぐちゃなブロックになっていたり、
チェスのナイトの利き筋には当該数字が入れなかったり(!?!?!?!?!?!?!!?!?!)
と様々なルールがある。

そのため、基本的なテクニックは抑えつつも、それぞれの数独を試して効率の良い解き方を編み出す方が大事だったのである。
そんなこんなで3週間、数独雑誌を解いたり数独アプリを解いたり過去問を解いたりして、国内予選の日となった。

国内予選だ!!!

アジア数独選手権2024の選抜予選(以下、国内予選)は、なんと60分で14個の問題を解くと言う形式だった。
1問あたりに掛けられる時間はおよそ4分ちょっと。そんな小問集合みたいな時間制限しないでくれよ〜、1つひとつが大問1個みたいなもんじゃねえかよ〜。

私の数独力では全問完答は不可能だと思っていたので、いくつか捨て問を作って60分解けるだけ解くつもりで臨んだ。

14問のうち、6問は9×9のサイズではなく6×6のサイズだったので、まず6×6の方を制圧。
クラシック問題を2問、あとはガツガツと9×9を解く…
と思っていたが、最も配点の高い問題に苦戦している間にどんどん時間が過ぎていく。
結局サムを解き終わった時点で制限時間は残り10分未満。
結果、14問中10問だけ解き切って、残り20秒くらいで解答を送信した。

結果発表〜!!

解き終わったあと、こんなの全部解き終わるやついるんかよと思いながらXを見ていたが、「簡単だった」「全答は結構いそう」みたいなポストを見かけ戦慄。
世界の壁はこれほどにも厚い… と痛感し、やっぱりまだまだ素人かぁ〜と己の無力さを嘆いた。3週間の付け焼き刃じゃあ流石に無理よね。

数日後、全体順位の結果が発表された。


ナンプレ愛男さんに1点及ばず


私の順位は27位! 600点中365点の成績で、思ったより高順位だった。とはいえ、流石に選抜はされないくらいの数字だな…と言う感じ(上位12名+αが選抜される、と記載されていた)。
ま、でも今後こういうイベントがあったら参加してみたい、ってモチベーションにもなったし、とても楽しかったです! 次は選抜されるように頑張ります!

終わり




終わらなかった

また数日後、事務局からメールが届いた。なぜか迷惑メールにフォルダ分けされていたので、その数日後にメールに気付いた。

「ASC2024本戦出場権獲得のお知らせ」

ほォん?

日本パズル連盟 アジア数独選手権2024(ASC2024)運営事務局です。

国内予選にご参加いただき、ありがとうございました。
選考の結果、また、海外参加者との人数調整の結果、 【れ】様は1/28(日)に静岡県で開催される本戦への出場権を獲得されました。

届いたメール(本名は隠してあります)

キタ━(゚∀゚)━┥東│東│東│  │  │  │発│発│発│中│中│中│北┝┥北┝━(゚∀゚)━!!!

なななんと(楽天カードマンの言い方)
本戦に出場できることが決まったらしい。
聞けば今回は「マスター」と「ノーマル」にカテゴリが分けられており、マスターに12名、ノーマルに12名+開催県枠4名、の合計28名が出場できることになったそうだ。なので27位でも入ることができたのだった。

え、ちょっと待って、え?
競技パズルど素人の私が参加して良いものだろうか? 隣町にお出かけに行ったらはぐれメタルが居ましたくらいの経験値を稼いでしまっている気がする。
でも、もちろん断る理由はないので、二つ返事で行きます! と事務局に申し出た。かくして本戦の切符が舞い込んできたのである。

「なまか」のありがたみ

しかも私にとって僥倖だったのは、同じ本戦出場者に大学時代の知り合いがいたことだ(magnetという名前で予選に応募していたので、以降「Mくん」とする)。
大学は同じではなかったが、競技クイズのインカレサークルで知り合った仲である。私には仲間、いや なまかがいる。


明日は目が覚めたら、晴れ!

