多重債務タヌキの話⑬絶対に負けない弁論術

タヌキは無敵だ。失うものがないやつは無敵だ。FXで負けたら生活保護を受けるらしい。こんなバカに税金を払わなきゃいけないのは少しアホらしいが仕方ない。

さて、タヌキには「最強の弁論術」がある。タヌキ自体は全国民の下位1%に入る程度の実力なのだが、それでも負けない。

例えば自分より上の99%の人たちに対してはこう言えばいい。

「お前はいくら成功しても飯塚幸三のような(交通事故の加害者になる)最期を迎えたら意味がない。人生は終わるまで分からない。」

と。

「マネーの虎の社長のほとんどが今や落ちぶれているからお前も……」

でも構わない。

とにかくそう言えば成功者や一般人に反論できるのだ。

ギャンブルではどうか?

少し勝ったときはこういえばいい。

「お前はこの3万円が、働いた3万円とは意味が違うことを知らない。これを複利運用ができるからすぐに億万長者になる。お前にはその術がない。」

「これは原資が25万円だから3万円なだけ。もし2500万の原資なら、わずか1週間で300万円勝てていたことになる。」

これで無敵だ。我々下民には億トレーダーも週給300万も不可能だからだ。

負けたらどうするか。それはこうだ。

「今は負けているが短期目線ではない。1ヶ月後、3年後を見ろ。」

「このトレードで、このラインで利益確定したら原資回復。今までの負けはなくなる。」

これで無敵だ。仮にこういった反論↓

「あれ?7万円負けは、もし2500万円の運用なら700万円負けていることになりませんか」

があった場合も大丈夫。

「体調がよくないのでツイッターをお休みします」

とだけ言えばいい。

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この無敵の論法に安易に頼りすぎているがために、タヌキは怪我で己の身が引き裂かれ大量出血していても感覚が麻痺しているから怪我の処置をしない。

タヌキが考えなければいけないのは飯塚幸三でも、マネーの虎でも複利でも原資回復でもなく、

「そうやって15年間傷口を広げてきた自分のクソさ」

についてだろう。



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