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好きという気持ちには敵わない

昨日のNHKプレミアムでフタバスズキリュウが繋ぐ話を放送していた。構成としては、①フタバスズキリュウの発見②ドラえもん「のび太の恐竜」制作②フタバスズキリュウが新種であることの証明、という3本立てだった

発見された当時、日本で水生爬虫類(フタバスズキリュウは"恐竜"ではないようだ)や恐竜が発掘されるケースはほとんど無く、当時の発見は物凄いことだったようだ。しかも、発見したのは高校生。当然、研究員のサポートが必要になってくるのだが、前例が無いだけに、発見後に掘り進めようと思っても出張費も調査費も付かなかった。しかし、メディアの協力もあって何とか大発見にこぎ着けた。

のび太の恐竜以前のドラえもんが地味な位置付けだったことにも驚いた。ドラえもんはあくまで日常生活のギャグマンガであり、冒険モノではなかった。ところが、のび太の恐竜以降、一気に国民的アニメに登り詰めたというわけだ。

皮肉にもフタバスズキリュウの発見により、空前の発掘ブームが起き、それの対応に当時の研究者たちが追われてしまい、肝心のフタバスズキリュウの調査は一向に進まなかったという。あまりにも多くの骨が発見されてしまったがゆえに、その調査も相当重たいものだったようだ。そんな中、一人の研究者の存在により新種であることを証明する研究は一気に加速し、フタバスズキリュウは権威ある学会誌に投稿され、発見から38年の時を経て、2006年に晴れて「フタバサウルス・スズキイ」の学名で正式に承認された。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1475-4983.2006.00554.x

発見した高校生、ドラえもんの作者である藤子・F・不二雄、新種であることを証明した研究者、これらの話の登場人物たちに共通するのは、物事への熱意であると思う。何かを好きだという気持ちは何にも敵わない。さらにその気持ちが何かを追求(追究)しようとする原動力になる。ある種、地道なことを淡々と続けなければいけない状況において、自分の内側から駆られる衝動は絶対に必要なことである。何かを熱心に取り組む、それだけで尊敬の念を覚える。

私たちの研究は先人たちの一つ一つの積み重ねです。先人たちが築き上げたものの上に、私も乗せて、さらに次の世代へ繋げてゆく。私も一つ貢献できたことは嬉しい。

番組内のインタビューで、佐藤たまきさんは、上のようなことを言っていた。研究とはまさにそういうものであるし、そういう流れの中にいられることは研究者として幸せなことだなと思う。自分一人でやっていかねばならないことも多いけど、決して一人ではない。そんな風に考えてみるのもいいかもしれない。

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