名前をつけるとき(小説の作法)
適当に、好きな名前。ではいけません。
守っておいたほうがよいことがある。
ジャンルによっても、変わってきます。
ライトノベルでは、変わった名前でオーケー。むしろキラキラしてて当たり前かも。
純文学では、奇をてらった名前は嫌われるようです。
特に「永久」とか「彼方」とかいう名前を使う。
「永久に」って書いたときに「えいきゅうに」なのか人物の「とわに」なのか、わかりづらい。
由来がある、物語上、必要性のあるものなら、いいです。
意味もなくそういうのやっちゃうと、「なんでこの名前にしたわけ?」と言われます。
「ええと…なんとなく…カッコいいと思って…」
「じゃあ、変えましょう。こんなの。読みにくいだけですから」
これは実際に私がやらかして、編集者さんに言われたことです。
で、特に気をつけてほしいのがファンタジーなのです。
■意味がよろしくない言葉を避ける。
たとえば「シット」「アクメ」「アナル」とか。
いやいや、誰もそんな名前にしないから。って思うかもしれませんが。
では、それのフランス語が何か、ドイツ語が何かってわかりますか?
あなたの主人公の名は、ドイツ語で「糞」かもしれません。
知ってる人からは、うーわー、って感じです。
そういうのをやっちゃってると、たかが名前、されど名前、残念なイメージになります。
■名前の響きからイメージする国や民族はあるので注意。
「キム」とか「リー」とか、そういうのだと中国や韓国等を想像しますし。
「シータ」「ファイ」…よくわかんないけどヨーロッパ? とか。
「グワーニャバーリ」というとインドっぽい?
「カーチナ」はロシア? ウクライナとかもそう?
などなど。
このへんは難しいですね。知ってるひと、知らないひとがいますから。
詳しくいえば、アメリカのなかでも、さらに○○系アメリカ人の名前っぽいとかあります。
わかる人にはわかる。
どこまでこだわるかは、作者次第ですかね。
■違うけど、一緒だったり。愛称だったり。
「チャールズ」と「シャルル」と「チャーリー」っていうキャラがいると、知ってる人は「???」となります。
なぜなら、同じ名前です。(ちょっと乱暴な説明ですが。)
「チャールズ」だったら英語圏。「シャルル」だったら仏語圏。
「チャーリー」はチャールズの愛称。
日本でいうと、二人の名が「タキザワ」と「タッキー」って感じか。
架空の世界のお話ですから、設定は現実と違っていい、作者の好きでいいんですけど。
読者は、自分が持っている知識や教養を捨て去って読むことはできません。
「なんか変だなあ」と思ってしまう。
そういうのが続くと、「あれ、なんかこの作者ってずいぶん適当じゃないか」なんて思ってしまいます。
そうなるとファンタジーじゃなくて嘘話に思えてくる。
そもそも架空、嘘話だから。
すっかり、さめてしまう。やってらんなくて、読めなくなります。
ファンタジーを読んでいて、「マリア」「ルチアーノ」「ステファニア」「アルマーニ」が出てくると、
これ全部、イタリア人っぽい名前なんで、そんなイメージにひきずられる。
でも服や文化がインドっぽかったりイランっぽかったり、なんていうことだと、「あれ?」ってなる、とかね。
もし西洋風RPGの登場人物の名前、初期値が「サブロウ」「ハナコ」だったら。
出てくるモンスターが「キュウリ」「トケイ」「シラスボシ」「パソコン」、おまけにボスが「ボウフラ」だったら、なんか腹立ちませんか。
大袈裟ですけど。やっぱり名前って大切です。
■日本人でもやっぱり気をつけよう
世紀の大強盗、凶悪殺人者と同姓同名だとか、そういう可能性があります。
悪人じゃなくてもですね。
たとえば可憐なヒロインの名を「宍戸 江利花」にした。これ、知らないと何も不思議に思わないかもしれませんが、知ってる人は笑います。
またAKB48と同姓同名とか、そういうのも避けたほうがいいかも。
知ってる人にすれば、そのイメージをゼロにって言われても、できないわけですから。
■長々と書いてきたけど解決法
簡単です。最近はグーグル検索という便利な技があります。
名前を決める際には、打ち込んで、結果を確認したほうがいいです。
そのひと手間で、「うわー」な名前は防げます。
外国人っぽい名前の場合は、どんな綴りか、そこの言葉か。こだわりだすとキリがないので。
そのまま、使いたいカタカナ表記で入れてみればいいと思います。
「これはヒドイ…」と思う結果が出てきたら、やめておきましょう。
google検索、万能じゃないです。
検索結果に出ていないが少数民族の言語でこれは…、とかいう可能性もありますが。
まあ、それであれば、読者の多くは気づかないのでよしってことで。
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