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まもなく太陽蠍座入り

10月23日(日曜日)太陽と金星が天秤座から蠍座に移動します。


今年は、同じ日に色々な星の移動があり、太陽と同じく金星も天秤座から蠍座へ入るのです。
また、水瓶座でながらく逆行していた土星も、この日順行へ。
このように、太陽・金星が同じ日に移動したり、土星の順行が重なるというのは結構珍しい気も‥。

じつは、来週はそのほかにも色々と星の動きがあります。
まずは2日後の10月25日(火曜日)には部分日食が蠍座で起こるうえ、3日後の10月28日(金曜日)にも木星が牡羊座から魚座へといったん戻るんです。
このように、蠍座がはじまった途端に濃厚でこってりな星周り。
「蠍座シーズンが来るなあ」としみじみします。

蠍座の思い出

じつは蠍座は、思い出がいっぱいある星座のひとつです。
美しいものも苦いものもありますが、その思い出のおかげで、私はこの星座にかなり詳しくなりました。

一途さと一本気さ、人間らしい不器用さをもつ蠍座の人たちは愛おしい星座。
思い出をくれたご縁は過去のものになりましたが、今でもこの星座の季節がやってくると色んなことを思い出させてくれるのです。

銀河鉄道の夜

宮沢賢治童話村 フリーイルミネーション
https://www.photolibrary.jp/


宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」のなかで、死者をのせて走る銀河鉄道が蠍座を通過するとき、沈没したタイタニック号の乗客だった少女が、この星座にまつわる蠍の話をするくだりがあります。

むかしのバルドラの野原に一ぴきの蝎がいて小さな虫やなんか殺してたべて生きていたんですって。
するとある日いたちにみつかって食べられそうになったんですって。
蠍は一生けん命遁げて遁げたけどとうとういたちに押さえられそうになったわ、そのときいきなり前に井戸があってその中に落ちてしまったわ、もうどうしてもあがらえないで蠍は溺れはじめたのよ。
そのとき蠍は斯う云ってお祈りしたというの。
 ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった。
ああなんにもあてにならない。
どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉れてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。
どうか神さま。私の心をごらん下さい。
こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸いのために私のからだをおつかい下さい。って云ったというの。
そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるってお父さん仰ったわ。」

※出典「銀河鉄道の夜」宮沢賢治 より

これまで沢山の生き物を殺し、自分の命の糧にしてきた蠍が、弱肉強食の果てに命を終える間際でこれまでの行いをふりかえり
「次に生まれてくるときには、本当の人の幸せの為に自分の命を捧げたい」
と願った瞬間、身体が天上の星になっていたというエピソードは、仏教徒で菜食主義者だった宮澤賢治の思想があらわれています。

ただ、ここに描かれているのは単純に
「肉食はよくない」とか「菜食はよい」というような事ではありません。

ここで伝えられているのは
「だれもが業にまみれた生き物である」
ということ。
そして、愚かさや醜さを経験したあとでなくては見えない「祈り」の世界と「魂の救済」だと思います。

そして蠍座にも、どこかそんなところが有ります。

きれいごとではなく、憎しみも喜びもすべてを見ようとするのです。
不死鳥が炎のなかから蘇るように、暗闇の中から崇高な世界へと生まれ変わる「変容」のエネルギーを持っており、「渇望」するほど愛をもとめる、強さと深みをもった愛ある星座です。

お誕生シーズンに愛をこめて

思い出のなかの蠍座さんとは、喧嘩したり戦ったり笑ったり、いろんな経験をさせていただきましたが、父が亡くなったとき、訃報をどこからか聞きつけて、大勢の仲間を連れて葬儀に来てくれたことは忘れません。
身内のなかにいても悲しみしかなく、弱っていた自分を励ましてくれたこと、今でも感謝しています。

大好きな蠍座の皆さん、まもなくお誕生シーズンです。
幸せにお過ごしください!


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