上書きしたい

あの淡路島を上書きしたいと思っていたんだな、といま思えばわかる。
まったく不本意な初体験、でも誰が悪いでもなく自分が悪いあの思い出を、早く上書きしたかったのだ。
それが、大好きな彼氏と、とかでないのが私のあほなところだと思う。

まずくないです、といった私の目を見てJさんは、彼氏いないの?と聞いた。
みんなそう聞くな、いやそう聞いたのはだれだっけ、、、
いないです、と答えて、急激に我に返った私は、せっかく楽しかったのに雰囲気をぶち壊してすみません、、とJさんに謝った。

Jさんは、ビール残ってるし、もうちょっと飲もう、と言った。
そこからはもう、事情聴取のようにJさんにいろいろ聞かれ、なんでもしゃべった。友達にも言えなかった淡路島の一件のことも。

「してみる?」

と言われて、また目をじっと見られて、返事をしないでいると、よいしょ、と目の前に来たJさんに抱きしめられた。
ずっとこの腕に抱きしめられたかったんだ、と思った。好きなのかと言われるとよくわからない。でもとにかくぎゅっとされて、キスされて、ベットに押し倒されても、嫌だとはまったく思わなかった。

Jさんは優しかった。たまに目が合って、にっと笑ってくれるのもうれしかった。初めてがあんなふうで、これが2回目なのも知っているし、なんというか、安心して身を任せたのだった。

ちょっと待って、と中断して、カバンから財布を出したJさんに、いつも持ってるんですか、と聞いたら、持ってるよ、男はみんな持ってるの、と言う。財布から出した小さい四角い袋をビッと破ると、ここ触って、と私の手を自分のものに持って行った。どう触ればいいのかわからなくて、Jさんの顔を見ながらナデナデしていると、そんな見ないでよ恥ずかしいでしょ、と言われたので笑ってしまった。だって今さら!
なめてほしいな、と言われて、心の中で、えー!と思いながら、Jさんを喜ばせたいと思って勇気を出したのだった。

挿入されたときは、Hくんのときのそれとはまったく違っていた。かなりほぐれていたし、Jさんがどんなテクニックを使ったのかわからないけど、私は早く入れてほしいと思うほど気持ちが高まっていた。

Jさんはずっと優しく、ずっと私を見ていた。それもすごく心地よくて、こんなにいいものなの、みんなこんなことしてたの、と何度も思ったのだった。

そんなこんなで2回目は、それなりな雰囲気で、とても気持ちよくさせてもらった。彼氏ではないJさんに。

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