乾貴士とgoalの件から思ったけどコタツ記事量産型メディアは滅びろ

タイトルが全てでこれ以上でもこれ以下でもない。
前から思っていること。書くか書かないが悩んだがやはり看過できない。

本題に入ると、先日、サッカー日本代表の乾貴士選手がgoal.comが配信した記事に対し、“事実に反する”という旨のコメントをtwitterで投稿した。ヤフトピにも上がった本件、SNSをアクティブに使っているサッカーファンならご存知のことかと思う。

事の顛末は以下に記されている。

乾貴士選手に関する記事の訂正とお詫び
(なぜかカード化されないのでテキストリンクで。)

簡単にまとめるとこんな感じ。

①スペインメディアの記事を翻訳した記事をgoal.comが配信
②goalの記事をゲキサカが転載
③ゲキサカに掲載された当該記事を乾選手が発見し、ツイート
④配信元のgoal.comが謝罪

goal.comの対応は迅速だったと思う。ただ、Jリーグの放映権を持っている会社が運営する半ばオフィシャル的なメディアが信憑性の低いゴシップ記事を真偽を確認せずに載せるということがそもそもの大問題だと思うし、自分はこの手のニュースが昔っから大嫌いだ。

スポーツライターとして活動し、スポーツメディアに関わる者として、“現場主義” と “一次情報へのこだわり”は譲れないものとして持っている。このインターネット全盛期かつIT企業に務めながらこんなことを言うのは老外っぽさがあるかもしれない。

でも、根本の部分を考えると情報発信を生業とする以上正確なもの読者には届けなければいけないし、コンテンツの軸となる特定の人物(今回でいえば乾貴士選手)について書くのであれば、信用できるソースを元に構成しなければいけないことは明白だ。今回についての話題はかなりデリケートなものであるからなおさら。引用元となるスペインメディアがどれだけ信憑性のあるものか自分は知らないが、事実を伝えることがベースにある以上、ここのウラを取るという作業は絶対に必要だ。当たり前だが。

ただ、今回はその当たり前のことをやらなかったと。というかいちいち確認していたらどんでもなく時間がかかるだろうし、ゆえにこのフェーズは完全無視されていたのだと思う。あくまでも予測だが“1日◯◯本ニュースを出す”みたいな目標値が設定されていて、担当は国内外の様々な媒体に目を通してニュースを拾い、それを「真実」として疑う余地なく機械的に翻訳→アップをこなしていく体制だったのではないか、と。

こんな感じで決して現場に出ない(であろう)編集者がネットを通じて様々な二次情報を掻き集めてそれをリライトするなり翻訳してアップし、扇動的なタイトルをつけてPVを稼ぐ、ということを行っている媒体がめちゃくちゃに多い。

余談だが某サッカーwebサイトはテレビやネットの観戦で90分試合を見て500~800字くらいのマッチレポートを書かせたり、海外のニュースを翻訳したり選手のツイートを紹介したりするバイトを学生に¥500 / 1本の報酬でやらせていたと聞いた。これは実際にバイトしていた人による話なので事実なのが、いまは待遇も変わっているかもしれないということは付け加えておく。

ではなんでいわゆるこんな ※コタツ記事が横行しているかというと、PV=広告収入に紐づくから。もうそれにつきる。googleアドセンスはじめとしたクリック収益型広告がポピュラーとなったいま、利益を上げる手っ取り早い方法は記事を量産して流入数とPVを上げること。とにかく記事数、記事数。
ぶっちゃけ中身なんてどうでも良いし、いかに引きがあったり検索状になるタイトルをつけるかという流れになっている。だから「橋本環奈に彼氏がデキた?!熱愛と噂された驚きの人物とは?」みたいなタイトルだけ煽っておいて肝心の内部はネットのニュースをまとめただけで確信に迫った新しい情報なんて置かれておらず信憑性のかけらもないゴミ記事が多発している。

ここらへんは中川淳一郎さんのこの書籍↓にも書いてある。

で、この書で取り上げられているナリシゲさんのこのブログエントリも最高にロックで首がもげるほど同意なので貼っておく。

※コタツ記事とは現場取材などに行かなくても書ける記事のこと。コタツに入っていても書ける記事

「稼げるんならそのモデルでも良いじゃん?」という意見はわかる。とてもわかる。ただ、それはあくまで個人レベルの話で、現場の実情を届けなければいけないスポーツメディアがやるべきモデルではないと自分は考えている。実際にそう思っている人は業界内にもそれなりに多くいるだろう。ただなんでこういうモデルに手を染めちゃうの?というとメディア運営をする上で稼ぎ方が制限されているのと、既存のモデルである程度収益が上がってしまうから。