本戦の1週間ほど前にインストラクションファイル(大会で行われるルールが書かれた冊子)が送られてくるのだが、公平を期すために全て英語で書かれているので「これどう言う意味!?!?」みたいなものも多い。Google翻訳で試しても分からなかったりする。
しかし、Mくんと一緒にインストラクションファイルの読み合わせができたので、ほとんどの疑問を解消することができた。これもなまかの力である。

本戦出場が決定してから1ヶ月くらいの時間があったが、やることは変わらず数独の雑誌を読んだり、アプリを遊んだり、という感じ。
まあなんやかんやあって、本番前日の朝を迎えた。

いざ静岡

1月28日に本戦があるのだが、その前日にウェルカムディナーと言う交流会があるらしく、27日に静岡に向かうことになった。
その日は不謹慎な内容しか出ないクイズ大会があったのでそちらに参加(というか観戦)しに行き、申し訳ないが中座させていただいた。
余談だが、前日に宮川◯輔にそっくりの指名手配者が捕まり、大会でバッチリ出題されたので大盛り上がりだったらしい。
いざ鎌倉、のちょっと西、静岡!


ちゃんとオタクの恒例行事をやるタイプ


東京駅に着いてホームで新幹線を待っていると、「3月15日より東海道新幹線では喫煙ルームを廃止します」というアナウンスが聞こえてきた。
私は愛煙家ではないが嫌煙家でもないので、吸う人は大変だなぁ…とぼんやり思うなどした。
グリーン車に乗っている人の方が喫煙率は高そうだけど、そういったお客さんの需要が減ったりしないんだろうか?
…そんなことを考えながら「ひかり」に乗ってたらすぐに寝て、起きたら静岡まであと5分の場所だった。セーフ


会場

会場は静岡駅から徒歩数分の場所にあった。
受付を済ませ(参加費は現金支払いだったが待ち合わせが少なく近くのセブンで調達した)、参加者の方々と初顔合わせ。
「すごい方々が集まってますよ!」と運営の方が鼻息荒く紹介していただいたのは有り難かったのだが、名前と顔が一致しない以前にビッグネームと言われる方の名前も存じていなかったので、経験値の無さを感じた笑

しかしすごい会場だ。次世代のホールって感じ。ここで数独素人の私がアジア中の数独強者と数独を解くのか…
シバリングさながらの身の震えを感じたが、来ちゃったからにはもうやるっきゃない。こんな環境でパズルを解かせてもらえるなんて、当たり前じゃねぇからな!


「当たり前じゃねえからな!」と「やるっきゃない!」


チームの†絆†が深まっていく…

さて、ウェルカムディナーはチームごとに分かれての形式だった。
実は、今回の大会は個人戦とチーム戦で分かれている。最初の6ラウンドが個人戦。最後の2ラウンドがチーム戦だ。
そこで、1つのテーブルに同じチームメンバーが集まって食事を摂ることになった。好きなものを取っていくビュッフェ形式で、肩肘張らずに食べられるメニューなのはありがたかった。
立食パーティーにありがちなオシャレフィンガーフードとか出てきたら、そっちに集中しちゃいそうな気がするし。


唐揚げ・ポテト・サラミは大会期間中ずっと出た

そしてさらに驚いたのは、チームメンバーにMくんがいたことである。
チームメンバーは国内予選の得点が高い順にチームを組むんだけど、私が365点、Mくんが416点とかなり近かったので同じチームとなった。

あと、同じチームメンバーにはOVER50枠(50歳以上の参加部門)で参加される方も。聞けばパズル歴20年以上のでぇベテランで、今回は旦那さんもゲストとして来られていた。チーム内のパズル歴格差はおそらく私たちが最も大きいだろう。
チームJAPAN-B、頑張るぞ!!!

本当はもう一人、競技パズル界隈では名の知れた(らしい)方がチームメンバーにいらっしゃるらしいんだけど、1時間くらいお見えにならなかったので各自解散する運びとなった。
次の日に聞いたところ「18時から21時までディナーって日程表に書いてあったから、20時くらいに行けばいいやと思って」とのこと。パズル強者は考え方も超合理的である。

解散後はビジネスホテルに泊まり、フースーヤの敗者復活を見たり、SASUKEの完全制覇RTAを見たり、二子山部屋のYouTubeを見たりして過ごした。
24時には寝た。

早く起きた朝は

5時に起きた。早すぎだろ(当社比)!
最低でも7時間は寝ないと調子が出ない私、流石にもうちょっと寝たいと布団に入るものの…
交感神経ドバドバで寝付けられず。結局7時くらいまでは、目を瞑ってちょっと寝て5分くらいで目を覚まして、みたいなサイクルが続いた。
流石にもう朝食の時間なので起きて、身支度して、3つくらい隣の客室にいたMくんと一緒に朝食会場に向かった。


このソーセージが出てきたご飯史上一番美味かったです。なんで朝食だけでしか出ないんだよォ

選手権(バァ〜トル)、開始ィ!

