猫と僕(しもべ)の日記帖 第ニ頁

キキの性癖

昨日は、我が家の愛猫メルのことを書いたので、今日は、我が家の黒猫キキのことを書いておこうと思います。ちなみに彼女は、おてんば娘のメルとは違って、お淑やかで穏やかで、心配性で慎重で、敏感過ぎるほど敏感で、掃除機の音が大の苦手で、他人の気配がするだけで、アッという間に姿を隠し、人一倍というよりも、猫一倍の人見知りで、猫見知りなところもありますが、だからこそ、とても謙虚で繊細で、なおかつ容姿が淡麗で、心優しきレディです。レディと言っても、我が家に来てから、四年の歳月が流れているので(人間で言えば、三十歳以上になるので)、年齢的には、レディよりもマドモアゼルか、あるいはいっそ、マダムの方がしっくり来るかも知れませんが、彼女自身は、年齢なんて気にもせず、その日その日を丁寧に、そして何よりのんびりと、生きているような気がします。けれども、そんな彼女にも、世間を知らぬ王女のように、わがままなところがありまして、それは何かと言いますと、日に何回も、「お尻を叩け」と言うことです。もちろん、彼女が実際に、そう言っているわけではありませんが、ことあるごとにお尻を上げて、叩けとアピールするのです。ですから僕は、彼女のお尻を遠慮なく、何度も何度も叩くのですが、彼女はいつも、うっとりとした表情で、身体をくねくねさせながら、さらに叩けと、僕に要求するのです。本来ならば、彼女の僕(しもべ)である僕が、彼女に叩かれてしかるべきなのですが、家来が王女を叩くと言う、逆転劇がここにあり、サド伯爵や谷崎潤一郎の書物のように、アブノーマルで倒錯した世界が、こんなに明るい我が家の中でも、実はあったりするのです。と言うのは、流石にちょっと大袈裟ですが、彼女の多少のわがままは、むしろ大いに喜んで、享受したいと思います。なぜなら僕は、他ならぬ、彼女を愛する僕(しもべ)ですから。

というわけで、昨日今日と、我が家の二匹の猫たちを、ご紹介させていただきました。虐げられた僕(しもべ)としての毎日は、こうして楽しく続いていますが、この続きはいずれまた^_^


もしもサポートしていただければ、そのお金は、ブックカフェをオープンするための開業資金として、大切に使わせていただきます。