現場行かんでもまとめ記事大量生産してPVとっとけばある程度広告はクリックされるので収益のめどが立つ、みたいな。

スポーツメディア側も「一次情報ばかりだとコストがかかるし、コタツ記事量産でも儲かるからいっか」という流れになっているのだろう。非常にまずい。

それに関連するもので、以前読んだ以下の記事のこのフレーズがとても印象に残っているので紹介したい。

"ガチャピンとムックが喧嘩した"といったブログから引っ張ってきたニュースと、新聞社が特派員を海外に送って書いた記事が、同じPVで同じお金しか稼げないとなれば、これは確かに問題だ。

何が問題かって一次情報の収集とそれに基づく記事作成はいかんせんコストと時間がかかるし、なかなかペイできない。特にこれはスポーツメディアの世界で顕著である。

サッカーメディアにおいても機動力あって遠方にもアクティブに取材に行くフリーの記者に対して交通費出します!!というところはほとんど聞かないし、基本的には原稿料で全てまかなってくれ、というものが多い印象だ。このモデルだと飛行機使った遠征とかほぼ赤字になる。冷静に自分の時間割いて遠方に行って仕事してでも収支はマイナスって意味わからん。生産性ゼロどころかマイナス。

かといって上で上げたような交通費を出せない媒体を咎めるつもりはまったくない(自分がwebメディア運営しているから原稿料を捻出する難しさも知っている)。メディアに関わる多くの者が解決に向けてアイディアを出し、動かなければいけない。

媒体運営者だけでなく最下流の受注者であるライター側もどのようにしたら儲けられるのかというところを考え、そのアイディアを実践していかなければならない。とはいえいまいまスポーツメディア全体の市場をライターの力でグロースさせるというのは難しいので、自分の持つ資産と能力を考えた上で副業を始めるというのがベストな気がするが。

リアルなライターの話をすると記事を作るために時間とお金がかかってもそれで利益が出せなかったら活動範囲も狭まってしまう。

そういう中でいわゆる定額制のマガジンを運営するというのはありで、自分もこれやり始めてから遠方取材に行けるようになった。購読者の皆さん本当にありがとうございます。



結局welq問題も対岸の火事

少し、というかだいぶ話がそれが、要は1,2年前くらいにDeNAのパレット事業部がやらかしたwelq問題からぶっちゃけwebメディアは大して変わっていないんじゃないの、というのが自分が言いたいことだ。

googleの検索上位には相変わらず前述した橋本環奈的な怪しい記事は出てくるし、南米行ったこと無い奴がウユニ湖の魅力や周辺スポットを語るみたいな記事も生き残っている。RETRIPも滅びていない。

重度は異なるかもしれないが、上述した旅行の記事と今回の乾貴士の発言を元にした記事は両方とも二次情報をベースにしたものという点で変わりはない。結局まだネット上では“誤報“が流通しており、正確性の低い二次情報で溢れかえっている。これを撲滅させるのは難しいと思う。ただ、やはりしっかりした運営会社が母体となって動いているメディアは、その問題に対してデリケートになるべきだ。

そんなことを思っていたら、このgoal.comと乾選手の件についてまとめた記事がゲキサカで出ていた。

乾選手が言及していた情報の元手はgoal.comだったが、転載先のゲキサカを見てツイートしている。RSSで引っ張ってきただけかもわからないが、それでも誤報の拡散に加担してしまったという罪悪感はないのだろうか。これを出すんだから無いんだろうな。PV取れるんだろうな。もうよくわからない。

こんな感じなので、ネットの情報に触れる読者の皆さんには、できる限り一次情報をもとにしているもの、著者名がしっかりと記されていて責任の所在地が明確なものを信用して欲しいと思う次第だ。

自分はエルゴラ時代の先輩であるマリノス番だった藤井さんが伝えてくれた「現場の重要性」を忘れることなくこれからも創作活動に励みます。

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Reona Takenaka

マイノリティの思考学

相容れること、共感されることが少ない自分の脳内をアウトプットします。
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