積極的飲酒録:白州の森

スコットランドから帰国して、早くも半年以上経ってしまった。シングルモルトウイスキーへの愛も薄れるかと思いきや、日々恋情はつのるばかり。ちびちびとストックを飲んではいるけれど、あの樽の匂いに触れたくて、ついにサントリー白州蒸溜所のツアーに参加した。

白州の蒸溜所は、山梨県の小淵沢駅から車で15分ほどにある。「森の蒸溜所」とも呼ばれているらしいここは、緑に覆われた、本当に美しい場所だった。

余談だけれど(あるいはウイスキーファンにはあたりまえの話だけれど)ウイスキーの銘柄には「グレンリベット」とか「グレンフィディック」とか、「グレン」とつくブランドが多いのだけれども、これは地理を意味している。山と山の間に流れる水、つまり渓谷のことを”Glen”と呼ぶ。スコットランドの蒸溜所は、川沿いに多い。

蒸溜所のツアーは2ヶ月前に予約しておいた。当日は満員だったので、週末に行きたい人は先に予約するのがいいと思う。40分の場内見学+40分のテイスティングで1000円。大満足。

ピートや麦芽の説明に始まり、発酵槽や蒸留器の並ぶ部屋、また熟成庫まで案内してくれた。説明も、初めての人でもわかりやすいし、これまで10箇所以上のツアーに参加したわたしもとても楽しめた。

なによりポットスチルの種類が多いのに驚いた。スチルの形状によって、出来上がるスピリットの味わいが変わるというのは聞いたことがあったのだけど、スコットランドの多くの蒸溜所は、一つの型しか用意していないところがほとんどだったから。
質問したところ、とりあえずいろいろなスチルで蒸留し、出来上がった後にブレンダーが味を見て、熟成年数や樽を選ぶとのこと。ウイスキーは人が作っている。

熟成庫はもはやSFの世界。カメラ好きにもたまらない。オーク樽から漏れる香りを深呼吸する。天使のわけ前をおすそ分けしてもらっていることになる。ここには約2万樽が保管されていて、日々、倉庫の守り神が一つ一つ、状況を見守っているらしい。12年とか、18年とか、25年とか、毎日ここで世話をされながら、ウイスキーになっていく。

テイスティングは原酒(これが混ぜられて「白州」になる。加水前なのでアルコール度数も高い)を二種類と、ノンエイジを出してもらった。それから、樽で燻製されたナッツなどのおつまみも数種類。最後にはハイボールの作り方を丁寧に教えてもらい、白州ロゴ入りのグラスで乾杯。ノンエイジの白州は、ハイボールにも合うように、爽やかな味わいに仕上げられているらしい。この辺も日本オリジナルの考え方で面白い。(スコットランドでソーダ入れたら村八分みたいな雰囲気があった)

ツアーの内容もさることながら、蒸溜所内のバーもすばらしかった。 白州と山崎の18年が15mlで600円。25年でも2900円と、最近はボトルを目にすることすら難しいのに、これは破格。さらに、原酒がだいたい300円で飲めた。山崎のミズナラ樽の12年など珍しいものもあった(これは900円)。原酒を飲ませてくれるところってスコットランドでも少なかった。白州と山崎のシェリー(しかも12年)の比較も面白かった。アードベックばりにピートの効いた白州の原酒も、全部300円。そのままでも十分もちろんおいしい。

小淵沢駅までシャトルバスもあるから、小淵沢の宿に車を置き、駅からバスが正解です。

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