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~解体韻書~ Vol.14 ZORN「Saves me」

 続いてEP『925』から4曲目「Saves me」です。

 攻撃的なモードから内省的なモードに変わり、弱い部分をさらけ出しながらも自分に不可欠なものについて語っていく内容になっています。

 ビートは変わらずBACHLOGIC。BPMは89くらい。Hookから始まり、Verseは16小節を2回です。

 まずはHookから。

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 「これがなければ」と「俺はダメでさ」、「痛み苦しみ」と「癒し救いに」でそれぞれ7音ずつ踏んでいます。

 「be alright」と「きっと大丈夫」でも<ioai>の音で踏んでいます。

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 続いてVerse1の前半8小節です。

 最初の4小節は「最低な人間」「内面は陰険」「マイメンは知ってる」「愛せないで」「書いてたりして」と<aieaie>の音で5回踏んでいます。

 途中「善人」と「演じて」でも踏んでいます。

 残りの4小節は「時もある」「星の数」「ひとりもがく」「来いと待つ」と<oioau>の音で4回踏んでいます。

 「生きれない」「言えない」「眠れない」といった部分で踏んでいるとも言えますが、否定形の反復となるため特に色は付けませんでした。

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 Verse1の後半8小節です。

 最初の4小節は色付けをみれば分かるように、ほぼすべてが韻で構成されています。

 「自己嫌悪が災難」「イノセントじゃないやつ」「濁ってるのは最悪」「死と生の境は」と<ioeoaaia>の音で4回踏んでいます。色付けは最後の「間一髪」(<aia>の音)を同じ流れの韻として表現するために、<ioeoa>と<aia>に分けています。

 残り4小節は「言われる」と「いや」の頭韻、「救われた」「救われたい」と同じ言葉の反復の後、「待つはずねー」「松葉杖」と<auaue>の音で踏んで締めくくられます。

心療内科で待つはずねー ヒップホップが松葉杖

 のラインは非常に耳に残ります。「松葉杖=支えてくれるもの」と理解すると内容もすっと入ってきます。

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 続いてVerse2の前半8小節です。色付けを見ると分かるように、脚韻を4回4小節で分けて踏んでいます。

 最初の4小節は、「音楽がセラピー」「ドラッグじゃえない」「でもバース書けばいい」「性悪な女神」と<oauaeai>の音で4回踏んでいます。

 残り4小節は、「仲間たち」「変わらない」「バカバカしい」「感謝じゃ足りず」と<aaaai>の音で4回踏んでいます。

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 Verse2残りの8小節です。

 最初の4小節は先ほどまでの脚韻ではなく、全ワードで踏むような形になっています。

 主な韻は「表現に 投影し 光景に」「これしか」と<oei>の音で4回、「握るペン」「生きる術」「リリックへ」と<iiue>の音で3回踏んでいます。

 残りの4小節は、「全員うつ病」「精神狂いそう」「天に救いを」と<eiuuo>の音で3回踏んでいます(「精神狂いそう」と「天に救いを」では<eiuuio>の音で<i>の音も含んで踏んでいます)。

 そして最後は「Love myself」と「まず愛せ」で<auaie>の音で踏み、締めくくられます。

 いやLove myself 自分をまず愛せ 

 このラインはかなり運命の赤い韻を感じますね。英語とそれを日本語訳した時の響きが一致しているので、これ以外で踏みようがない感じがします。ちなみに、運命の赤い韻についてはこちらの動画内で語られています。

 該当箇所の文字起こしは下記のとおり(1:19:08~)。

KREVA(以下、K)「ZORNにあれ聴きたかったんだけどな、韻の飛距離ともう一個あるんでしょ。なんだっけ」
ZORN(以下、Z)「運命の赤い韻ですか?」
K「(笑)運命の赤い韻って聞いたことある?」
Z「あのみんなやっぱその1小節目と2小節目の響きは同じだけど意味はかけ離れるのは飛距離って言ってくれるんですけど、あたかも1小節目があったら2小節目が「私で決まりよね」みたいな待ってる時があるんですよね」
K「やばいな~」
Z「それが運命の赤い韻って僕が呼んでるんです。これしかねえみたいな時があるんです」
K「赤ライン引けばいいですか?」
Z「いや赤ペンで書かなきゃいけない」
K「赤ペンで書かなきゃいけないんだって運命の赤い韻は!(笑)」
Z「飛距離で飛ばすのもありなんですけど・・・」
K「自分的に運命の赤い韻ってすぐ出てくんの?これだなみたいな、これは運命感じちゃったなみたいな」
Z「例えば、「曖昧なまま 2人で相合傘」とか」
K「うぉ~~い!」
Z「それだけでめちゃくちゃエモくなるものすごい美しい文ってあるじゃないですか」
K「あるね」
Z「そういうの僕の中で…まあ赤字で書くんですけど」
K「まじだ、ほんとに!?」
Z「いや、書かないです」
K 爆笑 「やべえ今信じちゃったよ。ピュアな俺が出ちゃったよ」
Z「すいません(笑)」
K「いや、そう運命の赤い韻ね。なんだろな~」
Z「だから「リゾート気分 理想の自分」とかも結構運命の赤い韻入ってます」
K「そうか」
Z「ものすごい美しい韻というか」
K「なるほどね」
Z「これで踏むべきだみたいな」

【まとめ】

 メロウなビートの上で、時には歌うようなフローも入れ、内面を語っていくこの曲は「Keep it real」や「Bars wars」とは違い、韻を見せつける、韻で殺しにいく、といった類の曲ではないと思いますが、2小節~4小節単位で1つの韻を3回~5回踏むといった、韻へのこだわりは変わりありませんでした。

 また、それぞれのバースの最後にパンチラインを持ってきているのも印象に残りました。特にVerse2の最後のラインは運命の赤い韻であると感じました。みなさんもこれを機に色んな曲で運命の赤い韻を探してみるのもいいかもしれません。

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