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【ミドルスクール】ゴブリン調整記 ~3~

今回のテーマ

これまでの調整記では、ゴブリンのデッキ戦略バリエーションと、環境下における苦手種とされるコンボデッキとの相性について語って参りました。
今回はもう少し内側に目を向けて、私のデッキ構築論について解説してみたいと思います。


デッキの固定枠

まずはじめに、ミドルスクールフォーマットにおいて「ゴブリンデッキを組もう」と思い立った際、メインボード60枚のうち何が最初にスリーブインされて固定枠となるでしょうか?
私の場合、「4枚確定!」として構築開始するカードは実は一種類しかございません。

そう、それは《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》です。

我がChief!我が戦長!

《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》でも《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》でもなく、《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》です。
もちろんそこから調整を進めるに辺り4枚採用されるカードは出て参りますが、4枚確定で固定状態からスタートするカードはこの子のみです。
サイドボーディングにおいても1枚もアウトするケースが無いと思います。

デッキの最高出力を考える

最速キルターンは?

では何故《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》だけが固定枠なのか。
まずは最速で20点を削れる動きから見ていきましょう。
ゴブリンデッキにおける最速キルターン数は3ターンではあるものの、必要パーツと赤マナの要求値の高さ、3ターン全て相手からの妨害(カウンター/除去/ブロック)が無いという奇跡のような状況下でなければ発生しません。
相手がサンドバッグだった場合に備え、一応3パターン紹介しておきます。

必要パーツが最小限のルート
先手3Tとして9枚中に赤マナ×2、4枚の特定ゴブリンが要求されるセット
先手3Tとして9枚中に赤マナ×3、5枚の特定ゴブリンが要求されるセット
※Mogg Fanaticがもう1枚のPiledriverでも可

私はそれなりにゴブリンデッキを握ってきたと自負しておりますが、②についてはミドルスクールで一回、③はODY~ONSスタンダード時代に3体のPiledriverにて一回だけ快走した記憶がありますが、麻雀で言う地和(チーホウ)/人和(レンホウ)レベルの発生率しかございません。(①を通した経験が無い…)そして、個人的にはゴブリンの魅力は開始3ターンではなく、中~終盤でもトリッキーに戦い抜けるゲームレンジの柔軟性にあると思っております。

中盤以降で相手が嫌がるアクションは?

序盤の圧倒的なプレッシャーも魅力的ですが、以降の更なる加速とリソース回復がデッキに耐久性をもたらしてくれます。中低速な戦略の下支えをしつつ、ある程度どんなシチュエーションにおいてもマスト除去となる脅威こそ《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》であると考えます。この一体がいるだけで主要なゴブリン勢は令和クリーチャーにも見劣りしない様なスペックへと早変わりします。

このマナコストで皆"速攻"持ちになると流石に反則級

よく勘違いされるのですが、ベーシックなゴブリンデッキは高速アグロ型である事から序盤の瞬間最高風速こそが重要だと思われがちです。しかし《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》がいる事で4T以降に瞬殺するポテンシャルを常に秘めた状態で挑む事が出来ます。3Tに雑に登場した戦長でさえ、対戦相手は野放しには出来ないのです。
故に私は"デッキの最高出力"を、安全に《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を着地させ、戦場に生き残った状態で次ターンを迎える事であると考えます。

Lackeyを固定枠に置かない理由

さて、前項で《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》の名を挙げましたが、これを読んで頂いている方々は「そっちこそが確定4枚だろ」とお考えの事と想像します。しかし、調整記録~1~にてご紹介した通り、私の愛用機は《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を採用しておりません。
これは一様に不採用という事ではなく、メタゲームの読み(ミドルスクール住民内で活発に回っています!!)に応じて自分のやりたいゲームプランに合う場合・合わない場合があるからです。そして、多くの場合において、私は以下の理由でLackeyを不採用としています。

・攻撃がなかなか通らない
ミドルスクールにおける《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》の天敵は思いの外多く、後手の場合はほぼほぼ貫通しないと考えています。先手で着地成功した場合、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》以外のブロッカーであれば焼いて走り抜けられる場合もありますが、逆にマングース以外の1マナクリーチャーはむしろこちら側的には《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》と相打ちでもブロックしてもらいたい生物な可能性が高いです。
後手の場合は基本的に貫通しない事を前提に、何かと1:1交換出来たら吉として扱う事が多いです。

