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かわいいばーちゃん『私の中のアリスの世界』森茉莉

森茉莉は、森鷗外の長女。おもにエッセイストとして知られている。

鷗外は子供たちにキラキラネームをつけていて、於兎(オットー)、茉莉(マリー)、杏奴(アンヌ)、不律(フリッツ)、類(ルイ)
茉莉さんも息子に「ジャック」と名前をつけたことをこの本で知った。

エッセイを読んで感じた。
茉莉ちゃん、カワイイ。
少女がそのままオバチャンになったみたいだ。本人もそういったことを書いている。

美意識(西洋の生活用品が好き)、父鷗外について、交流のあった作家たちのこと、短く簡潔にまとめられている。三島や川端の最期なども。

鷗外が子煩悩だというのが新たな発見だった。

……正直彼のイメージってあまりよくなくて、頭カタそう、厳しそうと思っていた。
あと、高校の教科書で『舞姫』を読まされて、
ドイツでモテた自慢話かよ。
しかも妊娠したのに責任取らずに日本に逃げるのかよ。
と思った。なぜこの小説が教科書に採用されたのか本当に分かりません。

けれど、彼は茉莉に激甘だったみたい。
「おまりは美人で女優さんになれる、外国人の中にいても遜色がない」
と言い続け、茉莉もそれなりに信じてしまう。
その他にもいろいろな過保護っぷり。
鷗外の全く違う一面を見た気がした。

茉莉も反抗期なくファザコンに育ったみたい。

その自己肯定感、彼女は「誇り」と表現していたが、それが鷗外が彼女に残した一番のプレゼントだったと思う。お嬢様、少女であることを茉莉は一生やめなかった。

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