プレKポップ・ノート3:「バラード好き」の起源は1982年?
以前つぶやいたこちら。
テレビを見ていてふと、そのヒントになる(かもしれない)言葉に出会いました。
ままむが人気番組「不朽の名曲」で歌ったこちらの曲。
原曲はこちら。
だいぶシンプルで思ったよりもフォーキーですね。70年代的、というような印象もあります。
この、オリジナル歌手のミン・ヘギョンさん。ままむの舞台を見た後のコメントで(番組では元の歌手が客席のど真ん中に座っていて、審査を行う)、面白いことを言っていました。
正確な言い方ではないのですが、この曲を出したときは、まだバラードというジャンルが定着しておらず、売れるかどうか不安だったが、多くの方に愛されて嬉しい、ということを仰っていたのです。
へえ!そうなんだ!ん~、でも80年代以前に本当にバラードってなかったの?という疑問がすぐ生じます。が、そのあたりの検証は置くことにします。
もしも仮にミン・ヘギョンさんのこの回想が正しいのであれば、少なくとも「韓国はバラード好きでヒット曲といえばバラードばかりだったのに対して、H.O.Tを嚆矢とするアイドルブームがダンス音楽を中心にした新たな扉を開いた」という、しばしば聞かれる韓国ポップス史の基本認識は、80年代以降の音楽の流行に依拠した自己理解だ、ということになります。
それまでもあったはずの「スローテンポで、歌い上げるタイプの歌」が「バラード」として分節化され、「バラードは私たちの好きな歌のジャンル」という認識が、80年代~90年代にかけてどのように形づくられてきたのか。なぜそのような分節化が生じたのか。
その間に差し挟まれる「民主化」等々の政治変化はそこに関連があるのか。
ぜひとも戦後の健全歌謡や倭色歌謡、あるいは元来はダンスにつながるリズムを意味する「トロット」(フォックストロットという欧米のダンスの名称からとったジャンル名)や「ポンチャック」(ギターの軽快なリズムをジャンル名にした)といったいくつかの音楽カテゴリーとの関係からも掘り下げてみたいテーマです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?