朝食を終えたら即会場に移動。と言うのも、午前中のスケジュールがすごいことになっているからだ。

・〜8:30 朝食
・8:40〜 オープニングセレモニー
・9:00〜 第1ラウンド(40分)
・9:50〜 第2ラウンド(50分)
・10:50〜 第3ラウンド(50分)
・11:50〜 第4ラウンド(45分)

模試か。
それぞれ10分の休憩があると言っても、集中力続かないよ〜…
2日間開催だったらもうちょっと間隔を空けることも出来たんだろうけど、1日開催だからしょうがない。コンパクトにまとめてくれてタイパ抜群♪と思っておこう。

オープニングセレモニーは運営の方々による英語の挨拶だった。なんとか聞き取れた。

いよいよ選手権だ、頑張るぞ!

ティッシュを鼻の穴に突っ込んだ

と意気込むものの、体調が最悪に近かった。
私は花粉症などのアレルギー性鼻炎にかかっている。
アレルギー性鼻炎といえば「モーニングアタック」である。特に朝の間、くしゃみや鼻水が止まらないと言う症状だ。
普段は起きて1時間も経てば治まるのだが、今日は寝不足なのか緊張なのか自立神経がぶっ壊れているのか鼻水ズルズルが止まらなかった。「鼻セレブ」を1ラウンドで1.5袋消費するくらいだ。鼻をかむ音も周りに聞こえて集中力が削がれていただろう、申し訳ありません。

キリがないので、第3ラウンドからは鼻の両穴に小さくティッシュを詰め込んで鼻水を堰き止めながら解いた。大会を撮影している運営の方や記者の方には「ティッシュ突っ込んでいるコイツのせいで撮影しにくいな〜」と思われたことだろう。大変申し訳ありません。
午後には流石に落ち着いたが、午前中はずっと数独・鼻炎のタッグマッチだった。

各ラウンドを振り返ろう! のコーナー

かくして体調自体は良くなかったものの、集中力を切らすことは無く、黙々と数独を解いていった。
せっかくなので、得点とともにそれぞれのラウンドを振り返っていこう。

第1ラウンド 300/400点

第1ラウンドは「クラシック」。特別なルールがないシンプルな数独だ。ただし40分で11個の数独を解く必要がある。
配点の低い5点〜20点問題は特に詰まらず。30点の配点がある問題で「このマス、1と6の2択だな〜」となり、適当に6を入れたらすぐに破綻したのでリカバリーに成功。
10問目・11問目はそれぞれ配点が90点・100点の難しい問題だったが、どちらか1つは解きたい! と10問目に注力したところ残り1分で全部を埋め切って10完。出だしは好調!

第2ラウンド 315/500点

第2ラウンドは「スタンダード」。第2ラウンド以降は全てバリアントの出題となるが、このラウンドでは比較的有名な(対角線、幾何学、一つ違いなど)ルールの問題が出題された。50分で8題と第1ラウンドよりは制限時間緩め。
ラスト4題の配点が70点〜100点と重めなので、とりあえずここで2個は取りたい! と「不等号」と「幾何学」にチャレンジ。数字の大小関係がいくつかのマスに書かれている不等号の問題は、このマスは3以下、このマスは6以上…と冷静に選択肢を絞ってクリア。ブロックの形がそれぞれ異なる幾何学の問題は、予約アンド予約でゴリゴリに埋めていった。
2問を残して7〜8分あったので残った問題もチャレンジしたが、早々にペンが止まって間に合わず。まあでも、6割取れたら私の中では悪くないかな。

