2018年1月「成人式のマーフィー」

2018年になりました。僕にとっては年男であり厄年であるという少々厄介な年が来ました。そのせいか先日、車で出かけたところ首都高で事故りかけ、パソコンで数多の時間をかけて作業をしていたものが突然落ちて御陀仏になるなど、厄年の影響らしき出来事が続いています。一方で『年男』という12年に一度やってくるアニバーサリーイヤーだというのに、このご利益はいまのところありません。そんなモヤモヤした日々を過ごしていた年始、成人式のニュースを見て4年前の自分の成人式を思い出していました。

成人式は20歳という節目を親に感謝し、気持ち新たに一歩踏み出すという日でありながら、地元の友人たちと集まり、いっしょに祝おうという側面も持っています。非常に素晴らしい一日ではあると思うのですが、僕は当時、ギリギリまで成人式式典に参加するのをためらっていました。なぜなら、僕は電車で通う中学校に行っていたため"地元の繋がり"という関係性がほぼないのです。唯一のコミュニティである小学校の面々ともしばらく連絡をとっていなく、このままでは1人で式典に向かうしかありません。行ったが最後、そこでは少しでも僕のことを覚えていた輩が声をひそめ
「あれって米山じゃね?」
「まじじゃん、相変わらず小せぇな」
と会話の足しにするに違いないのです。普段1人でいることに何のためらいもないのですが、こういう同年代が集まる場所においては1人でいることは逆に目立ってしまいます。そんなこんなでどうしたものかと悩んだ挙句、小学校時代の1人の友人に一緒に行かないかと声をかけました。すると二つ返事で了承してくれて、僕は大船に乗った気持ちで当日を迎えたのです。

着慣れないスーツに袖を通し、待ち合わせ場所にむかいました。結局友人は10分ほど遅れて現れたのですが、ギリギリまで連絡がなかったとき、ドタキャンされた…と思うほどに精神は強張っていました。友人が現れたときどれだけ胸を撫で下ろしたか分かりません。向かっている最中、友人は小学校時代の話や卒業してからの事の話に花を咲かせてくれて、おかげで心に余裕ができた僕もそれに応えるように熱心にコミュニケーションをしました。もう大丈夫だと思いました。この調子で式典に参加し、終わったら、会場を早急に後にして家に帰ればいい。そうだこの間借りた映画がまだあるじゃないか。それを観て過ごそう。それでいい。心が安堵感で満ち、何気なく顔に当たる陽の光にさえ幸せを感じていたとき、友人が足を止めました。会場まであと数十メートル。なんだと思い友人の目の先を見ると、喫煙エリアと貼り紙のされた白いテントがそこにはありました。その時点で僕の中で緊急サイレンがけたましく鳴り響きました。成人式→20歳→タバコ→…。あわてて頭で導き出されるものを浮かべました。そう、テントの下には黒々とした袴を着用し、金々爛々奇抜な髪型、グラデーションのかかったサングラスなどを身につけたヤンチャな輩がいたのです。成人式で起こりうるあらゆる危険の中で最も危険なものに初っ端から遭遇してしまいました。山登りで言ったら、2合目でクマに遭遇したようなものです。
「起こる起こると危惧していると、それは実際に起こる」というシンプルなマーフィーです。僕は実際のクマに遭った要領で気持ち後ずさりしまさたが、友人はその輩達に手招きされてテントの中へ入って行ってしまいました。これならまだ大丈夫か…。気づいていないフリをしてしばらくやり過ごせばいいと思っていると、友人がこっちを向き、笑顔で「来なよ」と手招きしました。友人は心優しい性格が故に、1人で待たせてしまっている僕を心配したのでしょう。事は思ったよりも思い通りになりません。断ろうかと思いましたが、ここで断るとクマ達に余計な刺激を与える可能性があったのと、多少俺もクマ達と普段から交流あるぜ感というその場しのぎのしょうもないステータスを演出するために、半ば無理やりテンションを上げて「Y君の友達ですー」とテントの中へ入りました。デカイ…。僕が小さいのかクマ達がデカイのか分からないまま、しばらく意味のわからない握手をしたり、肩を叩かれたり、タバコを勧められたりとクマ達独特のコミュニケーションが続いたので、
「そろそろ行こっか」
と雀の涙ほどの勇気をふり絞り友人に告げ、脱出することができました。
友人が会場へ入る道すがら
「中学校のときの」と言ってきたので、思わず「…すごい友達だね」
と返してしまいました。
式典では区のマスコットキャラクターが出て愉快なダンスを踊ったり、成人達を鼓舞するパフォーマンスがあったりしましたが、ほとんど"無"で鑑賞しました。帰りにまた遭遇したらどうしよう…と危惧していたからです。

2018年は安全に、健康に過ごしたい。ただそう思います。そして実際に山でクマに遭遇したら背中を向けず、クマを見たままゆっくりと後ずさりするのがいいらしいです。

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