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アパレルの未来は現場にかかっているんじゃないかな?

この週末に読んだ本。
内容はIT化を中心に、消費の変化、海外事例など、現状を織り交ぜながら、これからアパレルに起こるであろう変化を総括的に綴っている。
個人的にはキャパオーバーで頭からシューシュー煙がでて、全部を消化しきれなかったです。

IT化・消費の変化など、今は色々なことが移り変わっていく過渡期、国内アパレルが厳しいのも時代の移り変わりの時期で仕方がないのかもしれない。

それとは別に、アパレル不振は商品を作り出す側にどんどん余裕がなくなってきているのも大きいのではないかな?と思うのです。


私は企業デザイナーを辞めて5年経つのですが、在職中はどんどん商品作りが加速してきてました。
辞める直前は年4回の展示会に+2回の展示会が差込され、スポット的にイベント企画が挟まっていました。
私の契約していた企業さんだけではなく、周囲に足並みを揃えた結果のスタイル。

その結果、以前は企画立案→デザインだし→サンプル→修正→サンプルUP・展示会の流れを丁寧にしていたのが、全ての作業が重なってきました。
企画1のデザイン出しをしながら企画2の企画立案して、途中にイベント用の商品企画が立ち上がって、とグッチャグチャ。


写真は10数年前の量販企画時代の机。汚い…。

もともと、量販の企画もしていた時代があり、大量企画は経験がありました。
でも、それをやると商品企画がストレスになってしまうのも実感済みだったので、当時の契約会社の商品提案加速と同時に企画の仕事を離れていくことを考え始めました。


これは私の経験談だけれど、多くのファッションデザイナーも同じように感じているのではないかな?
トレンドがなくなって、何を作るべきかの指針が立たなくなり、ちょっとヒットした商品の焼き直しばかり会社から求められることも増えてきてませんか?
どんどん商品提案を求められて、とりあえず新商品をだす事自体が目的になっていませんか?

もちろん、IT化やreuse、消費者の変化など、色々な要因があって今のアパレルの厳しい現状に繋がっていると思います。
それとは別に商品作りの現場がどんどん余裕がなくなって、魅力ある商品を作る環境でなくなってきている気もします。


ネットの「ファッションデザイナーの仕事の本音」ページが怨念に溢れつつも、全部私の実感と合っているな〜、としげしげ眺めてしまいました。

私はアパレル業界9年目ですが最近思う事は、これだけものが溢れている世の中に、シーズンごとに何十型もサンプルを作り、中には売れないと思いながらも型数のために妥協で作るものもあり、似たようなデザインをデザイナーと言われる人間達が作るシステムにすごく疑問を感じます。私に唯一無二のデザインを作る才能がないと言えばそれまでですが、デザイナーという職業を通して資源を無駄にし、ゴミを作っているだけではないのかと自己嫌悪に落ち入ることもあります。

(量販において)コピー&ペーストの仕事であることデザイナーの仕事は オリジナリティが発揮できると思っては誤解だと思う。ほとんどが売れている商品の焼き直しやパクリで商品化する。売れる見込みがあるかのマーケティングにかける時間は現状そこまでとらせてもらえていない。営業が拾ってくる曖昧な顧客からのニーズを吸い上げて目先重視の商品計画

企業デザイナーなので、デザイナーと言われていても会社が考えたコンセプト、ターゲット層に沿って企画をしないといけない。個人でブランドを作っている所以外、トレンドを追いかけて商品を企画するので、平気でハイブランドの真似をしたり、他社と同じような物を作ったりするのでオリジナリティがなく、デザイナーの意味が見出しにくい。私の会社は最終的にはMDの許可がないと商品化に進めないので、MDが言った事を仕様書に写すだけの事もあり、工場さんとMDの仲介みたいな役割だった。

商品を作る側がこんな感じで、魅力ある商品が出せているとは思えないのですね。
国内アパレル不振は企画側、小刻みに小ロット生産が続く製造側、どんどん新商品が流れてくる販売側の疲労感の結果な気もします。


靴の販売員さんのツィート。


IT化や消費者動向も大切だけれど、もっと魅力ある商品を作れる環境が増える方が大切な気がするんだけどなぁ。
それすらも難しいなら国内アパレルには本当に未来がないかもしれない。

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