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野良ネコに家を…3:第10話 猫さまたちの〇〇事情

⑩猫さまたちの〇〇事情

もともとうちにはベニバナマンサクの木が4本並んでいて、春になるとピンクの花を咲かせる。家を買ったときに初めから植わっていたもので、別に私の趣味ではない。

何の世話もしないのにどんどん伸びて、年に数回は剪定しないと枝がお隣の敷地にまで入ってしまう。はなはだ面倒な木だ。
以前は日曜にこの枝を切っていると、よくウリとラファが見物に来た。
おー、なんか始まったにゃー。何やってるにゃー?

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そのうちの1本を抜き、ぽっかりできたスペースで、ウリが用を足しているのを見たのだ。確かにふかふかになった土は猫のトイレにもってこいだ。

ウリはまだ首輪もしておらず飼い猫というより通ってくる猫だった。家の中に一応猫トイレを作ってはみたものの、ウリはそれをトイレと認識してくれず、まったく使ってくれない。
周辺には広いお庭のあるところや、ガーデニングを趣味にしているところもある。ご近所に迷惑をかけてなければいいけど…と心配はしていた。

猫も生き物だから食べたら出す。当然のこと。
猫がうちでフンをするから猫が嫌い、という人には、じゃあ、あなたの家にトイレがなく、駅やお店など外のどんな施設にも一切トイレがなかったらどこでしますか?と聞いてみたい。

そんなわけで、うちにめでたく猫さま用トイレができた。もちろんウリ専用でなく、外で暮らす猫さまたちの公衆トイレといったところ。
要するに何も植えず、たまに土を掘り返してふかふかにしたり、雑草を抜いたりするだけ。
これでウリや野良ネコたちが猫嫌いの庭いじりさんに虐待されるリスクが減るなら安いものだ。
猫は縄張りチェックも併せて、いつも同じ場所(何か所か)でトイレをするというから、ウリはこれからもうちで用を足してくれるに違いない。

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一方トラはうちの中のトイレを使ってくれている。といっても最初から上手くいった訳ではない。
初めて買った猫砂は白くて大きめの粒状で、濡れると青くなるもの。これはなかなかトイレと認識されなかった。白いのがいけないのでは?(猫に色が見えているのか知らないが。)

そこでふと思いつき、園芸用の腐葉土を少しまぜ表面には多めにかけておいた。これならぱっと見、土に見える。そしてトラがそわそわし出したときに、抱えてトイレの前につれて行った。
するとちょんちょんと手で土に触れ、入って穴を掘り座った。
トラちゃーん!かしこーい!やったやった!初めてトイレ出来たねー!えらいねー!
心の中で叫ぶ。親バカの極致。

上等な猫トイレではなく、100円ショップで買ったただのプラスチックの箱。少し狭いかな、と思ったけど、ちゃんと入ってくれた。よかった。

その後、木の粉を材料にした茶色い猫砂を見つけてそちらに切り替えた。こちらも念のため、初めは少し腐葉土を混ぜ、徐々に減らしていった。
こうして、トラは家に閉じ込めてもトイレに困らなくなった。
家ネコに一歩前進だ。

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