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ゼミとは、知的ボクシングジム(知的相撲部屋)なのだ❕

サブタイトル:2022年度 早稲田大学 スポーツ科学部 / 大学院スポーツ科学研究科の非常勤講師を終えて

サブタイトルの入れ方がわからず、冒頭に入れてみました。。何か変な感じですが💦💦💦

さて、スポーツを対象とした人文社会科学研究者、束原文郎、noteを始めます❕
「RIALD」というのは、束原が設立した「アスリートライフデザイン研究所(Research Institute for Athlete Life Design)」の略で、詳しくはホームページ、Twitter(@RIALD_LLC)、Instagram(riald_llc)、Facebook等を御覧ください。
HP:https://www.riald-llc.com/


それでは、ようやく本文です。

日本を代表するユーススポーツ研究者、早稲田大学 スポーツ科学部 / 大学院スポーツ科学研究科の中澤篤史さんは、2022年度、サバティカルを取得されていました。
中澤さんとの付き合いはもう四半世紀❔❕
公式には研究仲間ですが、私的には友達で、平たく言えば仲良しです💦💦
束原は、その中澤さんのサバティカル期間中、学部4年生の演習と大学院ゼミで非常勤講師を務めさせていただきました。

せっかくだから中澤さんが呼ばないようなゲストの話を聞き、学生・院生さんたちの関心を刺激しつつ、せっかくだから中澤さんが指定しないような文献を読み、自分の興味関心をも満たしつつ、でもって当然、議論や思考の水準・クオリティを落とさないように…と、例年以上に自分にも「勉」めることを「強」いた1年でした。
知に貪欲なゼミ生たちと、テキスト、読書課題、参考図書含めて各テーマや方法論のフロントラインを確認し、自分も含めて構想段階にある研究を発表しあい、どうすればもっと良くなるか、議論しあいました。

そうした1年間の活動を通じて、「ゼミとは、知的ボクシングジム(知的相撲部屋)なのだ❕」、との認識を強くしました。
つまり、テキスト購読はパンチの撃ち方やディフェンステクニック(つっぱりや投げやおっつけといった技術)の講習に相当、課題図書の読み込み、読書レポートの作成と読書会はランニングや縄跳びやウェイト(てっぽうや四股)といった基礎体力トレーニングに相当、そして個人研究発表とそこでの議論はスパーリング(ぶつかり稽古や申し合い)に相当していて、各活動に本気で取り組むことによって、集団としてのパフォーマンスを高めていく基盤=場なのだ、と。
※参考文献でも読んだ石岡 丈昇「ローカルボクサーと貧困世界」でも、基本的に個人競技であるところのボクシングにおいて、ジム=トレーニング空間を核とした共同生活の全体がボクサーという身体を作るのに極めて合理的である様が描かれています。
だから、チャレンジ精神に基づくトライと失敗を許容しつつも、いつも試合(取組)と同じテンションで、緊張感で臨むことが大事。
参加者の誰もが、過剰に傷つくことを回避しながらも自由で大胆な発想・コミュニケーションを展開するにはどうすればいいのか? そんなことの重要性に気づき、より効果的なジム(部屋)運営に思いを馳せ始めたところで、非常勤期間が終了しました。。。

研究者としても凄いけど、誰よりも後進を育てるタイプの大学の先生、たくさんいらっしゃるわけで、そんな先生方はいったいどんなゼミをしてるんだろ?
そういう先生方って、ホントに凄いな、と、改めて感じた次第です。

ともあれ、なんとか一年間、大過なくやり遂げることができました。
クオリティの問題は、、❔
履修してくれた学生さん、参加してくれた院生さんたちの今後の活躍に委ねることにします。。。
我々の学びにご理解とご協力を賜りました先生方、諸兄の皆さま、衷心より御礼申し上げます、誠にありがとうございました❕

■ご協力いただいたゲストスピーカーの皆さま(だいたい登場順、( )内はご所属と「(依頼した)テーマ」)
村川大輔先生(京都先端科学大「スポーツ・パフォーマンス向上研究のフロントライン」)、松尾寛子先生(サイバー大「一女性大学教員のライフを通じてみる日本社会」)、阿部博一さん(アジアサッカー連盟「スポーツ労働市場と学歴とキャリアデザイン」)、奥田篤さん(東京ガス「大企業で働くということ」)、松橋崇史先生(拓殖大「スポーツでコミュニティを変える研究のフロントライン」)、申恩眞先生(北星学園大「スポーツとジェンダーをめぐる質的社会調査」)、関めぐみ先生(甲南大「スポーツとジェンダーをめぐる質的社会調査」)、鈴木楓太先生(京都先端科学大「スポーツとジェンダーをめぐる質的社会調査」)、鈴木直文先生(一橋大「オルタナティブスポーツによる社会的包摂 」)、中村英仁先生(一橋大「企業スポーツの現在と未来 」)、Dr. Fred Ariel Hernandes(UCLA「Mixed Gender Sport」)、Dr. Aaron Miller(CSU East Bay「アメリカ学生スポーツの過去・現在・未来 」)、川井圭司先生(同志社大「アメリカ学生スポーツの過去・現在・未来 」)

■前期
○テキスト
・J・ブレーデン、R・グッドマン「日本の私立大学はなぜ生き残るのか?」
・広井 良典「人口減少社会のデザイン」
・松橋 崇史 他「スポーツのちから」
・岸 政彦 他「質的社会調査の方法 -- 他者の合理性の理解社会学 -」
・大谷 尚「質的研究の考え方―研究方法論からSCATによる分析まで」
○読書課題(レポート)
・A・ダックワース「GRIT やり抜く力」
・A・エリクソン 他「超一流になるのは才能か努力か?」
・申 恩真「女子サッカー選手のエスノグラフィ」
・関 めぐみ「〈女子マネ〉のエスノグラフィー」
○参考図書
・M・グラッドウェル「天才」
・D・コイル「天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる」
・諸富 徹「人口減少時代の都市」
・山崎 亮「コミュニティ・デザインの源流」
・松橋 崇史 他「スポーツまちづくりの教科書」
・石岡 丈昇「ローカルボクサーと貧困世界」
・井谷 聡子「〈体育会系女子〉のポリティクス」

■後期
○テキスト
・A・Miller(2022)Buying in: Big-Time Women's College Basketball and the Future of College Sports.Rowman & Littlefield Publishers
・大塚淳(2020)統計学を哲学する
○読書課題(レポート)
・A・エドモンドソン(2021)「恐れのない組織」
・S・J・グールド(1998)「人間の測りまちがい」(上・下)
・G・ガーニー 他(2018)「アメリカの大学スポーツ: 腐敗の構図と改革への道」
・D・カーネマン 他(2021)「NOISE」(上・下)
○参考図書
・野中 郁次郎 他(1991)「失敗の本質」
・M・サイド(2016)「失敗の科学」
・M・サイド(2021)「多様性の科学」
・宮田 由紀夫(2016)「暴走するアメリカ大学スポーツの経済学」
・中室 牧子 他(2017)「「原因と結果」の経済学」

■Special Thanks
中澤篤史先生(早稲田大)、工藤龍太先生(早稲田大)、小野雄大先生(早稲田大)、梶将徳先生(早稲田大)


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