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リーンウィズ・ブースト その1〜シッティングポジションの誤解〜

バイクライディングの基本フォーム【リーンウィズ】に関する本をこれまで2冊書きましたが、3冊目の出版に向けてnoteで連載を始めたいと思います。

様々な本に書かれているライディングテクニックは本当に正しいのでしょうか?僕がバイクに乗り始めた35年前から、その内容はほぼ同じと言っても過言ではありません。

他のスポーツでは技術に関する常識が時代と共にどんどん変化しているのに、バイクの世界だけまったく変化がないということがあるでしょうか?

もちろんずっと変わらない基本というものもあります。ですが今一度その常識を疑い、再検証してみることも大切ではないかと思います。

リーンウィズ・ブーストでは、ライディングテクニックの誤解に切り込み、令和版バイクライディングへのアップデートを試みます。

《この記事の後半は有料版になっています。もし興味が湧きましたらご購入よろしくお願いします。》

では第1回目は、シッティングポジションの誤解についてです。

ライディングフォームに興味を持っているライダーは多いと思います。どんなスポーツでも「まずは型から入る」というのが一般的だからでしょう。
そのフォームの中で最初に決めるべき、かつ重要なのが”座る位置=シッティングポジション”です。

ライテクの教科書には「ステップの上に立ち上がり、ゆっくりと腰を下ろしていってお尻が最初に着いた場所を基準にする」と書いてあります。
僕が最初に出した本『リーンウィズで速くなる!?』の中でもそのように書きました。

ですが、少し誤解があります。

まず重視すべきは『骨盤を立てる』ということです。
“骨盤を立てる”というのは、骨盤が前傾も後傾もしていない状態です。
バイクに跨って腰を反らせると骨盤が前傾し、背中を猫背気味にして後ろに引くと後傾します。
そのどちらでもないニュートラルな位置に骨盤の角度を保ちます。

この背骨の重さがまっすぐに骨盤に載る姿勢は、全てのスポーツに共通する基本だと思います。

骨盤の角度を保てるようになったら、シートの前後どの位置に座るかを探っていきます。

シートの前の方に乗ると前輪の分布荷重が増えます。前輪の荷重が増えるとコーナリング開始時にフロントタイヤから大きな旋回力を引き出すことができます。自転車の前カゴに重い荷物を入れて走った時にハンドルの手応えが重くなり、車体を傾けると鋭くハンドルが切れてクルッと曲がれるのと同じです。

逆にシートの後方に座れば後輪の荷重が増え相対的に前輪の荷重が減少します。この場合、コーナリング開始時のフロントタイヤの旋回力は若干低下します。自転車で後ろの荷台に座って運転するとハンドルが軽くなり切れ角の割りには曲がらないという現象を思い浮かべてもらえば分かりやすいでしょう。

コーナリングのアプローチでフロントの旋回性を高めるためには、できるだけ前に座りたいところなのですが、前に乗りすぎる事で一つ問題が発生します。

それは、“半腱様筋が使えなくなる”という問題です。半腱様筋というのはシートに荷重を載せるために働く部位です。

では、自分の体で確認してみましょう。
立ち姿勢からやや中腰になって、太モモの裏側の内モモ付近を触ると硬くなっている部分があると思います。そこが半腱様筋です。

後半で詳しく説明しますが、ブレーキング開始からコーナリングに差し掛かる局面でシートに荷重するのはこの部分になります。

まとめると、骨盤を立てる事ができて、半腱様筋がシートの前端にかかる位置がシッティングのベストポジションということになります。

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