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猫と古本ワンダーランド

一昨年のことですが、妻と一緒にドライブがてら、高松にある古本屋さんへ行きました。中にはいろんなジャンルの古本があり、それを眺めてまわるのは、とても楽しく刺激的なひと時でした。今の世の中、あちらこちらに、いろんなアトラクションがありますが、昔ながらの古本屋さんで、自分好みの古本を探すことほど、刺激的で楽しいアトラクションはないような気もします。なぜならそこには、古本という名の宝物が山のように存在していて、その世界はいわば、知性や感性のワンダーランドに他ならず、そこを訪れる僕たちはまさに、言葉の宝石を発掘する果敢な冒険者なのだから。と言うのは、流石にちょっとオーバーですが、とにかく、昔ながらの古本屋さんで、自分好みの古本を探すのは、僕のささやかな楽しみのひとつです。しかもその日は、看板猫の黒猫がいたので、その楽しみがいつもより、倍増したような気分でした。

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お店の人に尋ねると、この黒猫は野良猫で、名前は「奥さん」と言うそうで、時々お店にやって来ては、お店の看板猫として、昼寝をしたり、気が向いたら、お客さんの相手をしたりするそうで。ちょうどその日も、お目当ての古本を探していた僕たちの前に、いきなりひょいと現れて、たくさんの古本が積まれた迷宮のようなお店の中を、まるで案内でもするかのように、先を歩いてくれました。お陰で僕たちは、道に迷うことなく、気に入った古本を抱えながら、迷宮から抜け出して、お店のレジへと辿り着くことが出来ました。お金を払って帰り際、奥さんにお礼が言いたくて、彼女を探してみましたが、いつの間にやら、どこにも姿が見当たりません。きっと、休憩の時間だったのでしょうか。あるいは、ひと仕事を終えて、旦那さんが待つ我が家へ帰ったのでしょうか。そんなことを想像しながら、妻と一緒に古本屋さんを後にした、楽しい午後のひと時でした。


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