第3ラウンド 145/500点

第3ラウンドは大きくミスってしまった。9×9の数独の域を超え、3Dになったりマスが六角形になったり、数字じゃなくアルファベットが入ったりとバラエティ豊かな形式が多いこのラウンド。50分で9題を解く必要がある。
まず最初に苦しんだのが「セレクト・一つ違い」の数独である。そもそも一つ違い(Consecutive)とは、隣り合ったマスの数字が一つ違いなら境目に太線が引かれるという形式なのだが、登場する数字を0〜9のうちから6個選ばなければいけない。
この数字を決定するのにかなりの時間がかかった。最後の数字の選択肢が「3」「5」のどちらかだったので、今考えてみたら最初に決め打ちして間違ったら別の数字に変えれば良いんだけど、焦りから10分以上ここで使ってしまった。
さらに、六角形の対角線上も同じ数字が入らない「ヘックス」では20分以上時間を使い、しかも解けないと言う踏んだり蹴ったり。次の問題を家で解いたら10分も掛からなかったので、これは大きく作戦ミス…

第4ラウンド 315/500点

次の形式は「ダブル」をテーマにしたバリアント。指定されたマスには同じ数字が2回だけ入るとか、2つの数独が組み合わさっているとか、そういったジャンルの問題だ。45分で10問と時間は厳し目。そもそも全部厳しいがw
6×6の数独が多いこのラウンドでは、数十秒考えて分からなかったらとりあえず埋めてみる作戦を実行。これが功を奏して大きなタイムロスは無く後半まで進むことができた。
後半の問題には「ダブルアップ」と呼ばれる、丸で囲われたマスは、線で繋がっている点線で囲われたマスの数字の2倍になると言う形式のルールがあった。
例)丸の中の数字2マスを左から読むと「16」だった場合、線で繋がっている点線1マスの数字は「8」になる
そして問題の中に、なんと9桁の点線囲いと9桁の丸囲いがあるではないか!
これは計算するの骨だぞ…と左から埋めていくと、点線囲いの方が「1234」と埋まっていった。
これはもしかして123456789では!? と埋めていったところなんとこれが正解。
やっぱり人が作るものなので、メタ読みも大事よね。

もぐもぐタイム

4ラウンドの結果は、◎、◯、大バツ、◯で、目標としていた6割には少しだけ届いていないくらい。ここから巻き返すぞ!
ここで約80分の昼食休憩に。大会期間中のご飯は全て用意していただいているのだが、その分食べるものも同じになるので一長一短という感じ。
昼食では昨日お会いできなかったもう一人のチームメンバーと挨拶。すごい頻度で声を掛けられていたので人気者の方なんだろう。
というかMくんも一方的にXアカウントを知っていたらしい。面白。世界狭。
聞くとこの方は数年前に数独の世界大会も参加したことがあるそうで、そりゃ顔も広いよな〜となった。

この大会のノーマル部門に参加した方は、数独専門と言うよりもパズルを広く好きな方が多いみたいだ。
私自身は今まで他のパズルには興味がなくて、謎解きやリアル脱出ゲームの経験も全く無いんだけど、ちょっとやってみようかな…という気になった。使う脳の領域は同じような気もするし。

午後を振り返るコーナー

ご飯を食べて、近くのセブンイレブンでポケットティッシュを補充して、会場戻って少しだけ寝て、そして次のラウンドが開始する時間となった。

個人戦はあと2ラウンド。第5・第6ラウンドはそこまで苦手な形式もなかったし、このまま突っ走るぞ!

第5ラウンド 45/650点

からのこれだよ。45点!?!? なんでこんなことになってしまうんだ!!!
まず、ルールとしては60分12問の数独。ジャンルは「ジャパニーズ」となっていて、日本で人気のある? 日本生まれの? 出題ジャンルであった。
しかし、
・3問目では1つ数字を書き忘れてペケ
・4問目では「まさかこうはしないだろう」みたいな先入観を持って解いてしまい相当なタイムロス
と序盤から厳しい展開に。
さらに、7問目のキラー、9問目のラウンドオフ、10問目のクロックは全部時間かけたのに全破綻!!
せめてどれかしら合っていれば冷静になることも出来たんだろうけど、マジでこれはキツかった…
ちなみに45点という数字はワースト8位、上位30傑の中では最下位である。

