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【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その4 減速のためのブレーキング

ブレーキングの2つの役割

ブレーキングはバイクの操作の中で最も難しく、最も重要なテクニックです。

ブレーキングの役割は主に2つあります。《減速》と《コーナリングのきっかけづくり》です。

減速はコーナー手前でブレーキングすることによって、コーナーをクリアするための適切な速度までスピードを落とすことです。目標とする適切な速度まで思い通りに減速するためには、まずブレーキの持つ制動力を最大限に引き出せるようになることが重要です。

制動力が最大となるのは、タイヤがロックする寸前です。(ロックさせてしまうと滑るだけで制動力は低下してしまいます)ロック寸前でブレーキをコントロールするために必要なのは、どこまでブレーキをかけたらロックするか、またロックしたときにバイクがどのような挙動を示すかを知ることです。

限界を知るための練習

ブレーキロックの練習に適しているのは砂利道や土の上のような滑りやすい路面です。グリップが低い路面の方がロックをさせやすいですし、万が一転倒しても身体へのダメージが少なくなるからです。練習に使うバイクは、オフロード車があれば最適ですが、転倒を回避するため軽くて足付きが良いスクーターなどもおおすすめです。

まずは時速20キロくらいから、リアブレーキのみをグッとロックするまでかけます。この時、できるだけ車体は真っ直ぐ立てておくようにします。左右どちらかに傾いていると、タイヤが横滑りをしてしまいます。この時リアブレーキは、ジワッとではなく一気にガンッとかけると簡単にロックさせることができます。

バイクを立ててさえいればリアブレーキをロックさせても、進行方向へ真っ直ぐに滑るだけなので比較的安心して練習ができます。何度も繰り返して、タイヤがロックしたときの感覚をまずは掴んでください。

次にフロントブレーキをロックさせる練習ですが、フロントのロックは即転倒に繋がってしまいますので、リアブレーキの時より10倍ぐらい慎重に行います。速度も10キロ以下、あるいはもっと低い速度から始める方が良いでしょう。

フロントの場合は、リアと違いたとえ車体が真っ直ぐであったとしても、ロックさせるとハンドルが右か左かのどちらかに切れ込もうとします。

ですので、フロントがロックした感覚があったらすぐに”パッ”と瞬間的にブレーキレバーを離します。

ブレーキレバーを離せば、バイクはすぐに直進性を取り戻します。この練習は転倒のリスクが高いので、決して無理せず細心の注意を払いながらトライしてください。

ブレーキをロックさせる感覚に慣れてきたら、車体を少し傾けながらリアをロックさせ後輪を横に滑らせてみたり(その際ハンドルが”逆ハン=カウンターステア”になる感覚が分かると思います)、また腰を思いっきり引いて(タンデムシートに座るぐらいお尻の位置を後方に持っていき、フロントの荷重が抜けた状態にする)、フロントブレーキを思いっきり握ってフロントタイヤをロックさせたままスロットルを少し開けて走る(フロントが滑ろうとするのをハンドルを意識的に切って調整しながら走る。倒れそうになったらすぐブレーキを離してください。)といった練習を遊び感覚でたくさんこなすと、ブレーキングのテクニックが飛躍的に向上します。

タイヤがロックした時の挙動と対処法を知ることで、ロック寸前のブレーキングに対してだんだんと恐怖心が薄れていき、より果敢な挑戦をすることができるようになります。ロック寸前のブレーキング(フルブレーキング)の練習は、繰り返せば必ず身についていきます。

ただし、ブレーキングの練習を行うときは、絶対に安全そうな場所を選んで、できればプロテクター類もしっかり装備してから行ってください。いきなりアスファルト路面で練習するということなどは、大変な危険を伴いますので絶対にやめましょう。

どちらのブレーキを先にかけるか

ところで、フロントブレーキとリアブレーキはどちらを先にかけるでしょうか?

フロントブレーキ?リアブレーキ?それとも前後同時?

ブレーキング時に車体を安定させるためには、フロントブレーキよりも一瞬早くリアブレーキをかけます。リアブレーキをかけるとリア側が沈む方向に力がかかります。その後でフロントブレーキをかけると、あらかじめリアが沈んでいることでフロント側への過度のピッチング(ここではフロントが深く沈みすぎることを指します)を防ぐことができます。

フロントブレーキを先にかけフロント側だけが先に沈んでしまうと、逆にリア側が浮き上がり気味となりリアタイヤへの荷重が不足してリアブレーキがロックしやすくなってしまいます。

ブレーキは、フロントブレーキよりも一瞬早くリアブレーキをかけることで、フルブレーキング時に挙動が安定し、制動距離を短くすることができます。

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前回の『ライディングポジション』でも書きましたが、ブレーキレバーを握る指は、人差し指と中指の二本がけをおすすめします。四本がけや、人差し指と親指をグリップに残す三本がけでは、レバーを握る時に小指を使うことになります。小指をブレーキレバーを握るときに使うと、腕の外側の筋が張ってしまいます。すると体の構造上、肘の位置が上がってしまいバイクを寝かせ始める時に一瞬腕が突っ張ってセルフステアを阻害してしまいます。セルフステアは、倒し込み開始から終了までのほんのわずかな時間で発生します。この一瞬のセルフステアのタイミングを邪魔してしまうと、バイクを寝かせているのに旋回力は上がらない、曲がらないということになります。

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ただ、二本がけは四本がけや三本がけよりもレバーの根本に近いところを握ることになるため、握るのに力が必要になる(テコの原理)ので注意が必要です。

同様に、クラッチレバーも二本がけがおすすめです。理由は右手の場合と同じく小指をレバーの握りに参加させないためですが、左右の手で使う指の本数が違うとコーナリング時に左右で体の使い方が変わってしまうため、どちらかのコーナーで違和感を感じたり、左右のコーナーで得手不得手が発生する恐れもあります。

左右どちらのコーナーも同じ感覚で走れるようにするために、両方とも二本がけの練習をするのが良いと思います。



【リーンウィズで速くなる!?】タイトルまとめ

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