【冒頭】不死なるものに極刑を

「カンダルダの山腹に屯す五人の内に一人」の予言を受け、不死人狩りに出た騎士団員は十四名。いずれも単騎で巨人をいなす粒ぞろい。しかし、獰猛な山脈の腹まで命あって辿り着いたのは僅か六名であった。否、それも今、五名になった。滑落したゴントをどうするか、彼らは目くばせし合った。誰もがやつれ果てていた。ロハスルが「拾おう」と言った。「もうじき霧が出る」とユーナンが暗に反対したが、生真面目なトゥヌは既に黙々と岩を降り始めていた。「休もう」とキリが腰を下ろした。ビトーは笛を吹いていた。
 トゥヌは血のついた額当てを持って戻ってきた。
「遺言に間に合った」
 しかし、ユーナンは杖の先のカンテラを見つめたまま「霧だ」とだけ言った。周囲は既に薄靄だった。騎士団は座り込んだ。
「もう五人か」
 キリは項垂れた。
「案外、このうちの誰かが不死人かもな」
「そう。俺だ」
 ロハスルが手を上げた。
 全員が振り向いた。ビトーは笛を吹いていた。


【続く】

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