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そもそもコーチングって?具体的に何をするの?

第1部の「市場規模やトレンド、マクロ的観点から見るコーチング」ではコーチングの全体的なトレンドについて、第2部の「コーチングの効果って?投資対効果は?」ではコーチングではどのような効果があるのかをエビデンスベイストな論文などを元に説明しました。

続いて最後の第3部では、今までの抽象度の高い話ではなく、そもそもコーチングとはどのようなものなのかということを具体的に説明していきたいと思います。

📝この記事でわかること
 ・コーチングとは何か
 ・コーチングのスキルや手法
 ・コーチングの構造と得られる価値
 ・どのような人がコーチングに向くのか
👫想定読者
 ・コーチング事業の成長可能性に興味がある人
 ・コーチングを知らないけど興味ある人
 ・コーチングを受けてみたいけど、踏み切れない人


コーチングとは何か?

コーチングの定義

まず、コーチングとは何かというのを確認していきますが、辞書的な定義よりもコーチング実践者や国際的なコーチング団体の定義を確認していきましょう。
有名なGROWモデル(後述)の普及に一役を担ったWhitmore,Jは以下のように説明しています。

コーチングとは、個人の潜在能力を解放し、その人自身の能力を最大限に高めることである

Whitmore,J.(1992)

次に国際的なコーチング団体ではどのように表現しているかというと

コーチングの核心とは何かと問われれば、それは、発見と気づきと選択をもたらすことであると私たちは答えるでしょう。それは人々が自らの答えを見つけ、重要な選択を繰り返すことによって自らの道を歩む事ができるよう、効果的にサポートするための手法なのです

Kimsey-House, H/K. Sandahl,Whitworth(CTIジャパン2020)

コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築く事

国際コーチング連盟日本支部

つまり、コーチングとは個人の可能性を高めるための手法でありプロセスであり関係性であるが、あくまでも個人が自らの力で導き出すような関わり方をするのだと思います。

コーチングのスキル

そんなコーチングですが、コーチとしてはどのようなスキルが求められるのでしょうか?
私の考えではクライアントとのコミュニケーションにおいて求められるのは、下図の「?」に入る「傾聴」「フィードバック」「質問」がコアスキルになると考えています。
ただし、英国のCentre for Coachingでの認証トレーニングプログラムではコーチングに求められるスキルとして上記以外にも「共感」「確認」「要約」「挑戦」「理解」「探検」「言い換え」「反映」「目標設定」なども定義されているため、一概に決めつけてしまうのは危険かもしれません。クライアントによって状況は様々なので、どちらかというとクライアント自らがクライアントの可能性を高めるために必要と思われる要素が何かというのをその時々に応じて使い分けていく必要があるでしょう。

筆者作成

コーチングの手法

では、コーチングスキルを活用して、どのように個人の可能性を高めていくのでしょうか。コーチングには様々な流派があり手法も異なります。そこで、GROWモデルという、理論的背景に基づき体系化された手法があるため一例として紹介しつつ、次のテーマであるコーチングの構造化に役立てていきたいと思います。

GROWモデル
GROWモデルとは、行動コーチングという「行動が結果をもたらす」という考え方に基づいており、現状のアセスメント、価値と動機づけの検討、測定可能な目標の設定、焦点付けられた行動計画の策定を含むアプローチをとっています。具体的にはモデル名にもなっている以下の「GROW」に沿って行われています。

手順としてアセスメントをした上で、まずはクライアントとの間でGoal(目標)の設定をします。次はGoal(目標)に対してReality(現状)はどのようになっているかを確認します。その中で、本当にそれを実現したいのか?というWill(意志)を確認したり、現在どのようなResource(資源)を持っているのか、そして達成するためのOptions(選択肢)としては何があるか等の現状とのギャップを明らかにしていくことでGoal(目標)の達成に向けたステップを踏んでいきます。

コーチングの構造化

コーチングの構造化

上記のGROWモデル以外もSPACEモデルやABC理論など、他にも様々なコーチングスクールならではの手法が存在しますが、大きくは以下のような構造として見立てる事ができるのではないかと考えています。

