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~解体韻書~ Vol.10「Red Bull 64 Bars」 裂固

久し振りの投稿となりました。

記念すべき10回目は、Redbullのラップ企画「Red Bull 64 Bars」からRHYMESTERのMummy-Dがキュレーターを務めたシーズン3の裂固のバースを解剖していきたいと思います。  

 このRedbullの企画は、いろんなラッパーが登場するので、誰が一番凄かったかを語るのも醍醐味の一つだと思います。もちろん、裂固以外のラッパーも凄味のあるバースを吐いていたのですが、個人的には裂固バースが気持ち良さという意味ではNo.1でした。

 なんでこんなに気持ち良いんだろう?という出発点から韻がどうなっているのかとても気になったので、解剖することにしました。(変態)

 ビートはNAOtheLAIZA、BPMは94くらい。ノリはオーソドックスな90年代の雰囲気です。

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最初の4小節は、「たします」「挨拶」「配達」「バイアス」「Guidance」とそれこそ挨拶がわりに<aiau>の脚韻が5つ。そして、その手前に「みづから」「岐阜から」「り」と<iua>の韻も配置されています。

次の4小節は「うわ言」「紛れ込む誠」「魔物」「みなもと」と<aoo>の脚韻です。

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次の8小節。前半は「呼吸」「余裕」「道中」「欲求」の<ouu>脚韻が続き、後半は「上手なれ」「Jokeじゃねー」「根比べ」と<ouae>の脚韻です。

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次の8小節も脚韻が4小節単位で続きます。前半は「潜伏」「切腹」「芸術」「現実」の脚韻で、最初の2小節は「パラレル」と「終わらせる」でも踏んでいます。後半は、「真っ直ぐ」「いますぐ」「風が吹く」「Relax」の<auu>の脚韻です。

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次の8小節も先ほどの8小節から、「パズル」「Gamble」「発する」「ハッスル」「画する」「抜群」と<auu>の韻を引き継いでいますが、「危険Gamble」「意見を発する」「Weekendハッスル」「一線を画する」「新鮮度抜群」といった具合に<ie(n)o>の韻とセットになっており、より長い韻を作っています。

最後の2小節は、「RecのBooth」「裂固のGroove」「RedとBlue」で3つ踏み、非常に気持良いラインです。※「Rec」の母音は<eu>で「裂固」「Red」と一致しないが、「Rec」と「裂固」の<k>の破裂音で踏んでいるイメージ。

細かくみると、「裂固のGrooveにRedとBlue」の「にRedと」の部分で<ie(n)o>の響きが登場するが、それは偶然かな……

ここまでで、32小節の折り返し地点。前半はシンプルな脚韻が目立ちますが、徐々にギアが上がってきている印象。後半32小節はどうなるのでしょうか。

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後半最初の8小節は、「丁度」や「情報」、「ちょっと」など<o-o->をメ韻としつつ、「丁度がBest」「放っとかねー」「本当かFake」「瞳孔が変」「もう止まれねー」「上昇だけ」「モットーだぜ」と<o-oae>で7つ踏んでいます。ここからグルーヴ感が増していく印象です。

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次の8小節の前半は、単純な脚韻ではなく、少し趣向が変わります。最初の1小節目と4小節目は「感性」と「完成」で踏んでいますが、その間に「neutral」「躊躇なく」「ぶっ飛ばす」「goodバース」と<uoau>の韻を4つ、「NAOtheLAIZAビーツこの長い旅」のフレーズで、<oaaiai>の韻(6文字)を踏んでいるので、非常に韻の密度が濃く、種類も豊富で鮮やかなバース。

後半4小節は、「回り」「騒ぎ」「」「」と<aai>の脚韻でペースダウンしつつも、「耳貸さない」と「聞き飽きてる」、「いつもの」と「三つ子の」など細かい韻を入れています。

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この8小節、特に最初の4小節はビートのハイハットに合わせるようなフローに変わり、一気に畳みかけます。この64Barsの最大の見せ場なのではないでしょうか。韻は<eo>を多用し、8小節の間に、18個は登場しています。

Mummy-Dもやられたとばかりに、笑って頭を掻きむしります。

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そして最後の8小節は、「寝る所」「」「この世」「」「アイツの事」の<ooo>の韻、「覚悟」「確証」「action」「なflow」「the show」の<auo>と言ったオーソドックな脚韻に戻り、64小節が締めくくられます。

【まとめ】
  前半は1つの脚韻を4小節ごとで踏んでいくスタイルで自分の型を見せつつ、後半にいくにつれて韻の密度を濃くしたり、8小節同じ韻を踏み続けたりと盛り上がりを作り、ラスト8小節は前半に提示したオーソドックスな脚韻スタイルで締めるというような64小節の流れになっていました。

 なぜこの64barsが気持ち良いのか?という疑問が出発点でしたが、それはただ韻が多いとか、早口で韻を詰め込んでいるからという訳でもなく、上述したような64小節の流れがあったからだと思います。

  非常にエスコート上手ですよね。「こういうスタイルですよ~」「オーソドックスに韻踏むタイプっす。安心してください!」とエクスキューズしつつ、後半は少しギアを上げて、バリエーションを見せるというか、冒険してみせ、最後はしっかり安心感をもって締めます。うーん、僕が女の子だったらこういうデートが良いです(意味不明)。

 すごく聞き手に丁寧な作りになっている気がして、裂固の人の好さが出ているのかなと勝手に思いました。

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