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Reproでたこ焼き器の穴の温度を測ってみた

そもそものきっかけ

Reproで「たこ焼きプレート」のプロファイルを作りました。「なんでまた たこ焼きか?」と言えば、きっかけはユーザーさんからのこのメール。

「たこ焼きプレートのプロファイルを追加して欲しい」

さあ、これは困った…
弊社の社員はほとんどが関東出身。「粉物文化」に造詣の深い人材はほぼ皆無です。
筆者に至っては、一度もたこ焼きを焼いたこともなければ、たこ焼きパーティーに参加した経験も皆無、実は「銀だこ」さんに行ったことすらありません。
「なぜにReproでたこ焼き?」と社内でも?マークが漂いましたが、

「もしかして明石焼きを作りたいのでは?それなら微妙な温度管理が必要かも」

という一人の社員の推測に妙に納得してプロファイル作成に向けての作業を開始しました。(そもそもその推理が当たっているのかも分かりませんが)
お客様のご要望とあれば、Repro開発チームはベストは尽くします!

Reproで使えるたこ焼きプレートの条件

とは言え、たこ焼きプレートは、たこ焼きを焼くためだけの複雑な形状をしています。Reproで温度管理できるための条件をクリアしている製品探しから始めないと…

【Reproで使える条件】底面が平らであること


一般的なたこ焼きプレートの裏側

Reproはトッププレート中央部に本体センサーが設置されており、この本体センサーが容器底面に接触することにより1秒ごとの温度変化を測定して、繊細な温度コントロールを実現しています。しかしAmazonで見る限り、ほとんどのたこ焼きプレートの底面はごらんのとおりの形状です。たこ穴?部分の底面だけが出っ張っていて、平らになっていません。これではReproの本体センサーが接触して温度をモニターすることができません。
さらにAmazonで探し続けていくと、Reproでいけそうな製品を2つだけ発見できました。

岩鋳 たこ焼14穴(木柄付)

南部鉄器の大手メーカー岩鋳さんの「たこ焼14穴(木柄付)」。

お値段は5000円オーバーと結構しますし、重さも2.5kgあるんですが、裏面を見ると…

外周部分すべてではないものの、中心部分の底面が平らになっています。これはReproに乗りそうです。

KANBOO TAKOYAKIPAN(12穴)


こちらは韓国の「KANBOO」という会社が販売元になっている「KANBOO TAKOYAKIPAN(12穴)」という製品で、お値段は4000円弱です。

こちらも裏面を見ると…

と、全面平らになっていてReproにバッチリそうです。材質もIHに反応するアルミ合金なので鋳鉄より熱伝導率が高く、鋳鉄よりはRepro向きかと。
ただこの製品、残念ながら致命的な難点が。表面だけでなく裏面までシリコン樹脂加工されているため、ガラスでできたトッププレートの上でつるつる滑ってしまいます。たこ焼きを返す時などミトンをして取っ手をおさえる必要がありますし、200℃の高温になることを考えると、ちょっと危ないかもしれません。

もう一つの問題 穴ごとの温度ムラ


穴ごとの温度を測定

底面が平らでないことと同時に、温度管理する上でのもう一つの問題点は、形状が複雑なため「たこ穴?」ごとに温度にムラが生じることです。中央部の温度が高く、外周部分の温度が低いというのはもちろんですが、穴ごとの温度を測ってみると、向きを変えても何をしても「この穴だけ他より温度が低い」という「固有の穴?」があったりして…
たこ焼きを焼いている最中には、焼けているたこ焼きと、焼けていないたこ焼きを差し替える光景を目撃しますが、YouTubeの銀だこさんの動画を見ていると、この焼け具合の差は、単に火の当たり具合(位置の問題)だけでなく、「穴の個体差?」も関係しているように見えたりします。

穴の温度ムラを検証する

一体、穴ごとの温度ムラはどこまで許されるのか?プロファイルが作成できそうな「岩鋳 たこ焼14穴」と「KANBOO TAKOYAKIPAN(12穴)」、そして比較対象として、某大手量販家電メーカー製の「電気たこ焼き器」の「穴の温度ムラ」を比較してみました。ちなみにこの「電気たこ焼き器」を選択したのは、製品の謳い文句に、

「全ての調理穴の真下にヒーターが配置されているため焼きムラが起こりにくく、焼き場所を変えることなく均一に焼くことができます。」

とあったから。
電熱ヒーターで加熱し、サーモスタットで温度管理する仕組みになっており、お値段は4000円弱でした。

岩鋳 たこ焼12穴(木柄付)の温度ムラ

まずは「岩鋳」さんから。Reproで200℃に設定して、最も温度の高い穴と最も温度が低い穴の温度を測るとごらんのとおりです。当然ながらかなり安定して温度キープしていますが、穴ごとの温度ムラは、最大で22℃〜24℃ありました。

これがサーモグラフィーの画像です。やはり中心部分が温度が高く、外周部分がやや低くなっています。特に画面右下の角の穴は温度が低くなっています。できる限りReproの真ん中に置いたつもりですが、画面右側が画面左側よりやや温度が低いようです。ちなみに測温対象が完全な黒体ではないこともあり、画像の温度はそこそこ誤差があります。あまり気にしないでください。接触型の表面温度センサーでの計測データの方が正しいです。