第6ラウンド 200/600点

第5ラウンドがこの調子じゃ、第6ラウンドもコケてしまうのは当たり前といえば当たり前だった。
第6ラウンドは「リレー」。まず1個の数独を解いて、その結果をヒントに次の数独を解いて…と言う形式。このラウンドに限り、最後1個の数独が解けなくとも50%の点数がもらえるという部分点ルールがある。
最初の3つの問題はおおよそ20分くらいで解けて、200点を確保。しかし4問目では、なんと途中1つの数独を飛ばして回答する大ポカを披露!!! 結果が返ってきた時はバカすぎるな〜と切なくなった。
5問目・6問目は、6×6→8×8→9×9の異なるサイズでリレーを行う形式で、つまり8×8まで解けていれば50%のスコアは確保できる。しかし、なんとなく両方6×6だけ解いた後、8×8で頓挫してしまいポイント獲得はならず。どちらかに注力していれば50%は取れたかもしれなかったが、そういった戦略を考えるにはまだまだ実力が足りないといったところだろう。

この状況で団体戦やるの!?

と言うことで、午後は散々な出来だった。
そして、個人戦が終わったら25分後に団体戦が開始してしまう。自信をそこそこ喪失してしまったが、このメンタルで団体戦に臨めるだろうか? 自信ってどうやって取り戻すの? 上野クリニック?
開始10分くらい前に会場設営(個人戦→団体戦の模様替え)が終わり、改めて4人のチームメンバーが揃った。
団体戦は2種目。1つ目が「4つの数独を一人1個解いて、その数字を元に5つ目の数独を解く」と言うリレー形式。
2つ目は、14個の数独が富士山のような形に重なっていて、4人で全てのマスを埋める、と言う形式だ。
そしてこの1つ目の形式が、すごい難しいよね、という話になっていた。

一人1個解く数独の内容は「All Odd or Even」、簡単に言えば「全て奇数か偶数」という意味がある。
普通の数独のマスの中に枠線が引かれていて、その枠線の中にある数字は、全部が偶数か全部が奇数かのどちらかである、というルールだ。
だから、その枠の中に「1」が入っていたら、その枠に2,4,6,8は入れない。

ところで、ルールブック(インストラクションファイル)には、例題とその答えが書かれている。4人で解く5つ目の数独のルールも書かれていたので、例題としては4問記載されていた。
もちろん解いてみたのだが、制限時間25分以内に解けたのは1個だけ。残り3問については検討も付かなかった。
これは他のチームメンバーも同じくらいの成績だったので、「とりあえず自分担当のやつだけは解き切りましょう!」という目標を立てた。

でもさあ、午後あんなにダメダメだったのに、団体戦で出来る気しないんだけど! 私だけ全然出来なくて迷惑かけたらどうしよう!! えっもう始まんの!? もうカウントダウン始まってるけど、5,4,3,2,1,

スタート!

なんか意外と解けた。
ここは偶数以外あり得ない、ということは上にあるこの枠線は奇数以外あり得ない、みたいな決め方が綺麗にハマり、7〜8分で解答完了。
チームメンバーも結構早めに埋めてくれて、4人全員が解答を埋め切った時にはおよそ10分くらいの残り時間があった。
ラストの数独はかなり丁寧に解いて、制限時間いっぱいでフィニッシュ。満点の1000ポイントを手に入れた。

…しかし、日本チームの中では最下位のタイムだったらしい笑
団体戦では、早く解き終わって「フィニッシュ」と伝えると、全問正解だった場合に限り1分あたり40ポイントを追加で獲得できる。正確性は前提だが、できるなら早く終わっておきたいところだ。

次は挽回したいねー、みたいなことをラウンド間の休憩中に話していると、自由研究で使う紙くらいデカい問題用紙が配られた。多分A0サイズだ。
団体戦第2ラウンド「Mt.Fuji」。


14個の数独が富士山の形に並んでいる。一部はオーバーラップ(重なっている)となっており、14個全てを埋めることができればクリア。
配点は1問150点×14の合計2100点、制限時間は50分の大勝負である。

大きい1つの問題に、チームメンバーが一丸となって立ち向かう。
高校生クイズの準決勝みたいだ。私は今一番、この世で数独を楽しんでいる!!

