商品の前の戦略こそが"デザイン" アニメ★大革命〜アニメビジネス戦略〜第三回目

■不動産が土地を買う基準
アニメビジネス戦略なのに、今回も不動産の話から始めます(笑)
サブタイトルにもあるように、不動産が戸建物件を買う際、気をつけて見ていることがあります。
それは、生活圏の"人流"です。 

駅から徒歩何分か?
スーパーは近くにあるか?
日当たりは?
将来的な土地の展望は?

物件調査と言い、実際に歩いて分数を図ったり、そこで生活した際のイメージをします。
どんなに商品が良くても、生活が不便なのであれば売れません。

商品とは、それを取り巻く環境を含めて"商品"なのだと思います。

■憧れの場所BAUHAUS
私は宮崎県立佐土原高校、産業デザイン科出身で、高校の時からデザインを学んできました。
特に感銘を受けたのは、何と言ってもBAUHAUS。
何十年も先の未来にいる私が見ても「斬新だ」と思うデザインの数々。
それだけではなく、美しさの中に"信念"がある。
学べば学ぶほど、デザインの根幹は"人々の生き様だ"と思い、もはやそれは物体ではなく、哲学の域に達していたように感じます。
そんな、小難しいことを柄にもなく一生懸命考えていました。

私の最終学歴は武蔵野美術大学ですが、実は武蔵美の前に3年制のデザインの専門学校に通っていました。(3年次編入で武蔵美に入りました)
人の生活により密着するデザインをしたいと思い、プロダクトデザインを専攻していました。
特待も取り、それなりには楽しい学校生活を送っていましたが、卒業制作を出さずに卒業をしました。

ある授業で、車椅子をデザインする授業がありました。
どの車椅子も前衛的でおしゃれで、「障がい」を感じさせないがモットーの夢があるデザインでした。

ただ1つ、どうしても理解の出来ないことがありました。
どの先生も「福祉制度」を知りませんでした。

たまたまですが、私の友人には、電動車椅子で生活している友人がいました。
なので、少しばかりですが、福祉のことは人以上には詳しかったです。
100キロある電動車椅子に乗る友人と宮崎の街で遊ぶために、タクシーの使い方を調べたり、バスの乗り方を調べたり、世の中にどのような福祉サービスがあるのか、どれを利用出来るのか、どこだったら遊べるか、バリアフリーになってるか、しっかり下調べをして遊んでいました。
でないと、電動車椅子の人とその場ですぐにタクシーやバスに乗ったりすることができないからです。(現在は違うかもしれませんが、当時は乗車することができませんでした)
また、福祉内で購入できる車椅子は限定されています。
目の前にいるデザイナーの先生がどんなにおしゃれな車椅子をデザインしたって、利用者の元に届くことはなかなか無いことを知っていました。
「障がい者が住みやすい社会を」と言いながら、なぜ福祉に目をやらないのか。
大切なのは、福祉を変えることなのではないか。

この頃から、正直「デザイン」というものに飽きてしまっている自分がいました。
HAUHAUSには確たる信念があったけど、自分の目の前にある"デザイン"はただの言葉遊びで自己満足でしかない。

一気に白けてしまい、それまであったデザインへの情熱が無くなってしまいました。

そんな時に起こった社会現象。

『エヴァンゲリオン 破』

※これについては私の人生のターニングポイントになった出来事でもあるので、次回もっと細かく書きますが、今回は卒制を出さなかった理由にのみフォーカスしてお話しします。

エヴァについてはたくさんの解析書があります。

その中でも、私が面白いと思ったのは、エヴァが流行った理由などを解析したビジネス本でした。

どんなことが書かれていたのか、あまり詳細には覚えていないけど、その本を読んで「商品は形だけではなく、人のイメージの中に入っていくことが大切なんだ」と思ったことだけは印象的に覚えています。
同時に、アニメは1つ1つのパーツ(戦略/商品)が組み合わさり化学反応を起こす、細胞分裂みたいだとも思いました。
当時、私が求めていたデザインの最高の形に何故か「エヴァ」の現象がばっちり当てはまったのです。

だから、商品としてのデザインを売るための戦略的な部分のデザインをあえて形にしたいと思い、卒業制作を作ることにしました。

作品としては、「アニメは細胞分裂」というものにインスパイアを受け、1つのパーツを複数組み合わせることで、新たな形になったり、そのパーツを無限に繋げることの出来るレゴのようなプロダクトデザインです。

しかしながら、それが先生たちに受け入れてもらえることはなく、
「このデザインは何のため、誰のためなのか」
「デザインはアート作品ではない」
「言ってることはわからなくはないけど、それを形にする意味はあるのか?」
でした。

結果、卒制としては認められず、作り直すか作らないまま卒業するかを求められ、特に迷うことなく作らないまま卒業しました。

でも、その時も今も、私の答えは同じで、
敢えて形にすることに意味はあるし、商品を売る前には戦略があるし、それなくしてデザインをすることなんて出来ない。
それを一括りに「アート」だと言うならそれはあなたの勝手だけど、理解もせずただ形だけの物に私は魅力は感じない。
BAUHAUSに憧れてデザインをして、デザインをするにはあまりにも足りなすぎるものがあると思ったから、それすらも形にしようと思った。
でも、きっと言っても理解はしてもらえないのだろうし、どこまでいっても形だけの卒制に意味はないから、卒制は辞退しました。

今思い出しても、私らしい結論だと思います(笑)

良いものも見つけました。
アニメは細胞分裂であるということ。

これは後々、私がどうしようもなく惚れ込んでいるアニメビジネスの最大の面白さでもあると思います。
そして、敢えて商社マンと組もうと思った原点でもあると思います。

今回は以上です!
いつも以上に抽象的でわかりずらかったと思います。すみません!!
次回はいよいよ、アニメ業界に行こうと思った最大のきっかけを、現代の産業革命だと感じた『エヴァ破』の社会現象を交えながらお話しします!

◆プロフィール
1988年宮崎生まれ
武蔵野美術大学卒業
シンエイ動画株式会社退職後、ドイツへ移住。
2020年、帰国。
2021年、株式会社RICE FIELD設立。
iPadでのアニメ指導!『みやざきアニメ塾』開講中!
その他、TVCM、MV、メディア出演など多方面で活躍しています。
HP https://ricefield-anime.info

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