イキれ!伝説の打ち子・戸田クサさ!【第1話】
20XX年、私のもとに打ち子をしにきた戸田クサさという男。伝説の男。レジェンドオブレジェンド。この男が最終的にどのように大量の玉を窃盗して開き直るのか…リアル超大作ストーリーが満を持して解禁される。
心臓の弱い方は閲覧注意……
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クサさ氏の加入後、私はこのおじさんの始末に困っていた。というのも、他の打ち子からの苦情が止まらないのだ。
基本的にパチンコの打ち子など、台を打つだけで打ち子どうしにはそれほどの関与はない。長年打ち子を雇ってきたが、クササ(敬称略)ほどクレームの多かった打ち子はいない。
「あいつなんで打ち子のくせにエラそうなんや」
「朝からほかの客の悪口ばかりで見てて不快。リーダー(私のこと)、クササに指摘して」
「臭い」
「エクセルで打ち子してたのか知らんけど、ストロークが悪いだのなんだの打ち方に細かい」
「臭い」
「老けすぎだろ。絶対歯とか磨いてない」
「リーダーいないとき私が打ってたら、のそのそ残玉見にきて、あいつが打ち子の玉を流し合って全体の玉数調整していった」
「ボソボソ言ってて何言ってるか分からんから話通じん」
「臭い」
「自分の経歴などの盛りがすごくてウザい」
一部の意見を紹介するとこのような感じ。
特に「勝手に玉を管理する」というのにみんなぶちギレ。
というのもこのクササ、めんどくさいことにマイルールを作っていて「50000発以上玉がないといけない」というもの。当然全て私の投資ぶんでクササの出資分はない。
ほかの先輩打ち子が少なかろうが、20000発きろうがおかまいなし。クササが50000発以上ないと気がすまないことが優先。
さらにめんどくさいのが「50000発切ってしまったので不安でイライラするっす」とかほざいて貧乏ゆすりが激しくなること。
他のメンバーからすると、なんでクササに仕切られているのかも分からないし、クササだけ玉があるのかも分からないし、50000切ったらイライラするのかも分からないとクレームがあった。クササより少ない自分(打ち子)でも文句ないし、クササの玉でもないのにあいつ頭おかしいんじゃない?とみんなからクレーム。
ただ、めんどくさそうなオッサンのため誰も面と向かって言えず。しまいには
「リーダー、クササをやめさせてくれ。もう無理だ」
という意見が出るしまつ。
クササと揉めるのもめんどくさかった俺は、他の打ち子には「やめた」ことにして、クササのみを他の店で稼働させて雇うことにした。
クササは毎日、めちゃくちゃ回る甘デジを打っていた。
が、さすがは伝説の打ち子クササ。どんどん玉をなくす。俺が追加する。これのループ。
この原因は3つ可能性がある。
クササがしょぼすぎるのか
クササがチョロまかして抜いていたのか
クササが嘘のデータを送っていたか
嘘のデータというのは、もし他店にいる俺に「どれも回らないです」というデータを送ると稼働終了になるリスクで収入が確保できないから、
「回っていないのに回っているという改竄をした」
可能性がある。そして回っていないから負ける。
あくまで可能性だが、あんなに回る甘デジで負けていてるならド下手、改竄をしてたらアホ、いずれにしてもレジェンドだ。
上手そうにするのはいい、輝かしい経歴をさらに盛るもいいでしょう。他の打ち子を仕切るのもご勝手にどうぞ。
ただしクササ…
「お前、一番負けてるからな」
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最弱打ち子列伝クササ
【第1話完】
次回の最弱打ち子伝クササ(タイトルかわってる)は
「クササ…死す」
絶対見てくれよな。世界が……憎い…
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