Japan-B vs Mt.Fuji

Mt.Fujiとの戦いの火蓋が切って落とされた。

最初はあまり「この人はこれ担当」みたいなことは決めずに、とにかく目の前にある敵を倒すことに専念した。
しかしA0サイズとは言っても、4人が同じ場所にいるから狭い!!
利き手も違うので、別のメンバーが数字を書いてから隣に書く…みたいなことも結構あった。
担当している数独の隣が埋まると、こちらの数字も埋めることができたりして、チームで戦ってる〜! という気持ちも強くなり。
最初は本当に埋まるんかよコレ…みたいな気持ちではいたが、徐々に完成度は上がっていった。

即席チームながら、チームワークは結構良かったと思う。
ここ埋めて欲しい! ってポイントをすぐに埋めてくれたり、数字を書いたら「じゃあこのマスは9だね」と確認してくれたり、大きなトラブルもなくグングンと進んでいった。

開始31分20秒! なんと全てのマスを埋めることができたのである。
あとは40秒の猶予がある(1分毎に40点加算されるため、残り時間が00秒になるまで点数は変わらない)ので、埋め漏らしなどがないかしっかりと確認して、「Finished!」と運営の方にコール、アジア数独選手権の全部門が終わったのだった。

幕間

20分弱時間が残っていたので、ホールの外に出てメンバーと談笑することに。
途中、ルールブックの裏に書いてあったおまけの数独をみんなで解いていたんだけど、私が「このマス埋まってくれたらアツいんだけどな」とか、マスが埋まった時に「アッツ〜」みたいなことを言っていたらウケた。何その表現、みたいな感じで。
よくよく考えてみると、確かにパズルは1つの解があって、その解に向けて道を歩むものだから、「こうなったら良い」という考えは変かもしれない。答えはアツくならないもんね。
だけど、私はパズルを解くそのストーリーにアツさを感じている。早い話、脳汁センサーがアツさを告げているのである。この問題、解けた! 脳汁信号キュインキュイン!!である。


「脳汁信号キュインキュイン!!ですから」「から」「から」

思ったけどコイツ(私)2000年代のフジテレビ好きすぎないか?

ディナーの時間だ!!

全てのプログラムが終わり、ディナーの時間となった。
夕食会場は昨日と同じ。普段はバーとして使われており、隣にボウリングレーンがあるお店を貸し切って使われている。特にボウリングのピンが置かれている場所に一番近いテーブルに座ったので、「意外とピンの間隔広いな」「ボールって運動エネルギーで返ってくるんだね」みたいな話をした。

これまではソフトドリンクのみだったが、ディナーに限りお酒も解禁されるらしい! 早速スタッフの方にシャンディガフの注文をお願いしたものの、「日本語は私(スタッフさん)通さなくても…」と言われ、そらそうかとなった。わーいお酒ら。優勝ら。

JAPAN-Bの結果はーーーー!!! こちらーーーー!!!!!!

午後8時過ぎ、全ての採点が終わって、最終結果が発表された。
個人戦だと、私の順位は20何位くらい。JAPAN-Bの中ではブッチで低かった。3ラウンドと5ラウンドでどうにかなっていれば、もうちょっと高順位は狙えたかもしれない。実力不足以前に経験不足だったのかな…

ちなみに、ノーマル部門で優勝したのは中国から来た10歳? 9歳? の選手だった。
数独大国中国、ヤバすぎる。だって3150点満点のテストで3155点取ってんだぜ。意味わかんねーよ。

ま、個人戦はこの際どうでもいいのよ。ノーマル部門に参加した団体戦13チームの中で、表彰台に入れるかどうか、という戦いなわけ。
18分残して最後クリアできたのはいいけど、日本チームは結構その辺りで完答してた所が多かったはず…! メダル、欲しい…!

