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私たち夫婦⑩〜夫の病気 ちょ、待てよ

夫が病気とステロイドに振り回されている間に
私は夜勤回数が増えて
日勤が月に数日しかないシフトになった

職場で小さな役が付いたが
その頃なぜかどんどん上の役職の主任格が辞めていき
小さな役のくせに
気づいたら師長の下には私しかいなかった
月5000円の手当しかないのに
毎日のスタッフの動きを決める
業務分担、というものを組む仕事を任された

これがまたすごくめんどくさい

師長が作ったシフトから
その日出勤するスタッフを見て
誰がどの業務をするか決めるのだ
新人や中途の職員の力量によってできる業務は異なるし
時間帯が決まってるパートさんもいる
その日のイベントごともその用紙に書き込む
何かあると分担に入れてと言われる
1日分を作るのにひどい時は30分かかる時さえある

勤務中にはとてもできず
持ち帰りの仕事になった
夜勤明けの夜、子どもの習い事の送迎の間に職場に行ってやることもあった

私は私で追われるように毎日を過ごし
どうにかこうにか無理矢理でも1日を終えて眠りにつく
そんな日々だった

夫はステロイドも長期には服用できないので
主治医の判断で減量していき一旦中止
もうひとつ強めの薬を飲んでみますかと処方されたが
結局それを飲んでも症状が改善しない

実際の腸はどうなっているか
内視鏡でもう一度診てみることになった

大腸内視鏡をやった人は知っていると思うが
検査の前に強烈な下剤を飲み
腸の中をすっからかんにする
腸壁に便が残っていると
カメラを入れたところで腸粘膜の様子が分からない
とにかく便が黄色の透明な液体になるまで
水様の下剤を飲んではトイレに行き
検査に挑む
過酷だ

内視鏡の結果
炎症はほとんど改善されていない
かと言って入院治療するほど重症でもない

主治医と夫と私は
うーーん…となった
夫にしてみれば色んな薬を飲んでも変わってない
相当がっかりしたと思う

主治医からいくつか提案があった

強い薬の順に
1.通院でできる点滴治療
2.自宅で行う自己注射
3.内服薬を変える
4.治験をやってみる

夫の選択は1だった
内服薬も坐薬系も色々試して変化がない
一気に良くしたい
そんな思いだったようだ

私は当事者の夫が決めたならそれでいいと思ったので賛成した

点滴治療はそれなりに強い薬になるので
細かい血液検査からレントゲンなど
念入りな事前検査があった

そこで発覚したのが夫の既往歴

夫がまだ20代で結婚もしてない頃
なぜか結核に罹ったそうで
事前の血液検査で結核菌がプラスに出ていると言う
潜在性結核感染症らしい

これは体内に結核菌がいるが
発症していない状態で
症状も無いし
他者への感染も無い
これが何の問題になるのかというと

今度やろうとしている点滴治療は
結核菌と相性が悪い
潜在性の結核菌を活性化させてしまう恐れがある
そして一度結核に感染したことがある人が
再度発症すると薬も効きにくく
重症化、ひどければ死亡するという

うーーん…
夫は何を言われてるのか
よく分かっていないようだったが
主治医と夫と私は悩む

主治医が
呼吸器科で一度詳しく診てもらいましょう
そこで点滴治療可能か判断してもらいましょう
そう言った

はぁ

消化器内科と整形外科と呼吸器内科…ね

次は主治医からの院内紹介状で
呼吸器内科を受診
呼吸器の医師は
点滴治療をしながら結核の薬を予防的に飲みましょう
と言った

…結核の薬

これが処方されるということは
結核患者とみなされて保健所への登録
保健所からの毎日の服薬の追跡調査が始まるということだ

今度は結核ですか

どうしても点滴治療がしたい夫
その気持ちは十分わかる
しばらく結核の薬を飲んで
呼吸器でも経過を診てもらった結果
結核の薬を飲みながらならできそう、との判断
点滴治療を開始した

主治医の話によると
劇的に効く人は効く点滴治療

なんかこれステロイドの時にも聞いたよな

点滴治療がまた高い
通院のたびに2万だ
それプラス内服薬
難病認定の高額負担でさらに助成されてこの金額
痛いなぁ

消化器内科で点滴治療し
呼吸器内科で肺の経過を見る

医師たちは根拠無く判断しない
故に受診前の毎回の血液検査は必須だ
血便が続き貧血になってないか
栄養が取れているか
炎症値は上がってないか
肝機能に異常は無いか
などなど

そんな中
呼吸器内科の医師から指摘があった
血液検査の結果、甲状腺ホルモンの値がおかしい
内分泌科を紹介するので受診して欲しい

そしてCTの結果、胆のうも少し肥大している
胆のう炎かもしれない
これはまた消化器内科の主治医に診てもらって
と言われる

えーーっと…?

消化器内科、呼吸器内科、整形外科
からの
内分泌科

仕方ないので言われるがままに内分泌科にかかる

そこの医師からの説明は
橋本病ですね
甲状腺ホルモンの異常です
内服治療が必要です

ちょっと待って

待って待って

橋本病?

慢性甲状腺炎とも言われ
甲状腺ホルモンの減少により
鬱っぽい症状になる、やる気が出ない
新陳代謝が低下して全てが老けていくような症状
忘れっぽくなりひどくなると認知症にも…以下略

治療は内服
不足している甲状腺ホルモンを補う薬

いやいや
どんだけ薬飲むん?
どんだけ通院するん?
いつ仕事行くん?

大きな急性期総合病院の通院は
そこら辺のクリニックと違う
たとえ予約していても
朝から行ってまず血液検査
必要ならレントゲンなどの検査も済ませてからの
各科受診
診察までもかなり待つ
診察を終えて次回の説明を受ける
会計も番号を呼ばれるまで長く、やっと済ませる
そして院外薬局で薬をもらうまで
丸っと1日がかりだ
そして帰ってくるとどっと疲れが出る

それを月にどれだけやるの?

夫も私もげんなりだった
で、次はまた主治医のとこで胆のう炎疑いを診てもらうわけ?

潰瘍性大腸炎の方は一向に改善しない
それなのにこれ?

疲れてしまった
心も体も

もうなにもかも

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