見出し画像

外郎売

なぜか好きな行動。
カードで支払いをして、暗証番号を打つ時に、「私は見ていませんよ」という意思をめちゃくちゃ店員が示ししてくれるやつ。あれいいですよね。そこまでしなくてもいいのにと思うので、なんかかわいくてつい笑っちゃうんですよね。後ろを向いたり、手で隠したり、わざとらしくレジを触ったり。いつも写真撮りたくなるのですが、さすがに集められずにいます。

同じ気持ちの人いますか?


話は変わりまして。

先日、劇団の稽古を見にいきました。劇には定番ないくつかの稽古があります。例えば、腹式呼吸を用いた「あえいうえおあお」と言っていくものや、即興で演技して表現力を鍛えるエチュードなどです。

その中のひとつに『外郎売(ういろううり)』という、江戸時代の路上で薬を売る人を演じる口上があります。俳優や声優、アナウンサーなんかの練習によく使われるお話で、表現力や滑舌なんかを鍛えるんですね。

こんな感じ↓

拙者親方と申すは、お立会の中に御存じのお方もござりましょうが、お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて、青物町を上りへお出でなさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門、只今では剃髪致して圓斎と名乗りまする。
元朝より大晦日まで御手に入れまする此の薬は、昔、珍の国の唐人外郎と云う人、我が朝へ来たり。
帝へ参内の折から、此の薬を深く込め置き、用ゆる時は一粒ずつ冠の隙間より取り出だす。 依ってその名を帝より「透頂香」と賜る。 即ち文字には、頂き、透く、香と書いて「とうちんこう」と申す。

いわゆる実演販売みたいな感じです。これが読み上げると約8分くらいの長さであります。

で、稽古でやったのはその口上を演じている人の前をみんなでふらふら歩いて、呼ばれている感覚がしたり、立ち止まりたくなるかというもの。演者は薬を売るためにできるだけ長い時間、みんなの足を止め続けなければなりません。そのために必死に演じるのです。

そんなわかるかなとみんな最初は思いがちですが、これが、意外とわかるんですね。

読んでるだけ、言葉を言ってるだけの人は全然立ち止まる気がせず、口がうまくペラペラしてる人も、途中で離れたくなる。長く立ち止まってもらうためには、信頼感を得なければなりません。薬を買うことを目的に立ち止まるので、この人の売る薬がどれだけすごいのか、あんたを信頼して買えるか、など、普段もそうやって自分は道で足を止めているのかと考えることになります。さまざまな職業の定番というだけあって、仕事や日常に生かす場面も多そうです。

話すの上手い人=面白いわけでも、信頼を得られるわけでもない。自分の話し方ってどうなんだろうか、と考えました。プレゼンの時とか、相談に乗るときとか。


今週の質問『人生で一度は言ってみたい言葉』

今年使いたかったのは

「ダライラマか!」

です。
いつでもいけるように準備してるんですが、今年中に使う機会が巡ってこなそうです。もし舌だした人いたら、今年だけは「アインシュタインか!」と突っ込む人より「ダライラマか!」と突っ込む人が多かったことでしょう。

もう師走なので、なんでもいいので、今度むりやり使います。

また、一番いいたくなる言葉は
「シルヴェスター・スタローン」
です。

人の名前が好きみたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?