コーチングをする前に、まずはアセスメントによって自身の①認知バイアスに気づかせるアプローチをしています。認知行動コーチングの場合はABC理論に基づいた自身のビリーフ/考えに気づくプロセスですし、ビジネスコーチングの場合は360度アセスメント等になります。ただ、アセスメントについては工数が掛かってしまうため、必ず実施するというよりはコーチングの有効性を高めるために実施するケースもあるというような表現が近いでしょう。
その後は自己紹介やアイスブレイク等で②クライアントとの関係性構築をした上でどのようなことをテーマに話していきたいかを③質問していきます。コーチは質問に対する回答をバーバル/ノンバーバルな情報から⑥反応を観察していきますが、この観察に基づいて再度③④⑤を繰り出していきます。
コーチングというのはここのサイクルを回す行為だと捉えており、ここのサイクルを上手く回す事が②関係性の構築にも寄与していき、関係性が強固になると結果として③④⑤の効果も高まっていくと考えています。

筆者作成

一方で、シチュエーションによっては⑦アドバイスや提案をするケースもありますが、ここの領域については例えば医師と患者やメンターとメンティーのようにクライアントに対して明らかな専門性があるのであれば有効だと考えています。

コーチングとメンタリング、カウンセリングの違い

ここまでの中で「ん?コーチはアドバイスしないの?メンタリングとコーチングって何が違うんだ?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれないので、私の中でのコーチングとメンタリング、そしてカウンセリングそれぞれの違いや共通点を以下のようにまとめてみました。
今までは各プレーヤーが棲み分けされていると考えていましたが、知れば知るほど共通項が多く、以下のように重なる部分があるとシックリくることに気づきました。

共通点としては以下です。
 ・自分の専門分野や得意分野を持つ
 ・長期的な行動変容をもたらすことができる
 ・自分自身を向上させることに投資している
 ・安全な場所であり、話を聞いてもらえる
 ・批判的でなく、協力的である

その上でのコーチングならではの要素として
 ・個人的、職業的な目標達成を支援する
 ・現在と未来にフォーカスしている
 ・メンタルケアを補完する
 ・エビデンスドベイストなアプローチを目指す

脳科学観点から見るコーチングの価値

コーチングがどのようなものかはおおよそ理解いただけたのではないでしょうか。そこで、コーチングによって得られる価値というのをご説明したいと思います。
一言でいうとメタ認知能力(自分を俯瞰して見る能力)が高まるということに尽きるのではないかと考えています。
自分は自分のことを俯瞰して見れてるから必要ないとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、人間の本質からは中々難しいのではないかと思っています。

筆者作成

なぜか、というのを脳科学の観点から説明していきます。
皆さんは、朝起きてまず何をしましたか?
 ・目を開けて
 ・布団を退けて
 ・体を起こして
 ・右足からベットから降りて、、、、
さて、このような行為の中でどれだけ意識的に行動していましたか?ほとんどの方が無意識でこれらを行なっていたのではないでしょうか。脳科学の観点からはこれらの無意識での活動をデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と言います。このDMNの状態、1日の間で何%ぐらいあると思いますか?
実は95%もDMNの状態なんです。
(細かくは脳の修復や維持に20%使っているので、75%が本当のDMN状態ですが)なぜ、この無意識な状態になるのかというと、脳は非常に燃費の悪い器官なんですよ。脳は人間の総体積に対して2%を占めていますが、1日に消費するカロリーに対しては約20%程度も消費しています。

つまり、どういう事なのかというと、人間の本質としてルーティン化しているものはDMNで判断しようとします。実はここに落とし穴があるんです。優秀な人や効率化を目指す人ほど、様々な業務をDMNで判断してしまっている可能性が高いということです。
DMNで判断していると、なぜ自分がそのような選択をしているのか、ということや自分のバイアスに気づきにくいということであり、多様性の高いチームマネジメントをする際や、不確実な出来事に対面した際の意思決定が硬直化してしまう恐れがあります。

そんなバイアスを排除し、自分自身をメタ認知できるようにするには、コーチングというのが有効だと考えています。

どのような人がコーチングに向くか

最後に、ここまでの話を通じて、どのような方がコーチングに向いているのかを、主にビジネス領域ですが挙げてみたいと思います。

  1. 新しい事業や新しい役職、新しいXXにチャレンジをしている

  2. 多様な価値観のメンバーをまとめ上げる必要がある

  3. 多くのステークホルダー(縦のラインだけでなく、横や斜めの関係者)を巻き込む仕事で成功させたい

  4. どんな価値観に基づいて意思決定をしているかわかるようになりたい

  5. イライラ、モヤモヤなどの感情の原因を認識できるようになりたい

最後に宣伝ッ!!!

さて、今回でコーチングに関する3部作が終了になりますが、今回の記事を通じてコーチングに興味を持っていただけた方いらっしゃれば是非一度体感してみてください。

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