【本】福嶋浩彦『市民自治 みんなの意思で行政を動かし自らの手で地域をつくる』
著者の福嶋浩彦は、社会新報記者を経て、千葉県我孫子市長、消費者庁長官を経験した実務派大学教授。2016年参院選では野党共闘の候補者として出馬した(落選)。我孫子市長として全国に先駆けて待機児童の解消や病児保育を実現した実績を持つ。
その著者が、生活者視点の自治・行政・政治について述べたのが本書。「国の指示があるから自治体が動く」というのではなく、本来は「生活者である市民が幸せになるために、課題を解決し住みよい地域をつくる」というのが市民自治のあり方だと強調される。
これは私たちの仕事がまさにそうであるだけでなく、組合の理念とも合致するものだ。
その視点に基づき、我孫子市政での数々の改革のエピソードや、それらに込められた著者の狙いと願いが語られる。実務者だけあって政策の現場がリアルに描かれている。
「国のために国民がいる」かのような政策や主張がなされる昨今、「市民から出発して社会をつくる」本来の自治のあり方を思い起こさせる一冊だ。(ディスカヴァー携書、2014年、1,000円+税)
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