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~解体韻書~ Vol.12 ZORN「keep it real」


 続いて、EP『925』から2曲目の「keep it real」です。keep it real=「リアルであれ」ってな意味合いです。

 ビートは変わらずBachlogic。BPMは84くらい。hookを挟んで16小節×2です。

【Verse1】

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 最初の4小節です。この4小節では<aaooaoi>という7音のライムを5つ連発していきます。長いですよね。

 「ナナコのカード ピッ」で韻踏むなんて多分誰もしてないですよね(笑)。ここで「卵のサンドイッチ」を買っているコンビニが判明します。

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 次の4小節も<aaooaoi>の7音を「ラッパーども満場一致」「我が子の反抗期」で引き続き踏んでいます(トータル7つ)。

 残り2小節は<oiaaaiuan>で3回踏みます。これも母音数で言うと9ですが、響き的には7音で踏んでいます。

 武道館はすでに「もう今じゃ体育館」と、それを言えるラッパーは少ないだろうというボースティングも入ってきます。

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 次の4小節ですが、色付け見ると分かる様に、ほとんどが韻で構成されています。

 基本的には<aieaeo>の6母音5音(変な専門用語みたくなってきた)の韻を踏んでいきます(6つ)が、<aeo>で踏んでいるところもあるので、色を分けています。

 「ヘッズはサインペン出せよ」と「列が大変だけど」は全踏みです。

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 verse1最後の4小節です。<oioee>(黄色)をメ韻(5つ)としつつも、「やっぱ」「まだ」「ただ」(ピンク部分)とセットでも踏んでいる箇所が3つあります。

 そした最後は『「福沢諭吉」増えても「服なら無地T」』という見事なラインで締めくくられます。

【Hook】

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  hookでも韻の密度は高いままです。前半4小節は<auooii>の音で5回踏んでいますが、そのうち下線部分「変わらずここにいる」「飾らず今日も生きる」「絡まるのも事実」ではより長い韻になっています。

 また後半4小節では、<aaiae>の音で6回踏んでいます。「ファンたち」と「ファンタジー」でも踏んでいます。

【Verse2】

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  後半16小節ですが、4小節ごとに踏む韻が綺麗に区分されます。色付けするとかなり分かりやすいです。

 最初の4小節は<ouaoe>の音で7回踏んでいます。4小節で7回は異常ですよね。

結婚式の入場曲はドクタードレー

 のフレーズは自宅でも自然と手が上がってしまいました。ほんとお笑いでいう「フリとオチ」のようなもので、フリがしっかり効いてるので(前段で6回踏んでいるから)4小節の最後に持ってこられると、ふっと笑ってしまうんですよね。

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 次の4小節では<iua-a(u)>の音で6回踏んでいます。「キングが座る」と「インスタグラム」では文字数的にもぴったり踏んでいます。

 王冠ではなくかぶるのはヘルメットなんですね(笑)。

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 次の4小節は、<eoiae>の音で6回踏んでいます。

 吉牛でシェフ呼んで礼を言ったぜ

 いちいち面白い事言いますよね。

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 最後の4小節は、<uaioue>の音だけでみると5回、<ioeo>+<uaioue>で見ると3回踏んでいます。

 最初は<uaioue>の韻しか気づきませんでしたが、まさかと思い見ていくと「進行形の」「競っても」「崎陽軒の」でも踏んでいることが分かりました。よく聴くとフローも強調していることが分かります。

 「横アリは崎陽軒の焼売をくれ」に関しては、EPの発売が8月4日で横浜アリーナのライブが9月12日だったので、そこに向けてかましているという事ですね。

【まとめ】

「keep it real」というタイトルからも分かるように、前回の「Lost」に比べるとだいぶHIPHOP色が強い曲となっただけに、ライムへのこだわりも一層強く出ていたのではないでしょうか。

 ZORNは言いたいことがはっきりしているため、もはや韻の大喜利を一人でやり続けている感じですね。「ラッパーとしては成り上がっていくけれど、実生活は質素に地元・仲間・家族を大切にする」という志を、どれだけ色んな韻や言い回しでラップできるかといったところだと思います。

 そう考えると、前回の「Lost」も、「成功を掴んだ後の衝撃的な本音の吐露」といった新境地にも見えましたが、実は、自分のこれまでのスタンスをより強固にする、少し飛躍すると、この韻のスタイルをこれからも続けていく宣言とも言えるわけです。

 そう考えると、成功すればするほど「韻の飛距離※」が出ていき、ライムの面白さのバリエーションも増えていくという、絶妙なスタンスを確立していますよね。

 次回は、「Bars Wars」です。

 ※韻の響きがより近く、意味合いや状況がより遠いほど"韻の飛距離が出ている”と言う。おそらくZORNが言い出している。

例.「表参道のオープンカフェよりも嫁さんとの醤油ラーメン」                from "Have a good time"/ZORN feat. AKLO


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