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注目のPayPay。その形態、展開戦略は? 多額の先行コストが可能にする良質UX

100億円あげちゃうキャンペーンで注目を集めたPayPay。瞬時に登録でき、QRで簡単に決済が可能なUXは素晴らしいとしか言いようがない。しかし、使いやすいUXは、展開の戦略があってこそ可能なものである。では、PayPayはどのような運営形態、展開戦略をもつのか。実際にわかる情報をもとにまとめてみた。


目次
>PayPay組織の仕組み
>支払い手段・方法
>顧客拡大戦略
>加盟店拡大戦略

"三社連携によって成り立つPayPay: SB x YJ x PayTm"-PayPay組織の仕組み

PayPay株式会社は、ソフトバンクとYahoo! JAPANの50%ずつの出資によるジョイントベンチャーだ。
PayPay会社の運営にあたっては、この二社の他、インド最大のモバイルペイメント会社、PayTmが関わる。SoftBankはその顧客基盤の他、日本でモバイル事業を手がける者として、営業ノウハウを提供。一方、Yahoo Japanはその顧客基盤に加え、YJの提供するO2O、金融、広告などのサービスをPayPayと連携する。そして、SoftBankが出資しているPayTmはインドの二大モバイルウォレットとしての成功事例があるため、その観点からノウハウの伝授や技術提供を行う。以上のような、三社が連携してPayPay社のサービスが展開されているという。

>支払い手法・手段

“通常、クレカチャージはコスト大。だからPayPayはオンアスのYJクレカのみ“

PayPayの特徴として、支払い方法/支払い手段が複数存在することが挙げられる。PayPayでの支払いがは、QRコードを使って支払いをするのが特徴だが、これはユーザーのスマホでQRを読み込む”ユーザースキャン"とユーザーがQRを店側に見せて、店側がそれをスキャンする”ストアスキャン”に分かれる。また最終的な支払い手段、つまりPayPayのアカウントの支払い方法は、クレジットカードで決済する方法と、銀行口座からチャージする方法がある。また、クレジットカードを使って、決済ではなくPayPayアカウントへチャージする場合はYJの提供するYJカードしか受け付けていない。一般的にクレジットカードから電子マネーへのチャージはコストがかかる、このためPayPayのクレカによるチャージは、YJカードのみに限り、オンアスにすることよってコストをかからなくしている。

>顧客拡大戦略
認知・利用者獲得の方法 “SB・YJのユーザー基盤の存在を活用”

SB・YJ両社の顧客基盤をPayPayの展開において重要視する姿勢は、PayPayが最近実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」にもよくあわられている。100億円あげちゃうキャンペーンは、ユーザーがPayPayを支払いするたびに、毎回20%還元される他、抽選で40回に1回全額還元されるキャンペーンを行なっている。さらに、Yahooプレミアム会員の場合この確率が20回に1回、ソフトバンクの場合10回に1回になる。これは、 SB,YJの抱えるユーザーのPayPay利用を促進し、認知を進めるねらいが明確に現れている。

“日本人のくじ好きもうまく反映"


PayPayの関係者によれば「何回に一回、当たる」というキャンペーンの仕掛けは「くじ好きな日本人の傾向」を反映しているという。またくじのような仕組みにすることで、あたった人がSNS上に投稿するため、これによって認知が広まるのも期待していたというが、はずれだった人も投稿したため、PayPayに関する投稿はSNS上で流れるように増えた。関係者も、「ハズレの人も投稿するとは思わなかった。予測以上のトラフィックが見られて、こちらも正直驚いている。」という。

"オフラインのサービスはやはり、単体のアプリで"


また、Yahooのユーザーを取り込むため、Yahoo! Japanアプリ上でもPayPayサービスを使うことができる。はじめ、YJ側もYahooアプリからPayPayを使う人が多いと予想していたが、YJアプリ上で使う人は予測を下回ったという。実際、PayPayアプリ単体で使っている人の方が多い。ペイメントのようなオフラインのサービスは総合ポータルからではなく、一つのアプリとして使っている

>加盟店拡大戦略

"かかる営業コスト"

PayPayのシステムが如何に使いやすく、使いやすい人がいたとしても、加盟店がなければサービスは使えない。日本中で加盟店を増やすべく、全国20拠点で、個店へ直接営業していると言う。先日も数千人規模で営業要員を採用したとしているが、この他にもQRやリーダーなど、PayPayでのペイメントに必要な一式を送るコストなど、営業面でコストがかかっている。

PayPay加盟店のメリット

1.導入費が一切かからない
2.短い入金サイクル
3.YJ,SB,の連携による国内からの集客力
4.AliPayとの連携によるインバウント集客力

加盟店の拡大のため、複数の初期投資や決済手数料など従来店側にかかる費用を一切無料にし、加盟することによるコストがかからないようにしている。

"従来の決済加盟とは一線を画す入金サイクル"

また入金サイクルでも従来の決済方法と一線を画す。クレジットカードなど、従来の決済方法に店舗が加盟した場合、店舗が売上の入金をうけるのは、その売上から約二ヶ月後。その場で即入金の現金と比べ、加盟店は長い資金サイクルで運用する必要が発生する。これは、店舗がキャッシュレスに踏み切るハードルであってきた。小規模飲食店など、毎日仕入れを行い、資金を使う業態では特にこれがあてはまる。PayPayの場合、この加盟ハードルを限界まで下げている。PayPay加盟店は、ジャパンネット銀行であれば翌日入金、その他の金融機関でも採点で翌々営業日に入金をうけることが可能。加盟店が長い資金サイクルで考える必要をなくしている。 

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