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「光玉の塔は、百花に咲く」企画書

キャッチコピー∶運命の輪が回りだす時、白磁の塔は砕け散り、記憶の光玉が散る。探し出せ、希望の記憶を。



あらすじ∶世界の果てにある、人類の記憶を保管する塔が建つ地に、大規模な地震が起こったことで
保管していた「光玉」が漏れ出した。幸い早急な
対処が功を奏し事なきを得たが、塔の管理官は、
助手からの知らせで青ざめる。「光玉」のなかでも
一番重要な「始まりの光玉」が行方不明という
知らせだった。
管理官は、早急に護衛も兼ねた塔の番人を助手に
付け、捜索を任せる。助手は、塔の番人と供に
「始まりの光玉」を探す旅に出た。
旅の途中で様々な人々との出会いを重ねていくうちに、助手の身に宿る「教養のハコ」は成長し、その成長と供に、少しずつ「始まりの光玉」へと
近づいて行く。
その先にある世界が、どのような姿かも知らずに。


第1話:世界の果てに存在する白磁の塔は、百花
咲き乱れ、この世の可憐と美を集めた所にあった。

この塔には、人間が地上に存在し始めた時からの
一人一人の「思い」が蓄積されており、それは
「記憶の光玉」と呼ばれている。

白磁の塔は、悠久の年月、この星に生きる者達の
思いが集い、光輝く場所だった。

この地に住み、「光玉」が集う塔の中で、世界の記憶を管理する管理官は不老不死。助手は、人間の世界から、塔と、この地の番人である者が選定し、選ばれた者を連れてくる事になっていた。

今は世代が変わって3年目の若い男が助手をつとめ
ていた。

人間の年齢で12歳。しかしその内面にはこの塔の
助手として必要な精神的な強さと、「教養のハコ」が内在している。

塔の番人はこの2つの存在を有する人間を嗅ぎ分けて選定し、この地へ連れてくる。

連れて来られた人間は、普通の人間の倍の寿命が
与えられ、管理官の仕事を補佐し、その身に宿る
「教養のハコ」を成長させていく。

ある日、いつものように助手が「記憶の書庫」を
整えていた時、地鳴りとともに大地が鳴動、瓦解。楽園が崩壊の危機を迎えた。

予兆のなかったこの事態に、管理官と助手は慌て
ながらも冷静に事の対処にあたり、崩れ落ちる塔
から、大事な「記憶の光玉」を集めまわった。

「記憶の書庫」で管理されていた「記憶の光玉」は放出されたが、管理官と助手の素早い対応で
何とか傷つく事なく集め終え、緊急保管庫への回収を終えた。

集めた「光玉」を全て緊急保管庫へ詰め込み、塔の再建が終了した後、新しい書庫に移す手筈を整えるということで一息ついていた。

だが1個だけが見当たらない事に助手が気づいた。

その1個とは、この世に「人間」を生み出した存在の特別な「光玉」

この「光玉」は塔の中でも再重要視されており、書庫の中でも厳重に厳重を重ねて保管されていたはずだった。

助手と管理人は、壊れた白磁の塔と、無惨に枯れた百花の地を後に、行方不明となった
「始まりの光玉」を探すたびに出ることになった。

コミュニケーション能力皆無の管理官はこの地に
宿る精霊と供に塔の再建を進めるため、助手は
一人で旅立つことになる。

まだ世代が変わって3年目の若い助手を1人で行か
せる事を心配をした管理官は、塔の番人に同行を
願った。

こうして2人は百花の地を離れ、空間を飛び越え
人間の住む地へと渡ったのだった。



第2話∶百花の地を旅立った助手と番人は、時空の歪みをかいくぐり、人の住む地へと降り立った。

助手にとっては懐かしい地だったはずが、記憶の中にある場所とはかけ離れた有り様となっていて、
どう1步を踏み出すか迷ってしまう程だった。

大地は荒廃し、人の気配がしない。草木も枯れて、大地は乾ききっていた。

2人はそんな荒れた土地を、とりあえず直感で進む。
本当なら「光玉」の匂いを辿れる方がいいのだが、
番人は、気配どころか匂いも感知することが出きないでいた。

しばらく歩いていくと、不毛な大地にようやく巨大な城壁が建っているのが見えた。

近づくと、その奥から賑やかな人の声が聞こえる。どうにかして中へ入りたいのだが、巨大な門の前には衛兵がいて、中へ入ることは難しそうだった。

あれこれ考えながら門に近づいて様子を伺っていると、挙動不審が衛兵に見つかり、捕らえられたが、当初の目的通り、城内へ入ることができた。

方法はどうであれ、どうにか城内に入ることができた2人だったが、衛兵に捕まったのだから、連れて
行かれるところといえば、牢屋しかない。

だが2人が放りこまれたのは、牢屋とは言い難い
ほど質素な造りで、納屋のような場所だった。

一応、外に見張りがいるものの、逃げることは簡単
だった。

2人は早々に抜け出し、人混みに紛れ込む。

街中はまだまだ地震の影が色濃く残されていたが、
医療と衣食住に関しては、なんとか工面されている
様子がうかがえ、表面上、この街の治安の良さが
垣間見えた。

番人の鼻も、この地に「光玉」の匂いは嗅ぎ取れていないことから、ここには無いという結論に達
する。

それならばと、早々に城外へ出る策を巡らしながら街の中を歩きまわり、路地から出たところで、また同じ衛兵に見つかり、今度はこの土地の権力者の
もとへ連行されるはめになった。