1位 CHINA-A 4540pt
2位 JAPAN-A 4180pt
3位 JAPAN-C 3900pt
4位 JAPAN-B 3820pt

負けたあああああ…
ちなみにJAPAN-A,B,Cはいずれも最終問題を18分残しでクリアしているので、明暗を分けたのは1つ目のリレー数独だった。
あと2分早く提出していれば同率3位、3分早ければ単独3位、となっていたのでとっても悔しい。ちなみに5位とは40pt差だったので、こちらは辛勝。
手が届くところにあったメダルが遠ざかっていく…

ちなみに1位のCHINA-Aに勝とうと思ったら、2つ合わせて19分早く解かなくてはならない。流石に無理だあね。

そうそう、同じチームで戦っていたOVER50枠の方が、なんとOVER50枠で優勝しました!! これは本当にすごい。
50歳になっても数独を愛していきたいな、と思った一幕だった。

家に帰るまでがASC2024です

セレモニーも終わり、あとはみんな解散の流れに。チームメンバーの方にはありがとうございました、また是非よろしくお願いしますと挨拶して、ホテルで一泊(なんで今日の方がよく寝られるんだ!)。

静岡旅行3日目は、


ご飯の大盛りは+50円。親切!

「さわやか」のげんこつハンバーグ定食を食べて、


網野サイボーグスみたいなAI研究の話

『アイシールド21』が載ったジャンプを読んで、


珍しいゲームの内容は私のYouTubeで!(今後動画あげます)

珍しいゲームの多いゲーセンに行き、


にぼ三朗

東京に戻って、煮干し×次郎系のラーメンを食べて、家に帰り着いた。

パズル、楽しすぎる

数独どころかパズル素人の私が、僥倖にも数独の世界大会まで足を踏み入れることができた。
せっかくなので、素人として、数独の大会の楽しさを述べたい。

年齢、問わなすぎる

10歳の子が世界大会で優勝するくらい、数独は年齢を問わない。
50歳を超えていたって楽しめる。なんなら、100歳でも楽しめる。
もしかしたら、惣菜に手際よく割引シールを貼るパートのおばさまが、数独の達人であるかもしれない。
今回、アジア数独選手権には、ノーマル部門だけでも15歳以下の選手が34%、50歳以上の選手が16%参加している。
それくらい、数独はどんな人にも愛されているし、どんな人にも合うパズルなんだろう。

国境、超えすぎる

1〜9の数を知っていれば、数独は解ける。
同じもので対決する時、どうしてもネックになるのは言語の壁、そして文化の壁である。ペンシルパズルであっても、母語以外のクロスワードは大変だろうし、イラストロジックにしても見覚えのないイラストは作りにくい。
しかし数独は、どの言語圏でもどの文化圏でも妨げられることはない。
今回の大会は、日本、中国、台湾、韓国、フィリピン、タイ、モンゴル、インドなど、非公式参加を含め10以上の国・地域から静岡に数独好きが集まってきた。数独の輪は世界中に広がっている。

すぐ始められるし、極めるのに一生かかる

オセロの格言に「覚えるのは1分 極めるのは一生」というものがあるが、数独もそのジャンルの一つだろう。
なんなら私自身、本格的に数独を始めたのは国内予選が開始する3週間くらい前のことだ。
ルールは簡単、でもいくらでも難しくできるし、それをどう乗り越えるかによって他人と対決できる、そんな爆裂脳汁コスパのゲーム、他にありますか?

この大会をきっかけに、おそらく私は一生数独を楽しみ続けるのだろう。
次は5月に「WSC(世界数独選手権)」の国内予選があるらしいので、まずはそこから挑戦していきたい。
俺の競技パズル人生はまだ始まったばかりだ!

以下、謝辞なり感想なり
・ASC2024を主催していただいた日本パズル連盟様をはじめとするスタッフの方々、チームメイトの皆さん、参加者の皆さん、大変ありがとうございました。メールのお返事遅れまして申し訳ございません! 鼻水の出が凄くて大変申し訳ございません!
・今まで全く触れてこなかったパズルに少し興味が沸いているので、初学者にやさしいパズル本なりイベントなりお店なりがございましたら教えていただけると大変嬉しいです。
・YouTubeチャンネルやってます。

こちらは主にゲームセンターのゲームを遊んでいるチャンネルですが、今年から雑学・クイズなどを主題とした動画もリリースしていく予定です。

・「数独/SUDOKU」は、(株)ニコリの登録商標です。



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