小説/友だちリスト 第2話

水沢さんに話を戻そう。
彼女の異変に気付いたのはそんなに前ではない。ごく最近。異変といっても何か大きな変化があったという訳ではない。多分女性同士にしかわからないレベルの些細な変化だ。新しい環境で、うちの部署に配属され、席も隣になったから毎日嫌でも(嫌でもないが)彼女の言動が目につく。どちらかというと職場では着飾るタイプではない私だが、水沢さんは逆だ。

エアコンが強めのオフィスだというのに、体が冷えそうなノースリーブを着て来たり、季節外れのワンピース(スカート短め)というようなファッションが多い。男だらけのむさい職場だというのに、わざわざ男目を引くような意識が高い(けど場違いな)ファッションを好んでいる。もちろん対外的な仕事のある日は、控えめな色のパンツスーツの時もあるが、基本的には華やかだ。

こんな部署で華やかな格好をしたところで何の意味があるかはわからない。別に注意とかをすることはないが、私の考えとは真逆なんだろうと思う。

私はオフィス内ではいかに地味に目立たないかという考えだからだ。仕事をこなしたところで出世するつもりもないし、できそうにもない。だったらわざわざクライアントや上司ウケが良さそうな格好などしてこない。「いかに裏方に徹するか」それが私の働く上でのポリシーだ。

もちろん私だって可愛い服を着るのは好きだし、キレイに見られたいときはある。しかし、そんなときは休日だけである。付き合って長い彼氏とデートするときは、ここぞとばかりに女子力の高い服を選んでいる。職場のむさ苦しい先輩方にデート中の私を見られたら驚かれる(笑われる)かも知れない。だから職場近くでデートするときは人目が気になってしまう。週末の夜デートするときは面倒だが一旦家に帰って、着替えてから行くという徹底ぶりだ。それくらい私は目立ちたくない。

だから水沢さんが朝、出社してくると嫌でも服装チェックをしてしまう。小姑のような自分の性格が嫌になるが、だからこそ気付いたことがある。

彼女は荷物が多い。異様に。

服装はいつもやや派手+私可愛いコーデといった感じなのだが、軽装なファッションに合わない荷物の多さだ。もちろん彼女の場合、出張などがあるからそんな日は荷物が多くても良い印象だが、普段からキャリーバッグを持ってくる時もある。一体、帰りに何をやっているんだという疑問を持ってから、彼女の荷物に目がいくようになった。出張などない日の場合、外出はほぼなく社内での対応がほとんどなので、余計に違和感を感じる。しかも社内では荷物の出し入れを頻繁にしている印象がない。

そしてもう一つ気になることがある。

彼女はスマホを3台持っている。

つづく


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さくさく小説

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