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【駒澤vs早稲田】ダブルはさせない。首位早稲田の主将の意地。


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初めまして。私は駒大スポーツ(www.komaspo.com)でサッカー担当をさせていただいております、駒澤大学3年の宮下響と申します。今回は、取材で仲良くさせていただいている竹中さんからお話をいただき、【関東大学サッカーリーグ第16節・駒澤大学vs早稲田大学】のマッチレポートと全選手採点・寸評を書かせていただきます!

私が駒大スポーツ(以下:コマスポ)の記者になってから2年半が経ちます。本格的に取材に行かせていただいたのは昨年から。関東リーグは昨季前期の1試合を除いては駒大の全試合に取材に行っています。とはいえ、まだまだ半人前の学生記者ですので、至らぬところもあるかと思いますが、手厳しい意見でも結構ですので是非ともご意見、ご感想いただければ幸いです。今回は駒大への愛を少し押しとどめながら、やや中立な立場かつ駒大寄りで記事を書かせていただきたく思います。駒大の学生記者であるため、情報の濃さが駒大に偏ることはご容赦ください。


リベンジに燃える早大

時を遡ることおよそ5ヶ月前の第6節。前期リーグにおける駒大と早大の対戦は“時の”首位攻防戦だった。昇格組ながら開幕4連勝という好スタートを切り、瞬く間に首位に躍り出た早大と、天皇杯予選との二足の草鞋を履きながら連勝を積み重ねた駒大の天王山として扱われたこの一戦で、駒大が早大の強力攻撃陣を粘り強い守備で封殺。攻撃陣が3分間で2点を奪い、その後もハイプレスから幾度となく早大ゴールを脅かした。2-0とスコアでも内容でも圧倒した駒大が勝利し、首位へ浮上したのだ。

その後は天皇杯の連戦もあって失速して前期を終えた駒大と、堅実に勝ち点を積んでいった早大の差は広がるばかり。前期リーグが終わってみれば、早大に黒星をつけたのは駒大のみだった。

早大にとってはリベンジの意味合いが強いこの試合。序盤は早大がボランチの工藤泰平(2年・日大藤沢)と栗島健太(3年・流経大柏)が相馬勇紀(4年・三菱養和SC・Y)、FW武田太一(3年・G大阪Y)、岡田優希(4年・川崎U-18)の3トップに素速く預ける形を狙うが、駒大は縦パスのコースを切ってボランチがボールをカットする場面が散見する格好に。苦しい中でもサイドにボールを配給する早大に対して粘っこく耐えていく駒大という構図が出来上がっていた。早大における最大のキーマンとも言える相馬はDF桧山悠也(1年・市立船橋)の間合いに引き込まれる場面が多く、ややフラストレーションを溜めているようだった。

駒大攻撃陣は得意技であるロングボールのターゲットをエースのFW高橋潤哉(3年・山形Y)に絞り、素速くサイドにはたく王道パターンを形成した。攻撃の中心であるドリブラー・MF中原輝(4年・ルーテル学院)にボールが渡る場面は多かったものの、思うようなチャンスメイクはできず。前半はどちらが圧倒的にペースを握ることもなく、互いの良さがぶつかり合うままスコアレスで折り返した。

後半開始からは運動量で勝る駒大が主導権を握る展開に。前半と比べて、高橋の空中戦勝率が上昇。敵陣中央での競り合いで早大の守備的な選手を1枚ないしは2枚引き出し、サイドにスペースを生むことに成功する。高橋も決定的なシュートを放つなどじわじわと駒大がゴールに近づくと、均衡が破れたのは74分だった。

中原がロビングパスを送ると、高橋が競り合ってDFラインの裏へボールが流れる。途中出場の矢崎一輝(2年・駒大高)がこれを拾い、GKとの1対1の局面でシュートを放つ。これはやや前に飛び出た小島亨介(4年・名古屋U-18)にセーブされるが、こぼれ球に反応した坂本和雅(4年・聖和学園)ががら空きのゴールに流し込み、首位相手に“ダブル”を狙う駒大が先制に成功した。

ここから駒大はわずかな点差を守りきるべく、堅実なプレーが持ち味のMF鈴木隆作(4年・駒大高)を入れ試合をクローズさせに行く。
しかし、ここで意地を見せるのが首位・外池早稲田だった。

アディショナルタイム突入間近の90分、後半途中から左サイドに移っていた相馬がDFの股を抜いて縦にドリブル突破を仕掛ける。左サイドの敵陣深い位置まで持ち上がると、フォローに入った岡田へパス。早大の“ゼウス”がペナルティエリア手前から地を這うようなミドルシュートを放つと、これが枠の左隅に突き刺さった。DFも正面にいたために狙えるのはわずかなコースのみで、簡単ではないゴールだ。関東1部の得点ランクで首位を走る男の底力を見た。
相馬、岡田が近い位置でプレーすることで何かが起きることはわかっていたが、さすがのクオリティと言わんばかり。
そして、試合は1−1のドロー決着に。駒大はゲームプラン通りに進めながら勝利目前での同点被弾。上位進出はお預けとなり、悔やまれる引き分けとなった。89分までは集中と徹底が首位チームを圧倒していたが、最後の最後に足元をすくわれてしまった。試合後、秋田監督は「残念だけど、これが今の実力」としながらも、主軸の大塲淳矢(4年・藤枝東)、室町仁紀(4年・東京V・Y)を欠きながら善戦したチームに「粘ってやれたのはよかった」との評価を口にした。

■全選手採点・寸評

●駒澤大学

GK 1 角井 栄太郎(4年・三浦学苑)6.5
前半に見せたビッグセーブやカウンターのきっかけとなる正確なフィードが光った。ここ数試合は失点に関与する場面があっただけに、復調のきっかけとしたい。

