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今日は私に、明日は君に。

ボリビアの諺(ことわざ)というか格言というか人生哲学というか、Hoy día por mí,mañana por ti.というのがある。

はじめてのホームスティ

初めてボリビアでホームスティしたとき、毎日のように言われていたことがある。それは、「今日は私に、明日は君に。Hoy día por mí,mañana por ti.」で、意味は相互扶助。

今日は私にこれをちょうだい、明日はあなたになんかあげるわよ、と。
Give&Takeの発想は悪くないけど、まず「私に」なのね、と突っ込みたくなる。

ホームスティ先で、いろいろなものを盗まれた。
初日、「時差もあるし、疲れてるでしょ」と言われて少し寝て起きた時には私の財布の中から5USドル札が消えていた。

次の日は、枕元に置いていた腕時計が消えた。

翌日も、翌々日も、寝て起きると何かが消えている。

もちろん、貴重品はスーツケースに入れて鍵をかけて対策したけれど、
寝ている間に履いていたレッグウォーマーまで盗まれた。

ラパス市内の夜は冷えるので、足を冷やさないようにしていたけれど、もうお手上げだった。

どうしよう?どうしようもない。

家の中で物が無くなるのだから、犯人は特定できるのだけれど
お世話になっているから文句つけにくい。
ちなみにこの家に家政婦や掃除婦は一人もいない。
ファミリーしかいない。

「私の腕時計、見なかった?」「靴下、落ちてなかった?」「タオルが消えたんだけど・・・」それとなく訊ねてみるけれど、わけわからないことを言い返されて悲しくなる。

冷蔵庫に入れておいた食べ物も飲み物も、秒で消える。

名前を書いても、食べられてしまう。
ちゃんとみんなに振舞う分も買ってあるのに、
私が「どうぞ」と言う前に全部、消えていた。
しかも、彼女たちに盗んでいるという自覚はないようで、
堂々と私の食料を私の目の前で食べている。
そして「おいしい、ありがとう。また買ってきてね。今日は私に、明日はあなたに。」と言われてしまう。
ほかに、洗面台に置いていた石鹸も勝手に使われていた。
「日本の石鹸はお肌にいいわね」とご丁寧に事後報告あり。

与える人になりなさいだとー?!

勝手に使ってくれてもかまわないけど、私が使いたいときに無くなってるのは困るのよね、、、。やめてほしいと伝えると、「Hoy dia por mi, manyana por ti」「与える人になりなさい」的なお説教が始まる。奪っている彼女たちが、そう説くのだ。まいったな。

ボリビアにも3年


でも、3年くらいボリビアに住むと分かる。
野外ライブで凍えそうになっている私に、
隣にいた見ず知らずの中年女性がブランケットを貸してくれた。
「Hoy día por mí,mañana por ti.」と言ってその人は微笑んでいた。

東日本大震災の時は、友人知人だけでなく道端ですれ違う赤の他人の方たちからも
「日本人か?困っていることがあったら何でも言ってくれ。」
「Hoy día por mí,mañana por ti.」と声援をもらった。
人助けが文化になっている。

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