散文詩(ASKA)

いつも僕の前には
真白な 気の遠くなるほど真っ白な 地図が描かれていて
右足を出せばいいのか 左足を出せばいいのか
そんなことを考えると 部屋中の時計が止まります
そんなとき
僕は心の中にあるエレベーターに乗り
幼い日行きのボタンを押すのです
扉が開くと
そこにはいつも ダブダブの服を着た僕が立っていて
“いつかおおきくなるからねっ”て
その服が似合う頃になると
次の大きな服を着せられてね
結局 カッコよく着れる頃は
少しの間しかなかった
でも僕は思うんですよ
きっと 心の中にも 
大きな服を着せられてたんじゃないかって
その服は 風になびくと
とても綺麗で
まるでチョウチョの羽根のようでね
いつしか大人達は 舞い上がる風を捜すうちに
羽根のあることを忘れてしまって・・・
だから 子供に憧れるのかも知れませんね
失くしたわけじゃないですね
使わなくなっただけですね
僕は あなたと出逢ったとき
それが少しだけ
揺れるのを感じましたよ

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