デニム価格

個人ブランドのポジジョンは?

「靴いくらぐらいの買ってる?」
Twitterで流れてきた誰かの投稿。
アンケートの回答で一番多かったのは「¥2000〜¥5000」。
クリエーターさんのワンピース2万を「人生で一番高い洋服です!」と喜びの声と共にツィートしていたのも見かけた。


ファストファッション旋風から10年。
今の30代以下にとっては、UNIQLOやGUなどの大型SPAの洋服価格が標準価格として定着してきた。
人々のモノの値段の基準値は低くなってきている。
もはや個人が素材を購入し製作すると素材原価だけでSPAの売値を上回ってしまう。



個人ブランドの市場ポジジョンはどこ?


市場を眺めると低価格で高品質のモノが並ぶ今、自分のような個人ブランドはどのポジションなのかを考えてみました。


大多数の人が「ジーンズを買おう」と思った時に思い浮かべるのは、LEVISでもLeeでもなく、UNIQLOやGU、ちょっと感度が高い人だとZARAとか。
¥1900〜¥4900ぐらいかな?
ブランドにこだわりなく、「とりあえずジーンズ欲しくなったら買おう」という価格帯がこの辺だと思う。


洋服にこだわりがあって、少し感度が高い人だとジーンズ価格1万ぐらいが許容範囲になってくる。
この辺りのアパレルブランドだとメルカリやZOZOUSEDで着なくなっても売れるので2次価値もあるし。
そこから上級のマーガレットハウエルなどのブランドになると、ココのブランドの服が欲しい!とファン度も高くなってくる。
その結果、3万弱のジーンズ価格帯でもファンはお財布を開いてくれる。


上級のハイブランドになると、ブランドの憧れや世界観でファン度も高まって金額を気にする人はいなくなる。
ジーンズ10万であろうが、30万であろうが関係ない?



で、それぞれのブランドが卸をするとなると?
卸値(6掛け)、製造原価(3掛け)というザックリとした価格でだしてみました。


SPAの価格帯では素材さえも買えない!
アパレルブランドのジーンズ1万円、製造原価3000円で素材購入から縫製まで仕上げるのは個人ブランドだとキツイ。
ハイブランドの価格だと製造原価も青天井だけれど、買ってくれる気がしない…。
そうすると個人ブランドが卸をするとなると上級ブランドの価格帯を狙うことになる。


卸をしないでオールユアーズさんの様にクラウドファンディングで生産数を限定したり、個人サイトや個人ショップのみの取扱に限定する方法だと、アパレルブランド価格に収めることも可能。


ブランドと価格を並べてみると、SPAは卸をせずに店舗を持ち、生産→直売に振り切ることで低価格を維持できていること。
ハイブランドも同じく卸をせずにコンセプチュアルな店舗や広告にお金をかけることで、ブランドへの憧れやファン度を高めていることがわかる。

どちらも価値を振り切ることで低価格やブランド感を維持しているのだなぁ。


個人ブランドでは価格にもブランド感にも振り切ることは難しいので、上級アパレルブランドの様な「ココのが欲しい!」と価値を感じてもらえるようになることが必要かも。


そして素材は年々高くなるのに、人々のモノへの価格基準はどんどん低くなる。
この傾向は世界経済の成長に反して、この30年日本が停滞していることを考えると、今後もこの傾向は続くと思う。

出典:消費者物価指数半世紀の推移とその課題


素材を仕入れて生産すると上級ブランドクラスの価格帯になってしまう中で、個人ブランドを運営していくのはますます難しくなっていきそう。
書いていくと「うーむ」ばかり唸ってしまうのだけれど、唸っていても仕方がないので頑張ろう。

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