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Vol.4 「24 bars to kill」 Ski Beatz, Anarchy, Rino Latina II, 漢 & Maccho②

② Rino Latina II

~ お客を頷かせる料理人スタイル ~

特徴

Rino Latina IIは日本語ラップ黎明期のグループ「Lamp eye」や「雷」のメンバーであり、リリックにもあるとおり、まさに日本語ラップシーンにおいて「革命前夜を知る生き証人」であります。

そんなベテランの彼のラップは分かりやすさを重視しながらも、バリエーションを持った韻のスタイルを披露してくれます。

鳥居亭

PV中では料理するRinoの姿が登場しますが、彼は白金高輪で「鳥居亭」という焼き鳥居酒屋を出店(経営)している料理人でもあります。

居酒屋の料理において大事なのは、お客を頷かせる確かな味と、そのメニューのバリエーションではないでしょうか。

ラップにおいてもそんな確かな味と、聴くものを決して置いていかない、韻のバリエーションが見られました。

リリック

それでは中身を見ていきましょう。

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Rinoはわりと高めで聞き取りやすい声色をしています。

そんな素材を活かすかのように、この8小節では、"a" の音を多用し、ビートの上を跳ねるようにラップをしています。

また後半4小節では、"ia" をメ韻として、気持ちいいフローを生み出しています。

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この8小節では、先ほどとは違った韻のバリエーションを見せます。

具体的に言うと、8小節すべてを "o(u)i" の脚韻で踏んでいます。

さらにいうと、1、2、3、4、8小節目は「生き証人」「意思表示」「一度に」「耳掃除」「日曜日」という風に "iio(u)i"の5音で踏んでいることが分かります。

ここらへんはOld Schoolな基礎に忠実で確かな味を出すという姿勢が窺えるのではないでしょうか。

また、6~7小節目では、「"見飽"き」「"ミーハ"ー」「"効か"せて」と脚韻の前でも細かく踏んでおり、「スパイスを効かせて調理」していることが分かります。

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最後の8小節ですが、前半4小節は、最初の8小節同様、"a" の響きを多用しています。

一方後半4小節では、「綱渡り」「ふかさない」「ドンピカ」と「ドンピシャ」というオーソドックスな脚韻です。

余談ですが、「ジャブラニ」「ブブゼラ」はどちらも2010年サッカー南アフリカW杯関連の言葉で、懐かしいですが、このSHITが2010年産だということを思い返させてくれます。


以上が、② Rino Latina IIのバースです。決して奇をてらわず、かと言って退屈させず、そして基本を押さえて確かな味を出す。そんな料理人の心意気のようなものが、このバースにも表れているような気がしました。

次回は③漢 a.k.a. gamiのバースを解剖していきます。


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