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私たち夫婦⑪ 夫の病気 落としどころ

夫は潰瘍性大腸炎だったはず

おそらく、内服したステロイドの副作用により
骨密度が低くなり
その状態で負荷をかけたため
腰椎圧迫骨折をした
その後の整形外科の診断は骨粗鬆症

潰瘍性大腸炎の治療で点滴治療をするために
結核の既往がある夫は
体内に潜んでいる結核菌が
再び悪さをしないように
呼吸器内科にかかり
予防的に結核の薬を飲み
肺の様子を診てもらいつつの点滴治療を始めた

そしてなんだかよく分からないが
血液検査の結果、甲状腺ホルモンに異常があり
橋本病と診断される
内服治療が始まる

更にはCTの結果
胆のうもちょっと変
主治医の管轄である消化器内科で再度その
CT画像を見ながら主治医が言う

まぁこれは大したこと無いでしょう
しばらく様子見で

良かった

これ以上の病気は夫には抱えられない
今でもどんよりとしているし
何だか納得できていない

結局職場には
もともとの潰瘍性大腸炎しか申告しておらず
休みを非常に取りづらいと言う

何でかと聞いたら

ただでさえ産業医が入って
就業制限がかかってるのに
更に腰椎骨折や他の疾患を伝えたら
仕事させてもらえなくなるとのこと

それはそうよね…

産業医面談でも
そろそろ夜勤をやってみますか
との話になっていると

夜勤やって欲しい

もう金銭面が限界に近い
私たちはいいが、子ども達は成長している
それに伴いお金もかかる
毎月の固定支出は電気代やガソリン代
その他諸々の物価高騰で上がる一方だ


夫の年収より私の年収が多くなるほど
夫の収入は激減していた

夫のメンタルも心配だった
変わらないトイレの回数
行ってきますと言ったのにまたトイレに入る
そんなの常だ
お風呂に入るまでに何度トイレに行くか

美容院にも行けなくなった
カットの最中もそうだが
白髪を染めるカラーの待つ時間が無理
美容院問題は
たまたま私の実家が理容店だったので
もう私の実家でやってもらうことにした
恥も何もない
遠慮なく何度トイレに行ってもいい
夫も気が楽になったと言った

外出することはほとんど無いが
バンドの練習だけは行った
最初は
他のこと何にもできないって言うのに
バンドの練習は行くの⁉︎
と思ったが
それは夫の心を保つために必要だと思い
行ってらっしゃいと送り出した

当たり前だけど
夫は病気のことは外ではそんなに話をしない
何にしろトイレと便のことだ
羞恥心やプライドを抉るだろう

月に1回のバンドの練習と
腐れ縁の同級生であり
音楽仲間の友達が企画する
地元のライブイベントには仕事が休みの日であれば
必ず参加した
でもその前には何も食べないし何も飲まない
ライブハウスのワンドリンクさえも

今までは練習の後やライブの後は
みんなでラーメンを食べに行ったり
話が盛り上がったりで帰宅は深夜だったのが
それもできずさっさと帰ってくる

もう2年以上もこんな生活だ

色んな科に回され色んな薬を飲んでいる
夫もそろそろ全ての通院が無理だと言う

夫から話があった
腰の痛みもだいぶましになった
橋本病も自覚症状的に何とも無い
整形外科と内分泌科はもうやめようと思う
呼吸器は半年後には薬も終わるし
経過を見るための受診も終わる

そしたら元の消化器内科だけになる

できればそうしたい
あれもこれも通院して
病院の椅子で何時間も座ってたら
気が滅入るし頭がおかしくなりそうだ

夫の気持ちは分かる
骨粗鬆症の方は心配だけど
圧迫骨折自体はコルセットと保存的治療しかない
痛みが良くなってきたなら特に通院の必要もないだろう

橋本病はきっと詳しい血液検査の副産物だ
私はそう思っている
ステロイドの大量服薬でホルモンも崩れたのかもしれない
数値的にはその疾患に当たるのかもしれないが
そもそも自覚症状が無い
今その治療を優先する必要は無い
もしかしたら世の中の何人かも
知らずに普通に生活している
きっとそんな病気だと思うことにした

夫が後悔しないならその選択で私は構わない
そう伝えた

夫は次回受診を最後に
整形外科と内分泌科の通院をやめた

そんなことをしている間に
コロナの第何波かが大流行し
私の勤め先でしかも私の病棟で全面的なクラスターが発生した
毎日がスタッフ不足
日に日にみんな感染しヘルプに来てくれた人も
次々とかかってしまう
病棟は地獄絵図のようだった

そして夫も職場からコロナをもらい感染
難病持ちなので毎日保健所から連絡が来る
40度の熱が5日も続いた
薬漬けなので免疫力が無いのだろう


私も職場から漏れなくもらい自宅療養
それでもスタッフが全く足りないので
感染後5日でPCRをし
陽性だけど感染力の無い数値ということで早々に出勤した

私はコロナ中は熱よりも咽頭痛で何も食べれず
自分の唾液を飲み込むのさえ無理で吐き出していた
なので5日で体重が3kg程落ち
職場に戻った時にはヘロヘロだった
それでも患者さんはいる
みんなで必死で働いてなんとかクラスターも落ち着いた

コロナ感染が夫の病気に影響するかな、と少し不安だったが
それは大丈夫だった

なんとか我が家のコロナの波は乗り越えた

そしてまた元の潰瘍性大腸炎との生活に戻る
消化器内科だけに受診を絞ることは
結果的に良いか悪いかは今は分からないが

夫をはじめ、私たち夫婦の落としどころだった
これ以上色々に抱えるのはどう考えても無理

そして夫は体調自体は何ら変わらないが
本人の気持ち的な病気への慣れもあり
なんとか産業医の許可もおりて
夜勤を再開できるようになった

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