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言葉は細い道しか通れない。


吉本隆明詩集

ここのところ春のコーヒー教室・春のカフェ講座と私にしては大きなイベントを立て続けに2つアップしました。こういう時いつも思うのは、<言葉は細い道しか通れない。>という事です。

物を書くというのは面白い物で、大きな通りを皆に喜んで貰いながら通るというような通り方は出来ないという事だと思います。一般的には人の嫌がる事は書かないというのは常識ですが、人を嫌がらせる為に書いているのでは無く、自分では本当に言わなくてはならないと思い書いたものでも、誰かを傷つけてしまう事は多々あります。

私は若い時は、<荒地>などの現代詩をよく読みましたが、その中でも吉本隆明さんの詩には強く惹かれました。<転位のための十篇>等ですが、そこから吉本さんの評論等も良く読むようになりました。そこでも吉本さんの、いつも独自の言葉を紡ぎながら、孤軍奮闘している姿を見ていたように思います。

後年、吉本さんの著書には<親鸞>を扱ったものが多くあり、私はそれにも強く惹かれました。親鸞は、日本浄土教とでもいうべき浄土真宗の始祖ですが、ここでも吉本さんは。自説に強く固執しながら、独自の道を突き詰めて言った親鸞に自分の姿を重ね合わせ、思想のもつ重みと力を観続けて行ったのだと思います。

その吉本さんは、多分、言葉はいつも、そんなに皆に喜んで貰えるものでは無いという事を嫌というほど良く知っていたのでは無いかと思います。

私も仕事をしている身ですので、いろいろ怖かったり、不味いかなと思う所はあるのですが、皆に喜んで貰い大通りを歩いているような言葉は、本当は力が無いのだという事も良く知っているつもりです。

何かを書けば、誰かが傷つくかも知れません。しかし、それを恐れていては本当の事は何も書けなくなってしまうのです。

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