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台風19号災害について ~支援の方法とRCFの方針

 台風19号の災害で犠牲になられた方々に心から哀悼の意を捧げます。またいまも災害により苦労されている皆様にお見舞い申し上げます。
 この一週間は、10月12日に発生した台風19号による災害対応で追われていました。(Abema Primeにも出演しました。見ていただいた皆様有難うございます)
 あらためて被災の概況、現時点で皆さんにどのような行動をとって頂きたいか、そしてRCFの支援の方向性について紹介したいと思います。

1 台風19号災害の概況

 猛烈な台風19号は、7県合わせて71河川・128ヶ所の堤防を決壊させました。このことにより、各地で浸水被害が発生し、18日時点で死者79人・行方不明8人。また被害があった住宅は4万5000棟以上に上ります。
 当初は関東直撃のイメージが強かったわけですが、結果的に最も被害を受けたのは福島。ついで宮城、長野といった順になっています。
 台風15号は「風」の被害でしたから、暴風で屋根を失われた個人住宅と、ハウスが壊れてしまった農家への支援が課題でした。他方、台風19号は「水」の被害となります。浸水により被害をうけた住宅からボランティアの力をお借りして泥出しを進めたり、工場や農地被害からいかに復旧を図るかが課題となります。
 しかし今はまだ、被害の全体像がようやく固まりつつある段階です。

2-1 まずは寄付を

 続いて、個人の皆さんによる支援を行う際の考え方をお伝えしていきます。
 まずは、寄付をお考え下さい。被災された皆様に広く行き渡る義援金と、支援に入るNPOの活動費用となる支援金の2つがあります。義援金は赤十字が一般ですが、Yahoo!募金だとTポイントでも寄付が可能です。

 支援金については、Readyforさんからの寄付が、各団体の活動も覗えて、わかりやすいと思います。

2-2 物資はお控え下さい

物資についてはお控え下さい。現時点で被災地が最も必要なマンパワーです。しかし、個人の方が、SNSなど間接的な情報を頼りに物資を送ってしまうと、現地では仕分けや配分のコストがかかりすぎます。
 企業や行政が直接被災地とコンタクトし、とりまとめて大量に送ったり(断水が続く地域に、多くの企業が水を送ってくださりました)、ご家族や知人が被災されていて直接送るのはもちろん構いません。
 なお、個人でも、無駄なく負担なく、物資を送る方法として、Amazonの「ほしい物リスト」機能を使う方法があります。先日の台風15号では千葉市が活用した模様です。Amazonも台風19号被災地に向けて次のように呼びかけていますが、活用事例はこれからです。

2-3 ボランティアは情報をみて検討下さい

ボランティアは、現地社会福祉協議会(以下、社協)が運営している災害ボランティアセンターを通じて、支援ニーズとマッチングされます。
 次の全社協の特設ページで、開設されている災害ボラセンのリストが掲載されています(タイトルは千葉・東京ですが、台風19号の内容です)。

 場所によっては、地域外や県外の方を受け付けていないこともありますから、注意下さい。また天候によって中止もあります。各ボラセンの情報をよく読んで下さい。電話は現地の負担がかかりますから、なるべく避けて下さい。
 現時点では、危険がともなうボランティアとなります。未成年の方は控えて頂き、経験が少ない方は、経験者とともに参加することを心がけて下さい。

2-4 観光に行きましょう

 こうした災害が起きると、被災した地域がまるごと大変な状況のように錯覚するものです。例えば箱根では観測史上最大の豪雨により、多くの施設で温泉が止まり、箱根登山鉄道も運休しています。熱海でも断水によって一部の旅館が休業を余儀なくされています。しかし大半の旅館は通常通り営業しています。旅館側と連絡することは必要ですが、萎縮することなく、胸を張って観光を楽しんで頂ければと思います。

3 RCFは何をするのか~生活再建、事業者支援、中間組織支援

 RCFは、緊急支援団体ではなく、被災者や被災事業者の生活再建や復旧復興支援を行う専門組織です。ですから、実際に私達のノウハウが活きるのは少し先となります。ただ、現時点から、「どの地域で」「どの団体と」「どのような事業を」「どのような規模で」行うかの検討を開始しています。
 詳細はいずれ説明しますが、企業や財団等のからの支援金(3000-4000万規模)により、2-3地域で1-2年間にわたる支援を、資金およびノウハウ面でお手伝いすることを想定しています。
 たとえば生活再建。現在は泥出しなどのボランティアニーズ中心ですが、その後は被災者お一人お一人がいかに生活再建を行うかを考えていく必要が生じます。その時には、行政による支援制度の紹介を行ったり、専門家をつないだします。また、地方ではお一人暮らしの高齢者も多く、災害によって損なわれた人と人とのつながり(コミュニティ)を取り戻すため、交流の場を用意したり、自治組織形成支援を行います。
 あるいは被災事業者支援。今回も、農家や中小企業が甚大なダメージを受けています。地域の被災により、成り立っていた事業を見つめ直す必要が生まれます。まずは国や行政、民間企業による事業者支援情報をつなぎます。しかし、事業者には、その際の申請書類をとりまとめる負担がのしかかります。ときに、申請手続きのサポートも行います。施設や設備が復旧しても、販路を回復させるための努力が必要になり、また新しく有意な人材の確保が必要となります。東北では、キリンやグーグル、また人材会社の皆さんとともに事業者支援を進めてきました。
 そして、こうした支援は、少なくとも2年は継続する必要があります(東北では5年以上かかりました)。そのために、現地の方々が中心となった新しい復興支援組織/中間支援組織を、各地域でつくられる必要があります。RCFはそうした組織の立ち上げ、運営、事業継続の方法論をお伝えしていきます。
 この一週間で、宮城県は丸森町。福島県は伊達市・郡山市・いわき市・南相馬市。岩手県は釜石市。茨城県は水戸市。長野県は上田市と、各地の関係者から状況や見通しを伺ってまいりました。こうした地域での、中期的な生活再建・復興の取り組みを今後形成していく考えです。

4 改めてのお願い

 一般の方は、まずは日常通りの生活を。余裕がある方は、いくばくかの寄付をして頂いたり、周辺への観光、そしてボランティアを検討ください。また、RCFもそうですが、各地の被災事業者や新しい復興支援団体で人を必要とすることになります。キャリア的に余裕がある方は、ぜひ2-3年、被災地での復興実務にあたることも検討下さい。
 企業の方で、もしも被災地への中長期的な支援を検討したい方は、ぜひご連絡頂ければと思います。今回は東日本大震災並に被災範囲が広く、とりわけ中長期的な支援はどこも組み立てられていません。

 災害が続いてきたこともあり、現地、支援者、政府、メディア、企業、そして一般の方も、いかに災害に対応するかが成熟してきたように感じています。しかし、地域によっては高齢化が2011年からさらに進み、生活再建や事業再建を諦めてしまうような方も現れています。それぞれの立場での被災地への関わりを、検討頂ければと思います。(了)


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