顔メタ次第では1T《陰謀団式療法/Cabal Therapy》なんて事も…

・コストを踏み倒してまで出したいゴブリンが少ない
踏み倒して最もお得なのは《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》なのですが、前述の最速キルが示したとおり、実はこの5マナの子を2Tに戦場に送り出しても《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》が絡まない限り勝利までにさらに2T~3T掛かります。
稀に強いと評される《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》の2T目出しについてですが、私としては手札が土地でパンパンでも無い限りあまり良い動きだとは考えておりません。これについてはまたいつか《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》にスポットライトを当てた記事を書きたいと思いますが、「回収出来る期待値が2枚以上で出したい」+「単体"速攻"による2点」が重要だと考えるうえでLackeyからの登場はどちらも無駄遣いになるケースが多いからです。
これら踏まえ、結論として私が2Tに場に送り出して嬉しいゴブリンは《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》が最上位であり、頑張って攻撃を通した割にはアクション内容がマナクリーチャー以下になる感覚があります。

この辺りを連れてきたいがフルスロット採用する事はまず無い

・デッキ構築とマリガン基準が歪む
私が《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》の採用を固定しない最後の理由は、プレイ指針がゲーム序盤の出力に偏る為、相手の手札に対処札が無い事に賭けた初手キープをせざる得ないパターンが増える事にあります。
例えば次の3つの様な初手は全てキープする事になると思いますが、それぞれのバランスは如何でしょうか?

「まぁ…キープか…」というハンドが増える

Aは最高形で先手後手問わずノータイムでキープすると思います。
では、BとCはどうでしょう。両者ともに《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》への負担が大き過ぎる為、カウンターか除去を喰らうと一気にゲームプランが崩れます。そしてそれが現実となってしまった場合、リカバリーは可能なものでしょうか?Cの場合、3T目に《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》を素キャストしたとして、サーチ対象が容易に構えられてしまう《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》一択になりそうです。要するにマリガンをするほど悪い手札では無いにも関わらずファーストプランの線が細過ぎる、且つその後の相手のアクションに対応出来る手段を何も持ち合わせていない形が想定されるのです。
また、残念ながらミドルスクールのカードプールには一枚で盤面を制圧したりひっくり返す事の出来るゴブリンは存在しません。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》が唯一それに近い存在かもしれませんが、出た瞬間には何もせず、その後の稼働にも2マナ/発を要求されることから発展性に欠けるシーンを多く見かけます。それに加え、本来終盤で1枚引ければ良い、または《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》から連れてくれば良い高マナ域のゴブリンを、序盤での展開欲故に3枚以上採用検討する事がデッキのマナカーブを平坦にして歪ませる事にも繋がります。

・終盤で引き込んだ時やRingleaderで回収した時に弱い
これはそのままの意味となりますが、他候補の1マナ域と比較し一手目以外では威力が無く、採用するなら4枚必要なゴブリンにも関わらず後手のファーストドロー以降は全く引きたくも回収したくも無いカードに早変わりしてしまいます。《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》における期待値ムラについては先ほど触れたように別の機会で。

他二種は中盤以降も引きたいシチュエーションが多い

結論

スピードを重視してスライ型に寄せた構築が強いメタ環境も存在する事は確かです。爆発力やゴブリンらしいインチキさが好きな方は迷わず《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を採用すべきだと思います。そういう私も雑に《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》を高速大量展開して勝つのが一番好きです。
一方、ミドルスクール環境において、ゴブリンデッキで多くのアーキタイプと相性差を埋めて渡り歩く事を考える場合は是非一度ゲームプランの後ズラしもご検討頂ければと思います。"後ズラし"と言っても最高速度は十分なスピードを秘めておりますし、構築はそのままにゲームイメージを少し変えて頂くだけで展開するゴブリンの順番やタイミングといったプレイング面に新しいアイディアをもたらしてくれるはずです。
私はデッキの中枢を担うゴブリンは《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》であり、序盤~終盤のゲーム中どのフェーズであっても彼を強く使う事が最も重要であると考えています。その為にどのようなゴブリン陣営で部隊編成をするか、どのようなスペルやタッチ色でバックアップするか…。常にそういったイメージでデッキを調整しています。そして2Tのアクションにおいて《リシャーダの港/Rishadan Port》起動が強いとされるゴブリンデッキにおいて、同時に戦長用にいかにダブルシンボルを安定供給する土地基盤を目指すかも構築のポイントになってきます。
以降の記事では《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》×4枚を前提に採用カード等を語っていければと思いますが、まずは私の調整論における"はじめの一歩"をご紹介させて頂きました。

今回もお付き合い頂きありがとうございました。
また次回。

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