DF 30 深見 侑生(3年・駒大高)5.5
敏捷性に優れる才能派SBは安定したプレーを見せたものの、最後の失点のきっかけを与えてしまった。粘りは見せていただけに、悔やまれる1プレーに。

DF 4 伊勢 渉(4年・神戸国際大附属)6.5
早大・FW武田太一に徹底マークでまったく仕事をさせず。地上戦、空中戦ともに駒大の粘り強さの象徴となった。

DF 3 星 キョーワァン(4年・矢板中央)5.5
伊勢のカバーリングが主な仕事となり、この試合は目立ったプレーが見受けられず。セットプレーでは相手の徹底マークを受けたが、それを押しのける強さを見たい。

DF 25 桧山 悠也(1年・市立船橋)7.0
相手が強くなればなるほど実力を発揮するルーキー。この試合も相馬を自らの土俵に上げ、逆サイドへ追いやった

MF 17 福地 拓也(4年・瀬戸内)6.0
前半から徹底したコーチングでチームを統率。競り合いの際に声を上げながら弾き返す気迫のこもったプレーを見せた。

MF 16 薬真寺 孝弥(2年・長崎総科大附属)6.0
味方がオフサイドにかかっていなければ何アシストをしていたか…。相手の背後を突くスルーパスは一級品。福地とともに中盤で守備にも奔走した。

MF 2 須藤 皓生(4年・駒大高) 5.5
初のサイドハーフの先発起用で奮闘したが、相手に持ち味の空中戦で勝負をさせてもらえず。守備にかかる負担もあり、攻撃的なプレーは少なかった。

MF 10 中原 輝(4年・ルーテル学院) 6.0
後期になってから徹底マークに苦しんでいる。しかし、今日も両足の高精度なキックでチャンスを演出した。

FW 8 川崎 貫太(4年・流経大柏) 5.5
後期初先発のピッチで献身性こそ見せたが、相手に高さでやや引けをとった印象。クロスに対してニアサイドへ飛び込む姿は得点の匂いを感じる。

FW 9 高橋 潤哉(3年・山形Y) 6.0
普段は2トップを組む室町仁紀がいなかったため、相手のCBとの勝負を全て引き受ける格好に。GKが小島亨介でなければハットトリックも狙えた。

SUB
MF 14 坂本 和雅(4年・聖和学園) 7.0
ジョーカーはこの日も輝いた。迷いなく突破→シュートへ持ち込む姿はチームに欠かせないピースに。

FW 18 矢崎 一輝(2年・駒大高) 6.5
投入直後から得点に絡み、チームにおいて即効性のある劇薬となった。他の選手との連携を高めることがさらなる進化を生むだろう。

MF 13 鈴木 隆作(4年・駒大高)-
時間短く、評価なし。

●早稲田大学
GK 1 小島 亨介(4年・名古屋U-18) 6.5
勝負どころで見せるビッグセーブはさすがのクオリティ。前半にはキックミスも散見されたが、彼がいなければ大量失点もあり得た。

DF 2 牧野 潤(2年・ JFAアカデミー)6.0
中原とのマッチアップでこそ先手を打ったが、坂本のスピードを止められず。前後半で対照的なパフォーマンスになった・

DF 3 大桃 海斗(3年・帝京長岡) 5.5
ペナルティエリアでの1対1の場面でかわされてしまう場面が要所で見られた。スピードとテクニックに振り切られない強さを身につけたい。

DF 5 杉山 耕二(2年・三菱養和SC・Y)6.0
高橋との空中戦では白熱のバトルを見せた。パワーを生かしたプレーが光ったが、裏への抜け出しにも落ち着いて対応した。

DF 6 冨田 康平(4年・市立浦和)5.5
時折見せるオーバーラップは迫力満点。しかし、相手数人に囲まれる場面が目立ち、思うような攻撃参加を見せられず・

MF 17 工藤 泰平(2年・日大藤沢)6.0
駒大対策にはうってつけのパワー系ボランチ。しかし、空中戦に奔走するあまり、その後の2次攻撃に対応できず。見せ場が多いとは言えなかった。

MF 8 栗島 健太(3年・流経大柏) 6.0
縦パスのコースを序盤に切られてからは、ピッチ中央から横パスの配球役を担った。サイドハーフに注意が向くからこそ決定的な仕事が見たい。

MF 7 金田 拓海(3年・神戸U-18) 5.5
サイド攻撃を主にしていたため、トップ下の彼を飛ばして攻撃が成立する場面が目立った。要所でセカンドボールは拾えていた印象を受ける。

FW 10 岡田 優希(4年・川崎U-18) 7.0 ★MOM
最後の最後にチームを救った得点王。金田が下がってトップ下に入ったことが相馬とのコンビを発揮するポイントになった。

FW 9 武田 太一(3年・G大阪Y)5.0
伊勢に持ち味を完全に消され、早々での途中交代となった。今季は伊勢、星の強さに屈する格好となったが、来年は駒大戦でより一層の活躍が期待される。

FW 11 相馬 勇紀(4年・三菱養和SC.Y)6.0
同点弾を演出したが、それまでは桧山の対応にストロングポイントを出しきれず。守備では中原の対応に追われ、ボールも低い位置で受けることが多かった。

SUB
FW 37 鈴木 郁也(2年・FC東京U-18) 5.5
武田がポストプレーで封殺されたのを受けて裏へ抜けることを狙ったが、危ない場面は作れなかった。スーパーサブとしては機能できず。

MF 14 藤沢 和也(3年・早稲田実業)-
時間短く、評価なし。

MF 34 田中 雄大(1年・桐光学園)-
時間短く、評価なし。


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