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3.見るときは1人で見なさい。



あなたは1人の女性をこんなにも深く思い、愛し続けることが出来ますか?

一見、映画やドラマでよくあるような見出し。
「あと1センチの恋」を見てもこう思うだろうし、
「きみに読む物語」を見てもそうだろう。
同じ恋愛モノだけど内容は全然違うのに。

でも、このドラマを見たあとは特に本当にこの言葉を問われているような気がした。


今回はドラマ
「世界の中心で愛を叫ぶ」
について。

はじめてこのドラマを見たのは高校生のとき。ほとんどと言っていいほどドラマは見ない。今も見るのは大河ドラマくらい。

そんなある時母親が、「これ、私の1番好きなドラマなんだけど、お願いだから1回騙されたと思って見てみて」と言われた。普段なら突っ返しそうなものだが、なぜだかこの時はいつもと違う母親の推し売り方にわかったと頷いた。

そしたら母親に「見るときは1人で見なさい」と言われた。なんで?と思ったが、元から映画も一人で見るのが好きなので不都合もなく一人で見始めた。

※ここから先ネタバレあり。

世界の中心で愛を叫ぶ

原作は小説で、ドラマは2004年にTBSで金曜日に放送されてたらしい(自分は母のDVDボックスが家にあった)

主人公(松本朔太郎)は山田孝之で
ヒロイン(広瀬亜紀)は綾瀬はるか
が演じている。

亜紀と朔の淡くて切ない、幸せでいて、儚くつらい物語である。

作中は過去の回想と現在、2つの時間軸で進んでいき、ふとしたタイミングでラジオが物語のナレーターのような役割でそっと登場人物達の心境に導いてくれる。

 物語は朔が泣き叫んでいる場面からスタート。
そこから朔が亜紀を意識し始めた場面へ。そして仲間と淡い青春の時を過ごしながら、惹かれあっていく日常を描いていく。その過程には友とのけんかや進路、家族など様々なことが割り込んでくる。それにも負けずに2人はお互いの気持ちを伝え合い、幸せに過ごしていく。
(亜紀が想いを伝えるシーンは最高です。)

ところが、幸せも束の間、亜紀が白血病に…
朔は毎日のように、時には学校にも行かずにお見舞いへ。

とある場面では、真夜中の病室で
「キスでもしませんか?」と亜紀が一言。
白血病治療のためのアクリルシート越しのキスシーン、またその月明かりに照らされてできたシルエットはとっても胸に響くし、美しいです。
エモいなんて軽い言葉じゃ片付けられません。


そこからはよりつらくなっていく入院の日々、
それでも朔や家族、友人、先生は励まそうとできる限りの希望に答えるが、日に日に亜紀の容態は悪化。
(綾瀬はるかがどんどんやせ細っていくのが見ていてとても辛い…)
そんな中、亜紀の最後の機会にして最大の希望に朔は答えようとするが…

このドラマではラジオ、カセットテープ、写真、自転車が大切な役割を果たしていると思う。
登場人物の心境へとそっと導いてくれる役割を持ち、そして何より朔の嘘が現実になってしまったラジオ…。

亜紀と朔の交換日記代わりでもあり、素直に伝えられない想いを相手に伝えるカセットテープ。
(亜紀が大切な人に向けて残したテープは涙不可避です)

親類が写真館を営んでいたこともあり、朔にとっては身近であった。そして幸せな思い出を残すため、またそれを思い出すため、更には心境を変化させるための写真。

そして、大切な人との思い出や重みをより深く感じることの出来る自転車。
ぜひそこに注目してドラマを見ていただくとより胸に響くと思います。

エンディングの「かたちあるもの」もまさにこのドラマのための曲です。逝ってしまった亜紀から自分と違いこれからを生きていく朔に対しての強く優しい思いが込められています。
ドラマを全て見終えると歌詞の意味がとてもよく分かります。
私は今もこの曲聞くだけでもウルっとくるし、胸が苦しくなります。

最後に…
朔は亜紀を忘れてしまうのが怖かった。
周りは忘れなさいと言うけれど、それが朔にとっては1番の恐怖。
だから17年間も思い続けてきた。忘れないように努力してきた。

これだけ見ると思いを捨てられない憐れな男に見えるかもしれないが、初恋にしてこんな体験をしてしまえばこうなっても仕方ない気もする。
仮にそうだとしてもあなたは朔と同じ状況になった時これほど思い続けることが出来ますか?


そんな朔がこの思いをどうするのか。注目して欲しい。


私はこのドラマを最後まで見た時、涙が止まらなかった。そこで母親が「1人のときに見なさい」と言った理由が分かった。どう頑張っても泣いてしまう。顔がぐしゃぐしゃになるくらいに。
思春期真っ只中の男子が泣くとこを見られたくないのを理解した上でそう言ってくれたのだった。

だから私もオススメする。
見るならぜひおひとりで。
あなたが思っている人と一緒に見るとつらいかもしれない。でも、後悔はしないだろう。


今、大切な人がいる人もこれから出来ていく人にもぜひ見て頂きたい。



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