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Oh My Girl"Closer"の禁断のリンゴ…

少しスロースターターで、OMGのCloserの魅力にハマってきました。あのリンゴには遅効性の毒が仕込まれていたようでして…

音を取ってみると、和声は下記のとおり…

メインの和声 |A9     |E      |G#7  |C#m7 |
Aメロの和声  |C#m7|F#m7|E     |G#7    |

ここでふと思い出すのが、Geeの和声…

Gee和声 |AM7   |F#m7    |G#m7    |C#m7|

両者をピアノで弾いてみると…

どこか似ていますね。短調なのか長調なのか判然としない曖昧な感じでふわふわとループしていく感じ…

どちらも、最後のC#m7が着地点と考えるとC#マイナー調ということになりますが、メロディーとか全体のトーンを考えると(とくに前半)、Eメジャー調の線も捨てがたい…。冒頭のAが曖昧さのカギになっているように思われます。

Geeはいうまでもなく少女時代を押しも押されぬ国民的トップアイドルへと押し上げ、またK-POPのワールドワイドな活躍を後押しした曲。

鍵となるのは、恋の切なさが表現されながらも、あまり感情の起伏が激しくないスマートで都会的な雰囲気が出ているところ、でしょうか。

ピアノでしっとりと弾いてみるとわかるように、Geeの和声とメロディーは結構「クサい」のですが、軽快なアレンジにすると、極めてスムースに流れていきます。

あまり強い情感に訴えるひっかかり=フックが少ない。しかし、そのため逆に4小節目の「終わった感」が弱いので、逆にループの中毒性が増している。都会の孤独を感じさせるようなクールな切なさ。これがGeeの特徴かなと思います。

これに対して、Closerは、得も言われる強い神秘性と同時に、どこか胸を「ぎゅっと」つかむようなひっかかり=フックがあります。

その秘訣の一つは1小節目。和音Aの構成音は「ラ・ド#・ミ」ですが、これに9度上にあたる「シ」の音が強調されるメロディーがあてられることで、高貴な響きが得られています。とくにオクターブ下の「シ」から跳躍する音型は、硬質で透明感のある神秘性を強く醸し出しています。

もう一つの秘訣は3小節目。GeeではG#m7であった3小節目が、G#7になっている点、です。詳細は、上記のサウンドノートにメモしてある通りですが、G#7が含む「ド」の音が、その引っかかりを生む重要な音。「ド」の音はこの調には含まれない強い違和感を与える音であると同時に、ファ#と不協和音を構成しています。ここで聴き手は強烈に不安な気持ちに襲われ、その不協和音が解消される4小節目で安心することになります。

このように、強い神秘性と強い情感のコンビネーションが、この曲の深淵な雰囲気を和声の面で支え、Geeの都会的な切なさとは異なる独特の世界を生み出しています。まさに、MVやステージで示されているあの世界観そのもの。

いけない、そのリンゴをかじったら…


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