連行されて来た場所は、街中から少し離れた小高い丘の上にあった。

権力者が住む場所と聞いて想像するものとは、
かけ離れた風情に、2人は顔を見合わせる。衛兵は
そんな2人を、縛りつけていた縄を引っ張り、家の中へと入っていった。

粗末であったが、しっかりとした石造りの外観で
家の中は綺麗に整理整頓がされており、余計なものがない。清潔感のある家だった。

長い廊下を歩きたどり着いた最奥の部屋の扉を、衛兵がノックし、捕まえていた怪しい者達を連れてきたと報告すると、その声に応える声が部屋の中から聞こえた。

部屋の中へ通されると、窓辺に置かれた書斎机から立ち上がる男性の姿があった。

細身な身体にシルバーグレイの長めの髪は紫のリボンで束ねられていて、振り返ったその顔には、明るいグリーンの瞳がキラキラと輝いていた。

おまけに人懐こい笑顔で、椅子に座ることをすすめてくれ、お茶も出してくれた。

衛兵は外に出され、部屋の中は3人だけとなった。

男性はニコニコと笑顔で2人を見ている。助手は
その笑顔につられて少しホッとし、気分を和らげていった。だが、番人は助手とは反対に渋い顔をしている。眉間にシワこそよっていないが、機嫌があまり良くない事は見てわかった。

それもそのはず。目の前の男性は、助手の前の助手
だったのだ。

彼は自分の役割をしっかりと終え、人間の世界へ戻っていたと聞いていた助手は、役目を終えたからこの世界に戻っただけの彼を、よく思っていない風に
見える番人の様子に違和感を覚えた。

役割を終えた助手はたいていそのまま百花の地に残り、もとの世界へ戻ることはない。寿命が伸びた
弊害で、もとの世界へ戻っても自分を知る人達は
いなくなっているからだ。

「記憶の書庫」で仕事をしていると、一人、また一人と、知り合いの「光玉」が静かに光を放たなくなり、持ち主が死を迎えた事を知らせてくれるので、
助手となった人間の多くは、百花の地に残り、余生を静かに過ごす事が多い。

そして百花の妖精となって、さらに花を咲かせて
いくのだ。

だが彼は人間の頃、時期国王の地位にあったことから、父親が、彼が戻るとき、必ずこの地を治められるようにと、永年の遺言を遺していた。

それを知っていた管理官は彼にどうするかを決めさせ、彼は戻り、国を治める事を決断し、もとの地へ
戻っていたのだった。

まさか人の地に足を踏み入れ、早速出会ったのが
彼とは、番人も驚いたのだろうが、それにしても
表情が浮かない。

詮索は良くないだろうと思って黙っていた助手
だが、彼の方から色々と話しをはじめ、話の合間に
番人の苦々しい顔がどんどんひどくなっていった。

結局今回の旅の理由を話すことになり、彼は
それならと、交渉事が上手く、腕のたつ従者を1人
世話してくれることになった。それだけではなく、もっと助かったのは、この地で使える金も無償で貸してくれたことだ。

こうして助手と番人は、新たな旅仲間を加えて、
さらに金も手に入れ、さらなる旅に出る準備が
整ったが、番人は浮かない顔だ。

彼の援助をあまり受けたくない様子だった。

しかし旅慣れてもいなければ、人馴れもしていない
2人旅となれば、世情にあかるい者がついていてくれ
れば安心というもの。番人は渋々申し出を受け入れたが、それ以降口を開かない。

その後夕食を兼ねて、現在の世界の状況をかれから説明された。

現在、世界は7つの区画領に別れていて、その一つ一つに、にわか領主が土地を治めているということ
だった。

どの区画領の領主も土地の整備や、人民の安定した生活、経済の安定回復のため、他の区画とのやり取りは二の次になっている。

そのなかでもいち早く区画整理が順調に進み、人民の生活も安定している彼の区画が率先して他区画領の領主とのやり取りを担っているということだった。

そのため、彼が用意してくれた従者がいれば、どこの区画領でも顔パスということなのだ。

世界は今未曾有の混乱の中にあるの。その中で生き残った者たちを統率していく事になった領主たちは、それぞれに個性豊かであった。

領主達が何故領主に選ばれたかについては、彼を覗いて皆、大地鳴動の際、どこからか飛来した漆黒の石がそれぞれの手の中に収まり、眩い光を放った後、人間離れした威圧感と能力を放ち始めたからだという話だった。

だが、彼から見れば、どこにでもいる人と特に変わりがないと言うことだ。

とにかくその石はそれぞれに特徴があるらしく、
領主はその石の持つ特徴によって、人より何かしら特化した能力を発揮して、人民を導いているらしく、暴君と言われるものは今はいないらしい。

それでも彼の尽力もあり、区画領内が安定してきた場所では、そろそろ「国構え」が始まり、自力での
多区画領との交渉や交易を開始する所も出てきていると話してくれた。

番人は相づちもうたず、そっぽを向いたまま彼の話を聞いていたが、夕食の終わりとともに話もとり
あえずの終了かと思った時、1言、石がきた方向に
ついて質問をした。

彼はその質問に対し
「キミもよく知っている場所からだ」と答えた。

番人はその答えを聞くと、サッサと席を立ち、一人で用意された部屋へと向かった。

助手もその後に続き、彼に軽く会釈をして部屋を
出た。

窓辺に立ち外を眺める番人に、知っている場所を
尋ねるが、そこへ行く前に、領主達に入り込んだ
石を回収しなければならないと答えた。

こうして、番人と助手。そして新たに加わった仲間
と共に、早速近場の区画領から、石の回収をしながら「光玉」を探すことに決まった。








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