KANBOO TAKOYAKIPAN(12穴)の温度ムラ

こちらはさらに安定しています。最も温度が高い穴と低い穴の温度差も約7℃と小さく、優秀な成績です。これでツルツル滑るという難点がなければ最高なんですが…


KANBOOのサーモグラフィーの画像です。岩鋳と同様に中心部分の温度が高く、外周部分の温度が低くはなる傾向は同じですが、その温度差はかなり小さくなっているのが見て取れます。このたこ焼きプレートが、ツルツル滑らなければ、温度ムラ的にはかなり優秀なんですけどねえ…

電気たこ焼き器の温度ムラ

まあ単なるサーモスタットなので、こうなりますよね。サーモスタットのリレーONで加熱すると、一番温度が高い穴が、だいたい255℃まで温度が上がり、リレーOFFになると197℃ぐらいまで下がるという、60℃ぐらいの振幅を5〜6分周期で繰り返しています。
最も温度の高い穴と最も温度が低い穴の温度差は、加熱ピーク時で約32℃、放熱ピーク時で約10℃。やっぱり外周部分の角の穴は温度が最も低くなります。

こちらがサーモグラフィーの画像です。外周部分はけっこう温度が低いようです。構造上の理由からか、画像でみて上側の外周部分が下側の外周部分はもちろん、中心部分より温度が高くなっています。その一方で画面左側の外周部分は右側外周部分に比べても温度が低くなっているようです。

均一に焼くことができます。

と謳っても、30℃ぐらいの温度ムラがあるのが、当たり前の世界なんですね。
とすれば、200℃で22℃〜24℃の温度ムラがあった「岩鋳たこ焼14穴(木柄付)」でも十分うまくたこ焼きが焼けるかもしれません。
問題は社内には、誰も自信を持って「たこ焼きの焼き方」について評価できる人材がいないこと…

救世主現る 関西系女子の登場

と、そんな時に救世主が現れました。社労士として独立して事務所を経営している元弊社社員女子。まったくたこ焼きに関係ない「人事関係の打ち合わせ」に来ていたのですが、

「ワタシ、たこ焼き焼くのうまいですよ!子どもの頃から最低週2回はおやつ代わりに焼いてましたから。」

と、事もなげに。はっきり言ってステキです。凛々しいです…
彼女の出身地は奈良県。早速たこ焼きを焼いてもらいました。

「Reproで200℃キープって焼きやすいですね」

準備した生地と具材を入れると、ピックさばきも鮮やかにたこ焼きを返していって、あっという間に完成。

こちらは「KANBOO TAKOYAKIPAN」で作ったバージョン。やっぱりピックで返す時にプレートが動いてしまうので、たこ焼き名人的にも使い勝手は「岩鋳たこ焼14穴」に軍配が。
ちなみに彼女の自宅では、カセットコンロと一体型になったたこ焼き器を使っているそうです。

「Reproの200℃って、使いやすいし焼け具合も良いですね。家のたこ焼き器だと生地を入れた瞬間に温度が下がってしまうので火を強くして、また途中で弱くするっていう火加減をしないといけないんですよ。あと、Reproで焼く方が早くできますね。」

確かにReproだと、生地を入れて温度ドロップした瞬間に自動的に火力が上がり200℃をキープします。だから「火加減という手間」を気にせず、「焼き」に専念できるようです。
そして鮮やかなピックプレイ?で、温度の高い穴から低い穴へたこ焼きの差し替えをしていきます。差し替え作業は、慣れた人には大した苦にならないようで、逆に焼きのタイムラグがちょっとできた方が作業しやすいのか、と思うくらい…

たこ焼きの最適温度

そんな彼女の言葉で気付いたのですが、たこ焼きの最適温度をネットで検索すると、200〜250℃とか200℃前後とか、180℃とか、サイトによって、けっこうマチマチです。
「銀だこ」さんのような一種の「揚げ焼き」みたいなタイプは分かりませんが、今回の実験で、本当は、250℃なんて高温はたこ焼きに必要ないのではないか?と思い始めました。
Reproや高価なホットプレートなど、生地を入れた時の温度ドロップを即座に感知して火力を調整してくれる機器なら、たぶん180℃〜200℃の間をキープできていれば良いのかと。
250℃というのは、生地を流し込んだ時の温度ドロップを想定してのバッファなのかもしれません。
たこ焼きについて何かを語れるほどの知見はまったくありませんが、たこ焼きの最適温度は、

◯自動もしくは人力で温度ドロップに対する火加減を修正できるなら180℃〜200℃
◯生地投入時の温度ドロップに対して火加減の修正不可なら250℃


と言うのが正解なんじゃないかな?と、なんとなく感じてきました。
ちなみに、「岩鋳たこ焼14穴(木柄付)」と「KANBOO TAKOYAKIPAN(12穴)」のプロファイルはアプリに公開しています。プロファイルリストの「その他」のジャンルにありますので、ご興味のある方はぜひ試してみてください。

最後に

現在のところReproで使える「たこ焼きプレート」は、この2製品しか発見できていません。もし良い製品をご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ情報を!

たこ焼きの続編は、Repro公式サイトコラムに掲載中です。
たこ焼きをめぐる人類の冒険



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