20150112成人式

としまえんの温泉に行く。
電車の中には成人式に行く風情の、軽薄そうな男の子や振り袖の女の子がいてそういう日なんだなと思う。
わたしはふるさとというものを持たない人間だし、バブル期の浮ついた成人式の雰囲気がどうにも嫌だったので親元や当時住んでいた自治体が主催した成人式には参加してはいない。
成人の日はその年の年末年始に警備員のアルバイトをして作った頭金をもとにSRX400を手に入れることばかり考えていた。
毎年この日は新成人が暴れたり騒いだりすることがマスコミで報じられ、識者だの良心的な市井の人たちだのが眉をひそめるのが恒例になっている。
だが、最近のわたしは、どれだけ軽薄で頭が悪そうでマナーもなく幼く頼りなく没個性に見えても、こいつら(男女とも)はこれでいいんじゃないかと感じるようになった。
放っておいてもそのうち形になる。
おれたちがこいつらの歳の頃はもっともっとダメで、おまけに自分(たち)が本当にダメなことを傲慢にも全然自覚してなかったじゃないか。
正装して成人式に参加したあなたも、下宿に籠ってローンの返済金額を計算していたわたしだって、ダメだったことには違いはないはずだ。
豊島園駅ちかくの中華屋さんで食事をする。
昼酒を飲みながら話に華が咲いている3人組のテーブル席に、知り合いらしき母親と兄弟2人が後から参加する。
なんとは無しに話を聞いていると、兄の方が成人式に参加するらしい。
C大の(理学部)数学科に在籍しているそうだ。
彼らのお父さんは、「38から歳をとらなくなった」。
それでも数学科の彼は成人式をむかえ、きみは8年後だね、と弟は言われていた。
そうらしい。
今日、全国どこでも二十歳の子たちが同じような格好をし、同じような行事に真剣にだか内心うんざりしながらだか参加し、行事の後は同じように騒ぐ。
大人の目には同じような連中に映る。
しかし、彼らは親や学校の庇護や庇護の不在によるそれぞれの世界を生きてきた。
そしてこれから何十年もかけて、社会の他の人たち(わたしたちを含む)と関係を築きながら自分自身の物語を紡ぎ上げていく。
今日はそういうことを、日々「歳をとっている」大人も考えていい日だ。

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