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春夏秋

春に初めてデートに行ったボーイフレンド。
なかなか時間が取れない彼と半年で5回のデートをした。
その間に春は終わり、夏が過ぎ、秋がきた。

【春】
1回目のデートは六本木。
食事をして、カラオケバーに行って、歌も歌わず談笑して、
22時には「じゃあ帰ろうか」ってタクシー代を渡された。

2回目のデートは美術館。
一緒にランチして、展覧会を見て
「これから仕事なんだ。駅までしか送れなくてごめんね」
って言われて、夕方には駅の前でお別れした。

それから2か月、何の連絡もなかったから
『ああ、私は彼とのデートに合格しなかったんだなぁ』
って、そう思った。

その後、たまたま職場で彼と会う機会があり
「また時間があるとき美術展行こうね」と声をかけられたので
「はーい。ぜひぜひ~」と社交辞令的に答えた。

そして、次の日から
「いついく?どこいく?何見たい?」
って、連絡が来るようになって
「ん?どうゆこと?」ってちょっと混乱した。

【夏】
3回目のデートも美術館。
展覧会を見てドライブして、車を降りたら
「手、つなご」って言われて初めて手をつないだ。
それから二人でランチをして、
車の中で彼は、今までの恋愛遍歴を語り、
私はそれをおとなしく聞いていた。
夕方には家まで送ってくれて
車を降りようとしたら「待って」と言われてキスされた。

4回目のデートはドライブ
夕方に待ち合わせして、江の島で一緒に夕日を見た。
ドライブ中、彼はずっと私と手を繋ぎ、
未来の夢や、現在の自分の思いを話してくれた。
話の途中で私は、涙が止まらなくなって
でも悲しいのか、嬉しいのか、何故泣いているのかわからなかった。
お別れにやっぱりキスをしてくれたけど
恋愛的な情熱は感じられなくて、彼にとってのキスは挨拶みたいなものなのかな、ってぼんやりと思った。

【秋】
5回目のデートもドライブ
会ってすぐに、私たちは自然に手をつないだ。
まるでもう何年もそうしてるかのように。
彼といる時は手をつなぐのが当たり前のことのように思った。
なぜかこの日、彼はガールフレンドたちの話を沢山して、私は少し、嫉妬に似た感情を持った。

そして車の中で、私は初めて自分を語り
彼は「そのままの君でいいよ」と言った。

私は、やっと自分の言葉が通じる人間に出会えたような気持ちになって、そして
『あ、今、彼のことを好きになった』と思った。

私たちのお別れのキスが、少し情熱的になって
私は彼と寝てみたいと思い、
そして、彼以外のボーイフレンド達が
すべてどうでもいいような気持ちになった。





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